2015年08月12日

8月の読書計画(2015)

完全に夏バテ・モードの上、国会会期中でお盆休みも2日だけなので、どこまで読めるかは分からないけれど。

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『コマンド・カルチャー 米独将校教育の比較文化史』イエルク・ムート 中央公論新社(2015)参謀本部の歴史を語るものはあまたあれど、士官教育の全容を記したものは意外と少ない。しかも、米独の士官学校を比較しているので、非常に興味深い。我々はつい、「敗北したドイツと勝利したアメリカ」という視点から先入観を抱いてしまうが、実態はかなり異なるようだ。ドイツの将校教育を模しつつも、民主国家で成立した米士官学校が、非常に硬直的で閉鎖的な教育に終始したのに対し、保守的で権威主義なはずのドイツの士官学校が実践的で一定の自由が保障されていたという。

『ロシア革命と日本人』 菊池昌典 筑摩書房(1973)
当時の日本人がロシア革命をいかに評価し、それに続くシベリア出兵についてどのような議論を交わしたのか、を検証した貴重な一冊。シベリア出兵に際して政府は正当性の証明に難儀するが、結局のところ「人道的出兵」「日英同盟の義務」「東洋平和の護持」という説明をなした。昨今の海外派兵をめぐる議論と非常に論点がかぶっており、興味深い。

『シベリア出兵従軍記』 高島米吉 無明舎出版(2004)
「日刊山形」の従軍記者が書き残した記事や手記、スケッチを子孫がまとめたもの。シベリア出兵の当時者の一次資料は殆ど出版されておらず、貴重な一冊と言える。

『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』 山本武利 岩波現代全書(2013)
連合軍による占領直後から内務省に替わって行われたGHQ検閲の実態に迫る。日本では、占領解除直前に大量の証拠が廃棄されたものの、米国立公文書館に残された資料から検閲組織と構造を探っている。また、緒方竹虎や永井荷風などの日本人がどのように関わっていったかも明らかにしている。分量的にはやや物足りないものの、「民主化支援」から「赤狩り」に至る経緯から、反米宣伝の取り締まりと親米宣伝の推進まで、興味は尽きない。占領期研究には欠かせない視点の1つ。

『坂口安吾 百歳の異端児』 出口裕弘 新潮社(2006)
先日亡くなられた出口先生の安吾論。積ん読状態だったので、この機にちゃんと読んでおこう。
posted by ケン at 13:11| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする