2015年08月23日

経済も大本営発表化?

【実質GDP年1.6%減 消費や外需が低迷】
 今年4月から6月の実質GDP(=国内総生産)の成長率は、年率でマイナス1.6%となった。今年4月から6月のGDP成長率は、実質で前の3か月と比べて0.4%のマイナス、年率に換算すると1.6%のマイナスだった。マイナスは3四半期ぶり。マイナスとなった主な要因は「個人消費」がマイナス0.8%になったこと。家庭用の電化製品や携帯電話の販売が減ったほか、6月の天候不順の影響で衣料品の販売が落ち込んだという。また、輸出も中国などアジア諸国を中心に落ち込み「外需」が0.3%マイナスとなった。政府は、今回の結果について、賃金の上昇より物価の上昇が上回っていることや、軽自動車税の引き上げなどが消費のマイナスにつながったと見ている。
(日本テレビ系、8月17日)


政府・自民党は「賃金を上げない企業が悪い」とか「増税の影響がまだ響いている(だから軽減税率)」などと言い、御用学者は「景気浮揚前の一時的落ち込み」とか「消費増税の影響が抜けない」などと言って、どちらにしても出来るだけ影響が小さいものと見せたいようだ。殆どミッドウェー海戦以降、自軍の損害を少なく見積もるようになった大本営発表に近づきつつある。

まず増税の影響というのはかなり無理がある。消費増税は昨年4月のことであり、前期との比較で成長率が下がったことの説明にはならない。軽自動車税の引き上げがここまでGDPに影響するというのも過大評価だろう。
物価上昇が賃金上昇を上回っていることは確かだが、物価上昇を加速させたのは間違いなく政府の円安政策と消費増税に起因しており、「円安にしてやったんだから企業は賃金上げろよ」と言うのは殆ど恫喝に近い。

政府(アベノミクスの立案者)的には、円安政策によって海外に移った生産工場を日本国内に戻し、輸出を促進することで、雇用を確保しつつ、企業業績の回復に伴い、賃上げも実現するだろうという読みだったに違いない。ところが、実際には企業の国内回帰は進まず、資本は設備投資に回されず、株価上昇に伴う財政(資本)投資に回されているものと考えられる。工場を建てるにしても、有望な市場が見込まれる海外に置くべきだが、中国やブラジルの市場が不安定である以上、金融に回す方が得策と考えてもおかしくはない。
アベノミクスが砂上の楼閣である以上、円安がいつまで続くか分からないのは当然の話であり、それ以上に労働力の減少と質的低下、そして市場縮小が確定している日本国内に生産工場を復帰させるのはリスクばかりが大きいと見るのが妥当なのだ。

政府は相変わらず、GDPの6割に相当する個人消費に期待しているようだが、殆どインパール作戦や大陸打通作戦に期待する大本営並みの妄想である。
2013年度の国民経済計算確報は、家計貯蓄率がマイナス1.3%になっており、全国民的に貯蓄を切り崩し、借金で生計を立てていることが判明している。政府はこれを高齢化の進展によるものと切り捨てているが、今後高齢化はさらに進展するのであって、自ら家計貯蓄率がさらに下がっていくことを認めてしまっている。そもそも日本の高齢者は年金額の低さから将来不安が大きく、今後物価高が続けば、さらに消費を控えるようになるだろう。

そして、政府が巨額の財政赤字を抱える中で、家計貯蓄がマイナスになるということは、銀行の預金残高が目減りし、国内で必要な資本を賄えなくなることになる。今のところ国内銀行の個人預金にも法人預金にも減少は見られないようだが、これは全体で見ると、消費せずに借金して預金に回しているようなもので、長続きすることは無い。
自民党はこうした流れを見ながら、ゆうちょ銀行の預金限度額引き上げを検討しているわけで、3千万円の預金保証が実現した場合、今度は預金獲得をめぐって金利引き上げ競争が始まる可能性がある。地方の人口減少と東京への一極集中がこれを加速させるだろう。

我々は、最低賃金の引き上げ、非正規雇用労働者の待遇改善、労働時間規制などを行って、個人消費の基礎体力を確保する施策を求めているわけだが、政府・自公政権はこの真逆を行っている。彼ら的には、「人件費を極限まで削って労働時間規制を撤廃すれば(労働力をダンピングすれば)、海外から企業が戻って、海外からの投資も確保できる」という腹づもりのようなのだが、生活保護水準よりも低い賃金で際限なく働かされ、体を壊せば二束三文の金でクビされるという社会を、一体誰が望むのだろうか、という話である。
posted by ケン at 09:46| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする