2015年11月04日

民主党は基地問題の対案を!

【民主・岡田代表「対案困難」辺野古を堅持 知事と初会談】
 翁長雄志知事は20日、民主党の岡田克也代表と党本部で初会談し、名護市辺野古の新基地建設問題について意見交換した。会談後、岡田氏は記者団に「政府には沖縄に寄り添う姿勢がない。集中協議を1カ月で打ち切り、工事を再開したことは極めて遺憾であり、今の(辺野古新基地建設の)やり方は反対だ」と政府の姿勢を批判した。
 一方、普天間飛行場問題の解決策については「対案がない中で無責任に辺野古反対とは言えない」と述べ、辺野古への新基地建設は容認する立場であることを明らかにした。翁長氏にも会談で伝えたという。岡田氏は対案を模索するか問われたが、「われわれが与党時代もさまざまな案を検討したが見つからなかった」と否定。対案を見つけるのは困難だとの見方を示した上で、政府に努力を求めた。この日の会談は民主側から持ち掛けて実現。党本部の枝野幸男幹事長、県連の花城正樹代表、清水磨男幹事長らが同席した。
(沖縄タイムス、10月22日)

岡田氏は一体何しに沖縄まで行って、知事に会ったのだろうか?野党第一党の代表が、与野党対立の最前線である沖縄へ行って、「政府案しかありません」と言うのだから、「バカじゃ無いの?!」と生卵を投げつけてやりたい気分だ。

民主党は鳩山政権期に普天間基地移設問題に手を出して失敗、米帝と外務省とその指示に従ったマスゴミの一斉攻撃に晒されて退陣した。その後、菅政権でいち早く辺野古移設を表明し、続く野田内閣でも推進してきた。その結果、2012年の総選挙において沖縄県で獲得した民主党の比例票は社民、NK党すら下回り、第6党となってしまった。最新の報道では、沖縄県内の民主党員はわずか3人だけだという。1989年の東欧革命後の東欧各国の共産党の方がよほどマシだった。
岡田代表は、それほど不人気な政策を、野党に転落して「二度と復活は無い」と言われる中、敢えて続けようとしているのだから、逆に「外務省に弱みでも握られているのでは?」と勘ぐってしまう。

民主党は、菅・野田内閣が掲げた政策が全く支持されなかったため、2012年の総選挙で歴史的敗北を喫し、そのまま政策転換せずに2014年の総選挙に臨んで「微増」に終わっている。このことは、菅・野田路線が「自民党と同じことやるなら自民党にやらせればいいじゃん」という評価が下されたことを意味するのであり、ごく当然の結果だった。にもかかわらず、二度の総選挙で大敗を続けた総括をせずに、いかなる政策転換もしていないのが、現在の岡田体制なのだ。
さらに今回の安保法案の審議で野党としての存在意義を完全にNK党に奪われた形になっており、来年の参院選と総選挙をどうやって戦うつもりなのか全く分からない。

まず民主党は、菅・野田路線を完全に放棄し、鳩山・小沢路線に回帰するか、新たな方針を打ち出さねばならない。その際、沖縄問題は重要なキーとなるだろう。最も重要なのは、「辺野古基地案の放棄、ないしは見直し」であり、続いて対案を提示することにある。
アメリカは、「堕ちた英雄」といえど、自由主義陣営の盟主であり続けているだけに、外国基地の存続は「周辺住民の理解を前提とする」原則を、少なくとも建前上は崩していない。普天間基地と辺野古基地案は、「住民の支持が無い」典型例であるはずだが、日本政府が「住民の理解は十分に得られている」と米国側に公式通達しているため、正当化されている。鳩山政権の時であっても、鳩山氏が堂々と「普天間と辺野古基地はともに住民の支持が無い」と表明していれば、米国側としては建前上ゴリ押しできなかったはずだ。アメリカが裏で工作してくれば、マスコミ(フランスとかロシア?)にリークしてやれば良いし、もし失敗したとしても沖縄県民にここまで嫌われることは無かったと思われる。

そもそも、米国では「基地存続派(ジャパンハンドラー)」と「本土撤退派(再編派)」が意見対立しており、前者が自民党・霞ヶ関と手を組んでいる以上、民主党は再編派と連携すべきだったのだが、米国側にコネクションを持たなかったため実現できなかった。野党外交の重要性を示す一例だろう。
その上で、民主党は辺野古案に替わる代案を用意する必要があり、現状で可能性があるのは3つ考えられる。

@ 米海兵隊本土撤退案(ハワイかテニアン)
A 岩国基地移設案
B 嘉手納基地統合案


中国軍の近代化が進んでいる現状下で、ミサイル攻撃の範囲内である沖縄に米軍基地を置く意味は大きく失われており、軍事的には中東にアクセスする中継基地の役割しか果たさなくなっている。特に海兵隊を置く意味は殆ど無く、実際に駐留している要員は非常に少ないと言われる。日米安保上の役割について言えば、自衛隊が敵国の第一撃を止め、米軍の支援下で反撃するという設計になっている以上、アメリカにとって米軍を第一線に置くことは、自らが紛争主体になってしまうリスクがあることを意味し、そのリスクを重く見る再編派は本土撤退を主張している。ところが、日本政府は「米軍を第一撃に巻き込むために沖縄に貼り付いておく必要がある」と考えており、それが世界に類を見ない「思いやり予算」となって、「宗主国に軍の駐留を懇願する」という状況が現出している。
現実には、中国の国力が増して東アジアのパワーバランスが中国側に傾くほど、米国にとってはリスクが増すと同時に、日本にとっての米軍の価値も増すだけに、在日米軍の駐留コストも急騰するところとなる。具体的には、米国内での基地存続派と再編派の対立が高まると同時に、基地存続派にしても日本側に米軍駐留を「高く」売りつけないと国内に説明が付けられなくなってしまう。結果、日本政府は今後ますます「アメリカの言いなり」にならざるを得なくなるだろう。

問題を根本的に解決し、東アジアの安定と沖縄と日本の平穏を両立させるためには、米軍の本土撤退しかない。だが、そのためには米国内の再編派と緊密に連携を取り、霞ヶ関の日米枢軸派と対抗する必要があるが、民主党にも他の野党にもそれだけの政治力も外交力も無い。
次善の策としては、国内最大級の岩国基地への移転が考えられる。これは、「沖縄の負担を本土が引き受ける」という点で、沖縄県民の要望を実現しつつ、内地の日米枢軸派にも配慮しており、実現可能性ということでは最も高い。幸か不幸か、山口県は自民党の牙城であり、自民党県連を賛成派と反対派に分裂させる効果も期待できる。とはいえ、米軍としては中東から遠くなってしまう点で、あまり使い勝手は良くないかもしれない。
第三の嘉手納統合案は、移設コストが最も低い点で「分かりやすい」案ではあるが、那覇空港の拡張工事と軍民共用の拡大が必要となることを県民と米国側に理解してもらわなければならない。それに失敗して実現しなかったことを考えると、沖縄県民の中央不信が高まっている現状で強行しても実現可能性は低いと思われる。

どの案にするにせよ、民主党、そして野党が避けて通れないものであり、この点については対案無くして参院選を戦うのは難しいであろう。
posted by ケン at 12:11| Comment(3) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする