2019年04月25日

余計なお世話でご愁傷様?

【10連休、旅行消費に期待=菅官房長官】
 菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、27日から始まる10連休の経済効果に関し、「旅行者数は国内・海外ともに過去最高となる民間試算があり、旅行関連消費を押し上げる可能性は極めて高い」と期待を示した。 
(4月24日、時事通信)

・お上が決めないと十連休も休めない。
・休めるのは一部の正規職員だけで、非正規は無給。
・名目は新帝即位の恩恵、本音は景気対策。
・プラチナ価格で旅行に行けるのはお金持ちだけ。
・五月の「景気浮揚」で参院選はハッピー?
・子どもは学校に行かない、親は子のお守り

余計なお世話でご愁傷様ってとこですかね?
ちなみにケン先生の休みは5月1日だけです。
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2019年04月24日

党と政府に見る対中対応の差

【二階氏、「一帯一路」国際会議に出席…24日から訪中】
 自民党の二階幹事長は今月24〜29日、安倍首相の特使として中国を訪問する。26日に北京で開かれる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議に出席する。6月の習近平(シージンピン)国家主席の来日に向け、準備を進める狙いがある。
 二階氏の訪中は昨年8〜9月に北京を訪問して以来。習氏に首相の親書を手渡すため、会談する方向で調整している。経団連の中西宏明会長、全国農業協同組合連合会(JA全農)の長沢豊会長らが同行する。
 政府は、習氏の国家主席としての初来日を6月28〜29日に大阪市で開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて実現させ、今秋以降に習氏の国賓としての再来日につなげる道筋を描いている。二階氏は政府間の外交を側面支援し、関係改善の流れを確かなものにしたい考えだ。
 これに関連し、二階氏は18日、東京都内の中華料理店で開いた派閥会合に、近く離任する程永華(チョンヨンフア)駐日中国大使を招き、労をねぎらった。二階氏は会合で「日中友好は大事なことだ。これからも取り組んでいかなければならない」と強調した。
(4月18日、読売新聞)

【河野氏、習氏を国賓待遇とせず…G20来日予定】
 中国を訪問中の河野外相は15日、李克強(リー・クォーチャン)首相、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と相次いで会談した。会談後、河野氏は記者団に対し、6月の大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日が予定される習近平(シー・ジンピン)国家主席について、「特にどなたを国賓にということではない」と述べ、国賓待遇とはしない考えを示した。
(4月15日、読売新聞)

日本はかなり一党独裁国に近い体制をとっている。
つい先日も、懇意にしている教授が国際会議を開催するにあたって、日本から野党議員を中国に招待したのだが、それを聞きつけた領事館員(恐らく外務省、領事館員の多くは他省庁の出向者で占められ、プロパーは少数)が教授に電話してきて、「何で自民党議員を呼ばないのか」と難癖を付けてきたという。
つまり、外務官僚からすれば、日本の自民党以外の政党など、共産国における衛星党や傀儡党と何ら変わらない認識なのだ。かといって、「では、自民党議員を紹介してください」と言うと、「それは我々の仕事では無い」などと言う始末で、温厚な教授が怒っておられた(聞いてる私の方はマジギレ寸前だったが)。

さて、政府・外務省は相変わらずアメリカの方しか向いていない。新帝即位に合わせて来日するトランプ大統領は国賓扱いなのに、G20で来日する習主席は「その他大勢と同じ」とするのが、その表れだ。これは近いうちに詳細を書くが、早ければ2030年、遅くても2040年までには米中の国力差は逆転すると言われる。
例えば、英PwC社の調査レポート「2050年の世界(World in 2050)」(2017)は、2030年時点におけるPPPベースのGDP予測で、中国が3611億ドル、米国が2545億ドル、日本が600億ドルと、中国の経済力が日米の合算を上回るとしている。「中露同盟」で考えれば、中露のGDPが4096億ドルに対して米日は3145億ドルと76.8%を維持するに過ぎない。少なくとも経済力では、近い将来「日米同盟が中露の太平洋進出を封鎖する」構図は成り立たなくなる。
にもかかわらず、アメリカしか眼中に無い政府・外務省の頭は、共産体制の存続を最後まで信じて疑わなかった1980年代の東欧諸国の共産党員を思わせる。

それに対して、自民党はさすがに老獪である。活発とは言えないし、利権目当ての側面はあるにせよ、日中関係の改善を進めているのは、やはり自民党であり、それも旧田中派の系列なのだ。それと宗教宣伝を意図するKM党。
非自民党でも、やはり旧田中派の系譜を引く小沢一郎氏が、鳩山政権期に対中外交を志向したが、親米派官僚らや反小沢派の陰謀もあって、疑獄にはまり、封じられてしまった。それを見て、小沢以降の菅内閣、野田内閣は従来の親米路線に戻り、低い支持率の中、世論を煽動するために対中強硬路線をとるに至った。
世論の支持が弱い党や議員が政権をとると、どうしてもポピュリズム的に世論を喚起する意欲が強くなり、「外に敵を作る」外交を演じやすくなる。その意味で、少なくとも外交の点からは、今の野党に政権を委ねたいとは全く思わない。仮にいま立民などが政権をとっても、再び「尖閣沖漁船衝突事件」のような悪夢を引き起こし、もちろん日露交渉は破棄され四島返還論に逆戻りするという、最悪の事態となるだろう。

とはいえ、自民党にあっても対中・対北外交を担えるのは、二階氏のような「豪腕」を持つものだけで、二階氏の跡を継げるような「やり手」が党内に見当たらない現状は、いかにも不安がある。自民党内も、支持基盤の弱い議員が圧倒的多数にあり、彼らの多くは反中・反南北ポピュリズムに対する強い誘惑と同居している。

自民党は外交的には「まだマシ」「現実的」ではあるが、「安倍・二階以降」の展望は開けない。
米大統領下の調査機関である国家情報会議が公表した「Global Trends 2030」は、2030年時点の日米関係について、「安全保障や日米同盟を非常に重視する安倍政権でさえ、ワシントンの一部が期待する自国の安全保障の底上げや対米協力強化には限界がある」と悲観的観測を述べつつ、その理由として「財政難と政治的麻痺」を挙げている。米国が2013年時点で「安倍後」の政治的混乱を予測していることは、率直に驚きを禁じ得ない。
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2019年04月23日

四半世紀ぶり?ロシアン・キャンペーン2

先に「ヤフオクで格安で買った!」と「ロシアン・キャンペーン2」(国際通信社)持ってきた人がいて、Zさんが「来週はこれをやろう」と言うので、受けて立つことになった。中国語訳もあるが、若干粗さが見られる。まぁ説明しながらプレイすればよいだろう。

私自身は四半世紀前に大学のシミュ研で並べたことがある程度で、それも多分AH社製の「1」だったと思うが、誰とやったかすら記憶に定かでは無いほど。
記憶にあるのは、「スターリンかヒトラーユニットを除去すれば勝ち」みたいな将棋ルールで、「こんなのスターリンが逃げ回ればよいだけでは?」と子供心(でも大学生)に思ったことぐらい。確か並べて1ターンだけプレイして、「何じゃこりゃ?」と止めてしまったような・・・・・・

何十年ぶりにルールを読んでみると、さすがに将棋ルールは改善されていたが、相変わらず独特すぎるルールだった。まぁ1970年代のゲームだから仕方ないが。
まずZOCはあるものの、戦闘後前進がない。しかもマストアタックである。ZOCにいないユニットが二次移動できるので、カバーはできるのだが、何ともイメージしづらい。
さらに退却に際しては、ユニットを持つ陣営ではなく、敵が退却路を決めるという極悪(さすがに意図的に全滅させるのはダメ)。
地形ルールもかなりオリジナルで、全てのヘクスは移動力1で進入できるが、山や湿地などは進入した途端に移動停止する。つまり、戦闘後前進がないため、湿地で守ってるユニットが全滅しても、攻撃側は次のフェイズで一歩前進して終わりということになる。さらに言うと、川の上で守っていると防御修正が付くのではなく、川の上にいるユニットが川以外にいる敵を攻撃すると防御効果が付くという、現代の感覚からすると超わかりにくいルール。

自分は何とか理解もしたし、何となくではあるがイメージできたものの、経験の浅いZさんはやる気こそ満々だったが、不安は否めなかった。しかも、ソ連を持ちたいという。防御側が好きなのかもしれないが、こういう独特すぎるゲームの場合、守る方がはるかに難しい。しかし、やはり希望には添うべきだろう。

Zさんは一応国境線に二重戦線を敷いて、最低限の条件はクリアされていたが、やはり進入停止の地形を上手く使いこなしているとは言えない感じ。ちなみに、戦車が森で止められてしまうことを含め、地形の使い方がソ連プレイヤーの最低条件となる。

第1ターン(41年5,6月)、中央軍集団正面は第1線と第2線をともに10:1の自動的勝利で突破口を開き、大前進。北方軍集団正面のソ連軍6-3はダイス目で降伏させ、第二フェイズにはリガ正面のユニットを蹂躙して、ソ連のバルト〜西方方面軍はまるまる包囲されてしまう。

Zさんは救出を諦めて、何とかヴィテフスク−スモレンスクのラインで戦線らしきものを張るが、あまり地形を使いこなせていない。あと、独ソ戦の基本はドイツ軍の補給源と増援出現場所になる鉄道線の確保にあり、ソ連軍はそれを脅かすことを常に考える必要がある。優先順位的には、

1.鉄道の交差点を確保する。
2.鉄道線を扼する。
3.鉄道線を脅かす。

という感じだ。「相手の嫌がることをやる」「相手がやりたいことを先にやる」はどのようなゲームにも共通するものだろう。

結果、第2ターン(41年7,8月)には、両翼を突破されて、包囲されるには至らなかったものの、スモレンスクは陥落、ヴィテフスクは包囲されるところとなり、モスクワとレニングラード正面はガラガラという有様になった。
ここでZさんは投了。「これは無理ゲーでは?」などと言い出す始末。

まぁ待て。さすがに今回はどうにもならない(1ターン早いイメージ)かもしれないが、私の感覚では、「このゲームはそういうもの」という感じだったし、私ならまだ続けた感じだ。
しかし、言語の問題もあって、上手く説明できない。そこで、選手交代、陣営を入れ替えて再開することに。

今度は私がソ連を持ち、感覚であっという間に配置を終えるが、Zさんは初期配置に30分以上かけていた。
しかも、何故かルーマニア方面での突破に拘り、3つしかない航空支援を使ってしまう。確かにルーマニア正面には穴が空いたが、肝心の南方軍集団は殆ど進めず、ルーマニア正面の独軍とルーマニア機械化部隊は第二フェイズで二ヘクスしか進めないため、効果不十分もいいところだった。
西方正面も、第二フェイズでソ連側の第二戦線に穴を開けただけに終わり、他の通常攻撃で良いダイス目が出て少しソ連ユニットを除去できたものの、突破には程遠かった。

ソ連軍は上の原則に従ってユルユルと撤退、川向こうで戦線を張ってしまった上、鉄道線用の「捨てがまり」や鉄道ゲリラ用の戦車部隊まで用意できた。
第2ターン、ドイツ軍は「C」「EX」などの結果を出しまくり、ソ連側に損害は与えたものの、ヴィテフスクースモレンスクには至らず、ドヴィナ川手前で終了。リガも攻撃には至らず。

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上下ともに第3ターン開始時。

第3ターン(9/10月)、「軽い泥濘」ということもあり、独軍はヴィテフスクースモレンスク線に進出して終了するが、南方軍集団は中央に転出するというちぐはぐも演じてしまう。しかし、ソ連の増援が大量に出てきて、ゴメル方面に突進したドイツの装甲集団を包囲。主要ルート上は、5-3や6-3で固められた。
「冬の前にこれでは・・・・・・」とZさんは投了。「何でこんなに違うのか?」と頭を悩ませるが、私も上に挙げた原則以上のことは説明できない。
ドイツ側はソ連側に「何かやる余裕」を与えないようにする工夫が必要なのと、あとは「突破と包囲」「歩兵の前進」が重要だということだ。この辺は独ソ戦ゲームなら大体同じだろう。やはり、いかにイメージできるか、ゲームの流れを想像できるか、というところが大きいのだが、そこが一番難しいようだ。私の場合、40年近いゲーム経験が勝っているだけなのだとは思うが。

確かに振れ幅が大きいゲームであるのは確かだし、かなり独特なのも確かだが、ダメ出しするような感じでもなかった。マストアタックなので、ドイツ側にも少しずつ損害が蓄積していくところも悪くない。ただし天候は史実の天候でやる方が良いとは思う。
私的には、「全然アリ」という評価だったが、Zさんは納得いかなかったようだ。
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2019年04月22日

ノートルダム聖堂火災で黄巾の乱が拡大?!

【ノートルダム高額寄付に怒り=反政府デモ激化も−フランス】
 大火災に見舞われたフランスのパリ中心部にある観光名所、ノートルダム大聖堂の再建のため、大富豪らから多額の寄付金の申し出が相次いでいることに対し、マクロン大統領の政策に反対し昨年11月からデモを続けている抗議運動参加者らは「不公平だ」と不満を募らせている。抗議運動の中心となっている女性は17日、「社会的な惨状には何もしないのに、わずか一晩で膨大な金を拠出できることを見せつけた」と高額な寄付を批判。インターネット交流サイト(SNS)上では「人間より石が優先されるのか」などと反発する投稿が相次いだ。
 有力紙フィガロは、20日に予定されているデモについて「怒りを募らせたデモ隊が結集する可能性がある」と指摘。再び破壊行動が起きる恐れがあると報じた。
(4月19日、時事通信)

第一報だから仕方ないかもしれないが、雑な記事である。
ノートルダム大聖堂の火災を受けて、「寄付」を表明したのは、フランスを代表する大富豪たちで、このうちわずか三家だけで600億円近くに達したという。
すなわちアパレル大手のケリング社を経営するピノー家が1億ユーロ、同じくLVMHのアルノー家が2億ユーロ、続いて化粧品ロレアル社のメイエー家が2億ユーロである。

フランスの法律では、個人は慈善寄付の66%を税金から控除することができ、企業は同60%が還元されるという。
つまり、単純計算で1億ユーロの企業贈与に対して、6千万ユーロの税金が控除されることになる。広告費と税金対策としては、「今やらないでいつやるか!」という話だろう。
話はまだ終わらない。米ブルームバーグ社の富裕指標では、このフランス大富豪三家の総資産は推定で1600億ユーロに達するという。

富裕税を叩き潰し、庶民に増税を課し、自分たちの資産は海外に退避(租税回避)させるという、フランスの富裕層と、その代弁者であるエリートたちに対する強固な不信と不満を理解しないで、現代フランスを語るのはやめて欲しい。
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2019年04月21日

日露交渉は粘り強く

【日ロ与党交流、5月に第1弾=領土交渉を側面支援】
 自民党はロシアのプーチン政権与党「統一ロシア」との定期交流第1弾を5月中旬に東京で実施する方向で最終調整に入った。関係者が17日、明らかにした。信頼醸成を図ることで、安倍晋三首相が取り組む北方領土問題など平和条約締結交渉を側面から支援する狙いがある。
 来日する代表団は、統一ロシアの党首であるメドベージェフ首相の側近らで構成される見通し。日程は5月14〜18日が軸で、二階俊博幹事長ら自民党幹部と会談するほか、京都訪問も検討されている。二階氏は昨年4月にモスクワを訪れ、メドベージェフ氏と会談。その際、両党の定期交流について協定を交わし、日ロ2国間関係や国際情勢に関する「喫緊の問題」を協議したり、議員間の相互訪問を実施したりすることを決めた。
(4月18日、時事通信)

「6月中の日露合意は困難に」という報道ばかりが前面に出ているが、こういう地道な努力にも注目すべきだろう。
ロシア側が態度を硬化させている理由の一つは、対日強硬論が強い国内向けのアピールでもある。特に議会にその傾向が強いだけに、議員間交流を深めて理解を得て態度の軟化を促すのは有効な手段と言える。

自民党の凄いところはこうした嗅覚で、ちょっと前まで北朝鮮に対して強硬論ばかり吐いていた自民党議員が、いまや朝鮮総連に日参、あるいは総連幹部を招待して勉強会を開くなどしている。
これに対して野党は、対露、対北ともにいまだに強硬論を吐くばかりで、目の前にある外交課題にどう向き合うかという姿勢が全く見えない。この点でも、野党は全く現実味が無い。

日露交渉が難航している最大の理由は、恐らくは日本側が主権の明確化(要求)にこだわっていることにある。
つまり、択捉島と国後島について「主権は日本、施政権はロシア」という要求にこだわっていることが、ロシア側の態度を硬化させ、交渉を頓挫させている。
主権の有無について一切触れること無く、とりあえず施政権(行政権)の引き渡しで合意すれば、二島返還はすぐにも実現するはずだ。その他のことは些末だからだ。また、ロシア側が日本外務省を「古い価値観に基づいた交渉をしている」と非難するのも、ここに原因がある。

なぜこういうことになるかと言うと、日本側が「固有の領土」論を展開しているため、「今さら固有の領土じゃ無かったとは言えない」からだ。「固有の領土」だからこそ主権の有無を明確にする必要があるわけで、「固有の領土」でさえ無ければ、主権やら潜在主権の在り様など机上の空論に過ぎず、施政権の有無だけで十分なはずだからだ。
しかし、1945年9月2日の終戦前にソ連が占領した択捉、国後の両島については、日ソ共同宣言第6条にある、
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。

によって、すでに日本側の請求権は放棄されている。これを同宣言に違背して主権を要求し続ける日本政府(外務省)は無理筋にも程がある。
ナゾなのは、一方で「クリミアやウクライナにおける現状変更行為を許すな」と主張するリベラル派が、こと北方領土問題に関しては「ロシアに妥協するな!」などと平気で四島の領土要求を行うことについて、何の矛盾も覚えていないことである。まぁ「力によらない現状変更はOK」ということなのだろうが、お粗末な話である。

逆に日本側はソ連が終戦後に占領した歯舞、色丹の両島については、「休戦協定後の軍事活動の違法性」をロシア側に対して追及できる立場にあるはずだが(これも厳密には日ソ共同宣言に抵触するものの)、「固有の領土」論があるために、こうしたテクニックが封じられてしまっている。

相も変わらず日ソ共同宣言すら読まず、下手すると終戦日すら知らない人間が記事を書いたり、論陣を張っていたりするので、全くバカバカしくなってくるが、ここは我慢して主張を続けたい。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月19日

全港湾スト報道に見るNHKの反動

【港湾労働組合 22年ぶり平日にスト コンテナ積み降ろしできず】
 全国の港で働く労働者の組合が最低賃金の引き上げなどを求めて、14日から48時間のストライキを行っています。全国の主要な港でコンテナの積み降ろしなどの作業ができなくなっていて、港湾でのストライキが平日に一日続くのは22年ぶりだということです。ストライキを行っているのは、全国の港で荷揚げや荷降ろしなどをしている1万6000人の労働者で作る全国港湾労働組合連合会です。
 ことしの春闘で、業界団体の「日本港運協会」と最低賃金の引き上げなどをめぐって続けてきた交渉がまとまらず、14日から48時間のストライキに入りました。全国の主要な港でコンテナの積み降ろしなどの作業ができなくなっていて、組合によりますと、港湾でのストライキが平日に一日続くのは22年ぶりだということです。港湾関係者によりますと、荷主がストライキに備えて事前に在庫を調整するなどしていたため大きな影響は出ていないということですが、今回のストライキが終わる16日の朝以降、港の混雑を懸念する声も出ています。組合側は、今月下旬からの10連休中のストライキの通告も示唆して交渉を続けていて、国土交通省は物流への影響が出ないか情報を収集しています。
 青森県八戸市の八戸港でも荷役作業が止まるなどの影響が出ています。このうち、八戸市に本社を置く「八戸港湾運送」は全従業員の8割にあたるおよそ200人が組合員で、14日から続くストライキのために、大型のクレーンなどを使ったコンテナの積み降ろしなどの作業が止まっています。八戸港湾運送は取材に対し、「取引先にストライキの事情を説明するなどして、影響をできるかぎり最小限に抑えたい」としています。
 この影響で、東北地方で唯一の国際拠点港湾である仙台市の仙台塩釜港の高砂コンテナターミナルでは、コンテナ船4隻が入港できない状態が続いています。このため、港は大型のクレーンは動いておらず、車の行き来もほとんどありません。港湾事務所によりますと、ストライキが終わる16日朝以降は一転して、港周辺の混雑が予想されるということです。
(4月15日、NHK)

この報道は色々な意味で象徴的であり、現NHKの階級反動性を示している。
まず、ストライキの理由は「「日本港運協会」と最低賃金の引き上げなどをめぐって続けてきた交渉がまとまらず」とわずか1行のみしか触れていないのに、その後の「ストによる影響」については延々とニュースの半分以上を使っている。
また、ストライキは14日から48時間であるにもかかわらず、報道がなされたのは最終盤の15日夜だった。
そして、運送会社や港湾事務所のコメントは入っているのに、肝心の労働者側のコメントはゼロである。

これらは、「公正中立」と言って全市民、全国民から強制的に視聴料を徴収しているNHKが、実際には100%資本側の立場から報道していることを示している。
戦後日本は、様々な経緯はあったものの、西欧諸国と同様に戦後和解体制を採った。それは、資本と労働が対等的な関係で強調し、政府が再分配を約束し、議会制民主主義が階級調整をなす政治体制だった。ただし、それは現実には第三世界からの収奪の上に成り立っていたのだが、今はそこは問わない。

仮にこの戦後和解体制を前提とするなら、少なくともNHKは再分配と階級調整の弁としての機能が求められ、実際に2000年頃まではそれが一定程度効力を発揮していた。
だが、小泉改革や第一次安倍政権の頃には戦後和解体制はほぼ瓦解し(象徴的には国鉄と日本社会党の解体)、今日に至っている。NHKも例外では無く、今では階級問題や政府に批判的な番組は皆無になっている。
NHKの不誠実は、戦後和解体制を否定しているにもかかわらず、相も変わらず中身の無い「公正中立」を標榜している点だ。だからこそケン先生はNHKの国営化を主張している。

さて、全港湾のことである。もちろんストライキは全面的に支持する。
NHKに限らず、どの報道機関もロクに報道していないこと自体、もはや現行体制にいかなる未練も感じさせない。
上記の報道は、まず「最低賃金をめぐる交渉」と述べているが、その最低賃金を見てみよう。
港湾では労働組合と業界団体が協定を結んでいます。
港湾産別協定(2007年協定)では、港の種類により2つに区分されています。

最低賃金 日額6、310円(7時間労働)、月額157、600円
〔適用港:東京港、横浜港〈川崎港含)、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港の場合 〕
〔適用職種:船内荷役作業、沿岸荷役作業、はしけ乗組員、いかだ運送作業員、
  港湾運送関連作業員(港湾倉庫作業は港湾運送関連作業に該当します)〕
全港湾HPより)

驚くべき低さだが、これを約16万4千円に上げよ、というのが、今回の労働側の要求だった。
しかし、資本側はこれを拒否したどころか、産別最低賃金の設定(交渉)すら拒否するという挙に出た。もっとも、これは2016年頃からのことで、今回のストライキは「もう我慢ならん!」という労働側の判断に基づいていた。
産別交渉が否定された場合、労働者は企業別に組合をつくって事業者と交渉に当たるわけだが、交渉力が弱まるのは避けられず、実際には資本の言いなりになる他ない。資本側の狙いは、労働者の団結を破壊し、その賃金交渉力を無力化して、最低賃金(あるいはそれ以下)まで下げるところにある。

本来ニュース報道はここまで書いてようやく労使間のバランスが取れて、「公正中立」を標榜できるはずだ。
この点を省いてしまえば、「無理な賃上げを要求する労働組合が市民に迷惑を掛けるストライキを勝手にやってる」という構図をプロパガンダすることになるし、実際それをやっているのがNHKなのだ。

象徴的なことに全港湾は1972年から2015年まで日本港運協会と団体交渉を行い、産別賃金を設定してきたが、この44年間こそがまさに戦後和解体制そのものだったのだ。そして、資本側が産別統一交渉や生活保護水準の最低賃金の引き上げを拒否するという事態は、戦後和解体制の全面瓦解を象徴している。

マルクスは、自らの待遇を守るために、資本に同調して外国人労働者などの下層労働者の疎外に荷担する労働者を「哀れなプロレタリア」と呼んだが、現行の資本や政府による暴虐に対してなすすべのない西欧社会民主義政党や日本の連合はまさにこれに相当する。
やはり戦後和解体制こそが例外的な体制であり、世界は再び資本と労働が血で血を洗う闘争を演じる時代に突入していくのかもしれない。

【追記】
全く残念ながら私自身は全港湾本部にお邪魔したことは無いのだが、ある同志によれば、委員長室には巨大な赤旗が掲げられ大きなレーニン像が鎮座まし、周恩来の書なども掛かっており、いささか時代錯誤(懐かしさ)を感じさせるところだという。
全港湾労働者の皆さんには、遠くの地より心より連帯の意を表明するものである。

【追記2】
マルクスを持ち出すまでも無く、労働者が団結して、資本の横暴に対抗し、労働者が唯一提供できる「労働力」を結集して提供拒否するストライキは、労働者にとって唯一の武器である。その武器をカードに交渉するのが労働組合の重要な役割となる。とはいえ、伝家の宝刀は抜いてしまえば「それきり」という側面があり、抜かずに済めばそれに越したことは無い。しかし、今回の一連の争議は「ストライキをやらない労働者は一方的に収奪される」というマルクスの指摘が正しかったことを示している。
1970年代以降、ストライキが減少したのは「戦後和解体制」が機能して、労使協調路線が成立したためだが、ソ連崩壊を経て同体制が解体されつつある中、労使の利害が一致しなくなっているわけだが、「平和」の時代が長かったため、労働組合は自らの役割を忘れ、戦力として機能しなくなっている。そして、全港湾がストライキを打てるのは、産業報国会の後進と言える連合の指導下に無いところが大きいと考えられる。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月18日

モスクワ会戦1941

「縦横戦国」をデザインされた孫さんの「モスクワ会戦1941」をプレイ。
見た目は良くできた同人ゲームだし、分量的にも「ミニゲーム以上フルゲーム未満」といったところ。ゲーム雑誌付録の「2in1」ゲームな感じか。

ハーフゲーム規模の割に、チット行動式とアンドライド・システム(戦力未確定)の両方を備えており、ルールを読んでいても「いささかギミック盛りすぎでは?」という感触。
そもそもこの日は「これで良い?」と中国語のルールを渡されて、その場で中文ルールを読んでプレイするという「いきなり本番」モード。まぁお客様扱い終了なのは当然か。
中国語は聞く、特に話すはまだまだだが、読む方はもともと漢文の素養もあって、苦にはならないが、それでも細かいところや不明な点は出てくる。まぁその辺は40年プレイヤーの感と、怪しげな中国語と英語でカバーすることに。

お相手は大学に入ったばかりの若い子。ここではほぼほぼ私が最年長者あるいは次点なのだが、この年齢層の圧倒的な低さも中国市場の有望な点だ。日本では、特にウォーゲームは「老兵は去りゆくのみ」みたいな感じなだけに、嬉しくも寂しい。
どっちを持つかを聞かれ、前回相手は別の方だったが、日本軍をもってボコボコにしてしまったので、ソ連軍を持たせてもらうことに。

マップはハーフマップに、カリーニンからクルスクまで入るかなりの広域。ユニットは基本が軍。1ターンは2週間。
基本的なシステムは、オーソドックスなチット式で、ドイツの装甲集団は通常チットと機械化チットの二つを持っているが、チット数は毎ターン限定されており、何を入れるかはプレイヤーの判断となる。
ソ連側は「スタフカ」チットがあって、好きなタイミングでいずれか一つの司令部を活性化できるのだが、ゲーム中三回しか使えない。

ドイツ軍は攻撃して包囲しての繰り返しなのだが、一回の活性化で移動か攻撃のいずれかしかできないため、全体の進行はやや地味な感じ。包囲されても、「攻撃・移動力半分」「防御力半分」「降伏チェック」と三段階以上あるため、結局のところは攻撃する必要がある。

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実際の進行は、第一ターンに展開を見誤った私の失敗もあって、ブリャンスク方面に大穴が空いてしまうのだが、ドイツ・プレイヤーが慎重だったため、大崩壊には至らず、ギリギリ戦線を維持できた。
ドイツ軍はまず順調に戦線を押してゆくものの、平押しにしかならず、ソ連軍の戦線がモスクワに向かって狭くなると同時に、防衛線にも厚みが増して、モスクワから3ヘクスほぼ手前で頓挫、周辺都市の占領に向かうも時間切れとなって、ソ連の勝利に終わった。
ただ、点数的には「ソ連軍の辛勝」といった感じで、「ツーラもクリンも維持しているのにこの点差は厳しい」と思った次第。恐らくは、史実と比較しての勝利条件設定なのだろう。デザイナー的には、ソ連側がもっと反撃することを想定しているようなのだが、反撃の戦闘比はせいぜい2対1にしかならず、敢えて攻撃に出るインセンティブは沸いてこない。
私のイメージでは、ドイツプレイヤーが積極的に突進すれば、よほどチットの出が悪い場合を除いて、ソ連側は非常に厳しい展開になる傾向が多そうな気がする。
また、アンドライド・システムは良いとして、損害を受けたユニットの補充をする場合のルールに不明確な点があり、疑問が残る。

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ゲーム単体としては「悪くはない」感じだが、考えて見れば、みなどこかで見かけたルールをつなぎ合わせて再構成している感触が強く、わざわざ本ゲームをプレイするインセンティブには欠けるような気がする。
そんなような感想を伝えたところ、「やっぱり貴方もそう思いますか、私たちもあまり評価してないです」との答え。「おいこら、評価低いゲームを勧めたんきゃ!」というのは野暮というものか(笑)

こうした同人ゲームもどんどん作られており、カフェに来ている皆さんも続々と自作ゲームのデザインに励んでおられ、その熱意たるやまさに創成期のそれなのかもしれない。

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中国語版「パスグロ」。画は同じでも別のゲームにしか見えない。

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CMJ「官渡の戦い」は日中台ほぼ同時発売。凄い時代デス。中華風デザインもカッコイイ。

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posted by ケン at 12:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする