2017年04月24日

民進党がダメなワケ

【民進・結党以来最低 支持率6・6% 共産にも奪われ 産経・FNN世論調査】
 民進党の支持率低落に歯止めがかからない。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査で、民進党の支持率は6・6%と昨年3月の結党以来、最低を更新。国会で学校法人「森友学園」(大阪市)問題などを追及しても支持には結びつかず、足元では身内が離反する始末で、蓮舫執行部は八方塞がりの状況だ。
 「先週、残念なことが続いたことが、そういう結果になっているのだろうと思う。国民に申し訳ない」
 野田佳彦幹事長は17日の記者会見で低支持率の原因について、長島昭久元防衛副大臣の離党届提出や細野豪志元環境相の代表代行辞任が重なったことを挙げた。「極めて苦しい時期だが、改めて国会対策や選挙対策にしっかりと心して臨んでいきたい」とも語ったが、党勢回復の妙案は見えてこない。
 支持率低迷の最大要因は、旧民主党政権を支えた無党派層の支持が戻らず、一部は共産党にも流れていることだ。今回の調査で「安倍晋三内閣を支持しない」と答えた人に支持する政党を問うと、民進党と共産党が14・5%で並んだ。さらに「支持政党なし」は53%にも上った。
 安倍内閣の支持率59・3%も踏まえると、民進党は政権に反発する数少ない人の支持さえつかんでいない実態が浮かび上がる。
 昨年9月に就任した蓮舫代表には、次期衆院選に向けた「選挙の顔」として無党派層の取り込みが期待された。蓮舫氏は「提案型」の党運営を掲げ、一時は次期衆院選公約に「2030年原発ゼロ」を打ち出せないか模索もした。
 しかし、2030年原発ゼロは党最大の支持団体、連合の反発で表明を断念。前執行部から引き継いだ共産党との共闘路線も「政権担当能力への不安を増幅させ、無党派層への遠心力となった」(党閣僚経験者)面が大きく、支持率は10%前後の低空飛行が続く。
 7月2日投開票の東京都議選をめぐっては、18人いた民進党都議のうち5人が離党届を提出し、さらに1人が提出の意思を固めた。小池百合子都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」に流れる「離党ドミノ」も止まらない。
 党内では、代表のリコールを検討する勢力もあるが、「党の再生を図るより分裂した方が手っ取り早い」(保守系議員)との声すら上がっている。
(4月17日、産経新聞)

サンケイなので悪意剥き出しの記述になっているが、急所は外していない。
民進党の支持率が上がらないのは単純に野党第一党、あるいは政権党の対立軸として認められていないことに起因する。何度も述べていることだが、繰り返したい。

現在のところ民進党の国会議員は大きく三派に分けられる。これは実際に所属する派閥や勉強会とは別に、基本的な政治スタンスで考える。つまり、保守派、中間派、労組派である。
保守派は今回離党した長島氏に象徴されるように、「集団的自衛権」「共謀罪」「原子力発電」「親米外交」「TPP」などの点で自民党と何ら変わらないスタンスを持ちながら、自民党の公認が得られずに民主党から立候補、当選した者たちを指す。多少の温度差はあるものの、党代表の蓮舫氏、党幹事長の野田氏を筆頭に、前原氏や官僚出身者たちの多くもこれに属する。そもそも論でいえば、代表と幹事長を筆頭に保守派が執行部を握っている段階で、自民党との対立軸など打ち出せるはずもない。集団的自衛権にしても、共謀罪にしても、原発再稼働にしても、野田内閣が推進してきた政策であるだけに、反対すれば反対するだけ説得力を失う構造になっている。本来であれば、長島氏が離党するのではなく、野田氏と前原氏が率先して離党して保守新党をつくり、自民党と連携していれば、政界の構図はかなり明快になったはずであり、保守派を除いたメンバーで新たな対立軸をつくることも可能だった。

だが、現実はもっと厳しい。仮に保守派が抜けた場合、党の主導権は連合系が握ることになるが、連合は連合でその政策は現在の民進党よりも自民党に近いからだ。例えば、「集団的自衛権(ゼンセン)」「原発再稼働(電力、電機)」「TPP(自動車)」「リニア新幹線(JR)」などが象徴的だが、実は肝心な労働問題では連合は「同一労働同一賃金」「残業規制」「扶養控除廃止」に反対で、むしろ自民党よりも保守的なスタンスをとっている。それだけに、仮に労組派が主導権を握ったところで、政府・自民党に批判的な大衆の支持を得るような政策を打ち出せる可能性は非常に低い。ちなみにある産別で政党支持のアンケートをとったところ、自民党が3割に対し民進党は2割だったという。

連合はなぜ自民党を支持しないのか 
連合が自民党と合一的である理由について 

中間派は、その場その場のパワーバランスを見て強い方につくだけで、自らの当選、再選しか考えていない連中なので、ここでは考慮する必要は無い。

また政策的には、自民党安倍・麻生の右翼新自由主義路線(緊縮財政、供給者優遇)への対立軸として最も有効だったであろう左翼ポピュリズム路線(積極財政、消費者優遇)を打ち出したのが小沢・鳩山両氏だったわけだが、財務省の影響下に置かれた菅・野田両氏によって全面否定された挙げ句、党を挙げて追放してしまった。その結果、民進党は同じ路線を打ち出せず、かといって代替案も無いまま、ただ「自民党に反対するだけ」になってしまっている。菅や野田氏らを排除しない限り、路線転換もできない状態にある。

まぁ結論としては、サンケイに書かれるまでもなく詰んでいるんだけど。
posted by ケン at 12:06| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月22日

策に溺れて自分の首を絞める連中

【「わが闘争」の教材使用可能=政府答弁書】
 政府は14日の持ち回り閣議で、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの自伝的著書「わが闘争」の教材使用について、「教育基本法等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる」とする答弁書を決定した。民進党の宮崎岳志氏の質問主意書に答えた。答弁書では、「同書の一部を引用した教材を使用して、執筆当時の歴史的な背景を考察させる授業が行われている例がある」と紹介。その上で、「仮に人種に基づく差別を助長させる形で使用するならば、同法等の趣旨に合致せず、不適切であることは明らかだ」と指摘し、そうした指導があった場合は「所轄庁や設置者において厳正に対処すべきものだ」としている。 
(4月14日、時事通信)

こういうの出した本人は「してやったり!」と思っているのだろうし、リベラル派は「やっぱり自公政権はファッショ」と「いいネタもらった」と喜んでいるようだが、実際のところは何のことは無い、全体主義教育のお墨付きを与えてしまっただけの話であり、そのとばっちりを受けるのは一般市民であろう。

何も考えていない、その場のポイントを稼ぎたい国会議員がこの手の質問(主意書)をするたびに「政府許可」の範囲が広がる構図になってしまっている。一度政府が許可してしまえば、政権交代して政策転換しない限り、どのような教材も有効であり続ける。たとえ政権交代しても、霞ヶ関の「国家無謬論」により、一度出した政府答弁書をひっくり返すのは容易ではない。

この間、国会の議論で十分にポイントを上げられない民進党は、質問主意書を山のように出して、官僚の主観的には「ハラスメント攻撃」を仕掛けているが、自民党的には「もっけの幸い」とばかりに「災い転じて福となす」にしてしまっている。
政治的センスの点でも民進党は話にならない。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月21日

朗報!連合が脱民進へ

【都民ファーストの候補、連合東京が推薦へ 都議選】
 7月の東京都議選で、連合東京が、小池百合子都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」の候補を推薦することが分かった。連合が支持する民進党からの離党者が対象。民進都議らの離党が加速する可能性がある。
 関係者によると、連合東京と都民ファーストは3月上旬、民進在籍時から連合東京が支援してきた候補に限り、都民ファーストに移った後も推薦することで一致。一方、長時間労働の是正などの政策を推進することでも合意したという。民進の勢いが低迷するなか、連合東京は支援候補の当選を図る狙いがあるとみられる。民進と都民ファーストの候補が競合する選挙区では、民進候補の支援を優先するという。
 都議選では、民進の公認予定者36人のうち7人が離党届を出し、うち4人は都民ファーストの公認予定者になった。連合東京は、このうち3人の推薦を決めている。離党が続く現状について民進党幹部は「『選挙互助会』のようで、かっこ悪い」と話した。
(4月4日、朝日新聞)

全国の民進党支持者の皆さまに朗報です!
ナショナルセンター連合がいよいよ脱民進に向けて舵を切りました。早速、某産別幹部にお話を伺ったところ、「あれは東京のことだから」とバッサリ。でも、そんな妄言が許されるわけがありません。「満州事変は関東軍が勝手にやったこと」とでも言うつもりなのでしょうか。バカですね。
でも、これにより、民進党候補は安心して脱原発も、反リニアも、電波オークションも、同一労働同一賃金も主張できるようになるでしょう。まぁ都議選にはあまり関係ありませんが。
今後は、さらに連合系候補が離党を進め、現職都議でも小池新党に寝返るものが続出すると思われます。永田町では「少なくともあと10人は離党する」と言われています。
ちょうど良い機会なので、党中央でもコミュニストとの連携を進めて連合執行部を揺さぶってやれば、すぐにも本性を露呈して自民党に降伏するでしょう。
野党に寄生して対立的な政策・主張を妨害することで間接的に政権党と霞ヶ関を支援する連合は、議会政治と民主主義を阻害する100%有害な存在でしかありません。
今後、連合さんには自民党議員を積極的に支援いただいて、「すべての働く人たちのために、雇用と暮らしを守る」理想を実現していただければ幸いです。

余談ですが、連合の歴代会長の最高学歴と叙勲歴は以下の通り。

初代 山岸章:海軍予科学校、金沢逓信講習所−勲一等
二代 芦田甚之助:早稲田大学−従三位
三代 鷲尾悦也:東京大学−従三位
四代 笹森清:川越高校−従三位
五代 高木剛:東京大学−旭日大綬章
六代 古賀伸明:宮崎大学
現職 神津里季生:東京大学

歴代会長のうち大卒でないのは山岸、笹森の二名のみ。東大出の会長が半数を占めています。例えば、モスクワ大学出で胸にキンキラキンの勲章が並ぶ全ソヴィエト労働組合中央評議会議長が「全労働者の代表」たり得るかと言われれば、あり得ないでしょう。官製組合とはそういうものなのです。

【追記】
つい先日、うちの事務所にも連合幹部が訪れて、ボスに「これ以上NK党と共闘、連携姿勢を示すなら、一切推薦しないし、あらゆる協力もしない」と強請して帰られました。もちろんわがボスは連合に絶対忠誠を誓うものでありマス!
posted by ケン at 12:31| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月20日

The Soviet-Afghan War (MW)

「Strategies and Tactics」誌の姉妹誌である「Modern War」第26号を購入。付録ゲームは「The Soviet-Afghan War 1979-1989」

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確か12月初旬に米国で刊行されたはずだが、同下旬には付録ゲームのルール和訳が添付されてイエサブで販売されていた。ロクに確認せずに衝動買いしてしまった結果、開けてみてからソロプレイ専用であることに気づいた。まぁソロプレイ用と分かっていても、考えた挙げ句買っていただろうから問題は無い。ソ連・東欧学徒としては避けて通れないテーマである。
デザイナーはJoseph Miranda氏。初見のデザイナーだが、S&T誌を中心に古代から現代戦まで手広くデザインされている模様。

対ゲリラ戦をソロプレイとか考えただけで鬱々しそうなシチュエーションだったが、テーマもマイナーなだけに人を誘うのも気が引け、まずは一人で試すことにした。
だが、ルールを読んでみると、色々独特なシステムの上、(訳ではなく)ルールそのものに不備が多く、特に兵科記号やユニットの説明に不足が多いため、「スペツナズ旅団ってどれ?」「イスラム義勇兵ってどれ?」「ジハーディストとイスラム義勇兵は別物?」みたいな混乱が次々と生じた。こういう時も他人がいれば、相談もできるが、一人だと延々と原文と日本語ルールを見て悩まないとならない。
とはいえ、ルールそのものは簡単で、ユニットも少ないため、一度プレイしてシステムを把握してしまえば難しいことは何も無い。

取りあえず1979年のソ連による軍事介入から始まる第一シナリオをプレイ。1ターン1年で、短期シナリオだと80年までの2ターンで、カブールと他4都市とサラン峠(トンネル)を制圧、支配することが求められる。
ゲリラはまず2ユニットがカブールに配置された後、さらに8ユニットが国内にランダムで置かれる。ソ連軍はカブールに駐留する特殊部隊の他は、4個機械化師団と1個空挺師団を基軸とする介入軍がウズベキスタンに待機中。あとアフガニスタン政府軍が全国に配置されるが、初期配置の後、治安部隊と特殊部隊を除く戦車師団と歩兵師団は「逃散チェック」が入り、恐ろしいことに1D6で「1〜4」で除去されてしまう。いきなり萎えそう。

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赤が政府軍、カーキはソ連軍、ゲリラは基本裏返して配置される。

だが、本ゲームの恐ろしいところは、見た目ではなく、ソ連軍や政府軍が行く先々で雲霞のごとくゲリラが沸いて出てくるところにある。戦闘中のエリア、あるいは未占領のエリアで軍が移動を終えると、ゲリラ側の士気チェックを行い、成功すると士気値に該当する数のゲリラが新規で置かれるのだ。
しかも、ターン開始時の動員フェイズで、ゲリラは数個ランダムで登場するが、一度制圧、占領したエリアにも置かれるので、全く安心できない。逆にこのランダム配置で、都市部にゲリラが登場しなければ、コミュニスト側が勝利条件を達成できる可能性が生じるため、ランダム要素が大きい。

ちなみにこの士気値は両軍ともに0〜12あり、0になると士気崩壊でサドンデスになるが、コミュニスト(プレイヤー)の初期値は4、ゲリラは9から始まる。ソ連軍移動後、2D6の士気チェックを行い、9以下に成功するたびに4ユニットの新規ゲリラが配置されるわけだが、コミュニスト側はエリア毎に6ユニットのスタック制限がある。
戦闘は1ラウンド限りで、コミュニスト側は最大の6ユニットを動員しても除去できるのはせいぜい3ユニット前後でしかない。「打ち漏らし」があると、次の戦闘でまたゲリラが沸いてくる恐れがあるし、ゲリラ側の攻撃でコミュニスト部隊にダメージが入るとソ連側の士気が低下する。
しかも、コミュニストは作戦行動(移動・戦闘)をするたびに士気値を消費するため、「ゲリラが出た」とばかりに討伐に向かうと、討伐に向かっただけで士気が下がり、さらに自軍に損害が出て士気が下がってしまい、ターン終了時には士気値は1か2程度しか残らない構造になっている。そのため、コミュニスト側に立て続けに損害が出ると、それだけで士気崩壊でサドンデス敗北になってしまう。
一方、ゲリラ側は支配エリアと「両軍不在」の合計エリア数によって毎ターン士気が上がる上、さらにイベントでも上がりやすくなっているため、戦闘で1、2ポイント失ったところで、常に10前後の士気を維持している。

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ジャララバードは孤立。クンドゥズとカブールは継戦中、サラン峠とパンジシール渓谷は放置、とても勝てそうに無い。

実際のプレイでは、一度目は「カブール」「他四都市」の占領には成功するも、サラン峠の支配に失敗して終了。
若干ルール理解を誤っていたので、もう一度同じシナリオをプレイするも、2ターン目の作戦でコミュニスト側の損害が続出した上、ゲリラ側の攻勢でも損害が生じてソ連の士気がゼロになってサドンデス敗北。
3度目は、長期シナリオにするも、ゲリラは増えるばかりな上、その士気は10〜12で高止まり、コミュニスト側はギリギリ士気崩壊を免れるのが精一杯で、1985年までプレイするも、全く勝てる見込みが無く、諦めた。

コミュニスト側はいくつか幸運な状況がそろえば、一時的に勝利条件を達成できる可能性がなくは無いが、基本的に展望の無い「無理ゲー」を続ける展開になりそうだ。
まぁ「史実はこんなものだった」と言われればそうかもしれないし、歴史体験としては興味深いが、ゲームとして面白いかと聞かれれば微妙すぎだろう。
取りあえずもう一度『第9中隊』を見ておくか。

【参考】
・ソ連のアフガニスタン介入における意思決定過程 
・『アフガン』(第9中隊) 
・『アフガン侵攻1979-89: ソ連の軍事介入と撤退』 ロドリク・ブレースウェート 白水社(2013)
posted by ケン at 12:46| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月19日

「トランプの戦争」に不安

【NYダウ平均 130ドル余下落 米軍の大規模爆弾初使用で】
 13日のニューヨーク株式市場は、アメリカ軍がアフガニスタンで大規模な爆弾を初めて使用したことなどから、地政学的なリスクが意識されて売り注文が広がる展開になり、ダウ平均株価は、130ドル余り下落しました。13日のニューヨーク株式市場は、取引開始直後は、小幅な値動きが続きました。しかし、アメリカ軍がアフガニスタンで大規模な爆弾を初めて使用したことなどから、地政学的なリスクが意識されて売り注文が広がる展開になりました。このため、ダウ平均株価は前日より138ドル61セント安い2万453ドル25セントで取り引きを終えました。市場関係者は「アメリカ軍による大規模な爆弾の使用によって、今後の北朝鮮の情勢に対する警戒感が高まり、リスクを避けようという動きが広がった」と話しています。
(4月14日、NHK)

トランプ氏的には、ビジネス感覚で「アフガンで兵器見本市を」くらいのつもりだったのかもしれないし、あるいは国防省トップの政治任用が進まない中、軍部の暴走が始まっているんかもしれないが、平素「アメリカの戦争」は株価が上がる傾向があり、それ故に従来の大統領も武力行使への誘惑に耐えるのが大変だった。ところが、シリア攻撃では防衛産業を除く株価は変動せず、アフガニスタンでは新型爆弾を披露したものの、株価を下げてしまっている。

アフガニスタンにおける新型爆弾の使用は、北朝鮮攻撃を視野に置いてのものと見られるが、同時に2001年のアフガニスタン侵攻から15年以上を経てもなお「核兵器一歩手前」の爆弾を使わなければならない戦況にあることも露呈させている。
北朝鮮については、一撃で核とミサイルを無力化するか、あるいは首領の身柄を確保ないし殺害できれば良いかもしれないが、不確定要素が非常に多い。しかも、どちらの場合も、現体制は高確率で瓦解すると思われるが、「その後」の計画があるようにも見えない。北朝鮮は、自分の好きなタイミングで花火を上げられるだけに、今やる必要はなく、ほとぼりが冷めた頃にやれば良いだけに、長期戦に持ち込まれて困るのはアメリカの方だろう。

こうした不透明な大戦略、出口戦略が見えない、行き当たりばったり感が、市場にも反映されているのだろう。
トランプ氏にしても、親米派の皆さんにしても、「アサド、金体制が瓦解して、民主政府が成立して万事解決」みたいなバラ色の未来が見えているのだろうか。だとすれば、是非ともどんな道順なのか示して欲しい。
posted by ケン at 12:26| Comment(2) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

英語主兵論を放棄せよ!

【中3と高3の英語力、政府目標達成は僅か36%】
 文部科学省は5日、全国の公立の中高生らを対象にした2016年度「英語教育実施状況調査」の結果を公表した。政府が17年度までに目指す英語力のレベルに達した中学3年生は全体の36・1%(前年度比0・5ポイント減)、高校3年生は36・4%(同2・1ポイント増)だった。政府目標は50%で、達成は厳しい状況だ。教員の英語力についても調査し、政府目標に達した英語教員は、中学校が32・0%(同1・8ポイント増)、高校62・2%(同4・9ポイント増)にとどまった。政府は、グローバル化に対応するため英語教育の充実を掲げ、13年6月の閣議決定で、中学卒業段階で「実用英語技能検定(英検)3級程度」以上、高校卒業段階で「英検準2級程度」以上の英語力を持つ生徒の割合を17年度までに50%にする目標を掲げた。
(4月5日、読売新聞)

相変わらずバカげた話をしている。何度も述べていることだが、10年以内にも機械翻訳が実用水準に至るとされている中で、いつまでも英語に重点を置いて、他教科を犠牲にしてでも強化しようとしている。これは、旧海軍が自らハワイとマレー沖で航空時代の到来を証明しながら、自らは1944年に至るまで戦艦主兵論を破棄できなかった故事とよく似ている。

近い将来、実用外国語の大半は機械翻訳に置き換えられると見られるが、これは必ずしも外国語教育を不要にするわけではない。機械翻訳は技術を代替するだけで、コミュニケーションそのものまで代替してくれるわけではない。仮に高精度の自動翻訳が完成、駆使したところで、言語が置き換えられるだけの話で、話者の認識や社会的背景は母語に依存したままなのだ。歴史、社会的習慣、文化、文学などの共通認識を持たないまま、言語だけを置き換えてみたところで、コミュニケーションとしては十分には成立し得ないし、深い共通理解は得られないだろう。つまり、言語が機械で代替されるだけに、言語以外の要素が重要となる。
結果、これからの外国語教育は、現在取り沙汰されている会話能力ではなく、教養としての外国語、文化こそが求められると考えられる。

コミュニケーションは意味が通じれば良いというものではない。旅行会話や日常生活に必要な最低限度の会話は、それこそ現状の機械翻訳で十分なのだ。会話や文章の表象には現れない隠された意味や意図を読み取ると同時に、こちら側も明言しない(言質を取られない)形で意思を伝えるテクニックこそが求められ、それは機械翻訳では再現できない(少なくとも当面は)。
また、言語以外の部分でコミュニケーションを深化させなければ、関係性も深化しない。例えば、ある一つの営業活動であれば、機械翻訳のみで成立させられるだろうが、そこからさらなる契約を結んだり、新たなプロジェクトに進めるためには、表象的なコミュニケーションだけでは難しいものがある。
具体的には、どれだけ中国語がペラペラでも、孔孟や老子、あるいは史記や水滸伝を読んだことが無ければ、エリート層の中国人と深い関係になるのは難しいだろう。ウオッカが飲めなければロシア人と深い仲になるのは難しいし、プーシキンの詩をそらんじることが出来れば敬意をもって遇されるに違いない。
ところが、日本の現状は、漢文を必修から外して英会話の授業を増やしている。大学では第二外国語の廃止が進んでいる始末だ。

実用英語論を放置するとしても、文科省の目標は現状を完全に無視している。公立中高の教育水準が低いのは、単純に授業時間が足りないのと、教員の質が低下しているためだ。
授業時間が足りないのは、必要性の低い行事・イベントが多すぎることと、課外活動が多すぎるためであり、入学式と卒業式以外の学校行事を全て廃止、部活動も全廃して授業に充てれば解決するだろう。
教員の質が低下しているのは、労働環境が恐ろしく悪化しているためで、例えばOECDの調査で、教員の平均週勤務時間53.9時間のうち部活動関連が7.7時間を占めている。ちなみにOECD平均は38.3時間に対して2.1時間に過ぎず、日本の教員の労働地獄ぶりが伺われる。東京などの大都市部では、教員採用の競争率は3倍を切る有様であり、英語を自在に使えるような高度人材が中等教育の教員を目指すような環境には全くない。
共産党系の全教のデータなので注意が必要だが、小中高校などの教員の残業時間は月平均約95時間半で、10年前の調査より約10時間増えているという。うち、学校での残業が約73時間で、自宅で仕事をする時間が約22時間半となっている。小中別では、小学校の残業時間が月94時間21分、部活動が増える中学は114時間25分。月100時間以上の教員の割合は小学校34%、中学52%だった。
(教員給与削減という愚策) 

文科省は、教員研修や外部人材の活用を考えているようだが、何の解決にもならないだろう。この凄まじいまでの無策、無能は一体どこから来るのだろうか。
posted by ケン at 12:24| Comment(2) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月17日

資本の論理と血統主義の呪縛

【経団連会長、人手不足への対応「日系人に日本で働いてもらう」】
 経団連の榊原定征会長は10日午後の記者会見で、人手不足について「今後さらに深刻になる。いまの外国人労働者の規模では足りなくなる」と認識を示した。そのうえで「海外の労働力の活用を長期的に検討していく必要がある」と述べた。外国人労働者の活用の一例として「日系人に日本で働いてもらう」ことを挙げた。榊原会長は東京電力ホールディングス(9501)の川村隆次期会長(日立製作所名誉会長)に関し「日立が苦境に陥った際に経営改革を実行して立て直した」と評価した。「東電には福島第1原発の廃炉や被災者への賠償など大きな課題があるが、力を発揮してもらえると期待している。経済界としても可能な限り応援していきたい」と述べた。
(4月10日、日本経済新聞)

あまりにも剥き出しの資本の論理と御都合主義的な血統主義に圧倒される。リーマンショック後、日系人労働者が大量に解雇され、経団連の圧力によって「強制帰国事業」が政策化されたのは、ほんの7年前のことだった。文字通り「舌の根も乾かぬうちに」またぞろ「日系人」を徴用したいという。

この話は詰まるところ、「安価な労働力」としての外国人と、「忠実で上に楯突かないだろう」「見た目的に外国人度が低い」日本人の血統を有するという条件が合致したことに起因する話で、要は「いつでも解雇可能で、待遇に文句を言わず、ただ同然で働かせられ、人権を侵害してもあまり文句を言われない」労働力を望んでいるだけなのだ。これは、戦前期において朝鮮人や台湾人を「帝国臣民」と規定しながらも、実際には「二級市民」として扱い、「権利の弱い安価な労働力」として過酷な超低賃金労働につかっていたことと根を同じくしている。
その意味では、巷間指摘される安倍政権による「戦前回帰」は、財界からの要請もあると言えるのかもしれない。

(こういう表現が適切かは別にして)日本人、日本国籍保有者ですら、現状では雇用が守られているのは大企業だけで、労働時間は実質無制限、残業代は支払われればマシな程度、有給休暇制度はあっても好きには利用できない、低賃金、パワハラ・セクハラは放置状態という、欧州人からは想像も付かない地獄的環境にあるが、日本の資本家どもは「日本人労働者は恵まれすぎて利益を出せない」と考えている。クロネコのような大企業ですら、不払いだった残業代のうち払うのはたった2年分だけであるのは非常に象徴的だ。

こうした資本家どもの横暴が放置されているのは、日本の労働運動や社会主義勢力(社会民主主義者とマルキストを含む)がいかなる影響力も無いことに起因している。
労働運動の最大勢力である連合は、全労働者の12%程度を組織しているのみで、それもエリート労働者ばかりで構成されている。連合幹部の家を見てみれば分かるが、そこら辺の中小企業の社長などよりも余程贅沢している。つまり、「官製ではない」というだけで実質的には「赤い貴族」なのだ。その結果、労働時間規制を議論する時でも、「規制が無いよりはマシ」程度の理由で、ストライキを打つこともなく、「残業月100時間」で合意してしまった。これでは、旧東側の官製労組や戦中期の産業報国会と何ら変わらない。

国会(衆議院)を見てみれば、社会主義を奉じている政党(NK党と社民党)の議席は5%にも満たない。これは、日本の労働者が恐ろしく収奪されているにもかかわらず、自らの労働者性を全く認識していないため、自分がいかに虐げられている環境に置かれているかすら気づいていないことが大きく影響していると考えられる。これでは、レーニンの前衛党理論が再評価されても致し方あるまい。逆に考えると、社会党が消失したにもかかわらず、NK党が伸び悩んでいるのは、2000年に前衛党ドクトリンを放棄して「(物わかりの)良い子」になってしまったからかもしれない。

一方、日本の資本家は資本家で相当に頭が悪い。デフレからの脱却が進まず、出生率が上昇しないのは、過酷な労働環境と低賃金・低所得に起因している。同時にいつまでたっても労働生産性が改善されないのは、低賃金の労働者を長時間にわたって酷使できる環境が放置されているため、業務の効率化や機械化を進める必要が無いことに起因している。生産性が上がらないため、賃金も上げられず、消費が増えずに景気が低迷する悪循環だ。
この状況下で、さらに無権利、低賃金の外国人労働者を動員してみたところで、労働生産性をさらに悪化させ、競争力の無い企業を温存させるだけであり、その行き着く先は「資本主義の緩慢死」でしかない。連中の言は、まさに無能な指揮官が上級司令部にひたすら増援要請を行い、「勝てないのは司令部が増援をよこさないからだ」と言うのに等しい。

マジで「バカばっか」

「私が魔法の壺を持っていて、そこから艦隊が湧き出てくるとでも奴は思っているのか?」(ラインハルト・フォン・ローエングラム)
posted by ケン at 12:09| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする