2015年11月25日

野党共闘の難しさについて:大阪市長選を受けて

【大阪ダブル選 共産、異例の共闘裏目に 民主、静観で存在感なく】
 安倍晋三政権の打倒を訴える共産党は、大阪ダブル選で自民党推薦候補を自主支援した。「大阪維新の会がやってきた住民自治と民主主義の破壊は他の県に見られない特別なもの」(志位和夫委員長)という理由だったが、“ご都合主義”との批判も出かねない。
 共産党は党機関紙「赤旗」や党大阪府委員会のホームページに加え、独自のビラも作成して積極的に自民党候補を応援した。自民党候補の街頭演説では「さよなら維新」のプラカードを掲げた共産党系とみられる支持者が熱心に声を上げる一方、「アベ政治を許さない」のステッカーを貼った聴衆が拍手を送る場面もあった。志位氏は自民党候補を支援することについて「大阪維新を倒すとの大義で一致する政党が協力することに矛盾はない」と強調した。ただ、大阪維新の「敵」同士が手を組むという奇妙な選挙戦となり、逆に大阪維新から「自共共闘」を「暗黒軍団」(橋下徹大阪市長)と批判されることにつながった。実際、この共闘を敬遠する一定の有権者が大阪維新側に流れたとみられる。
 一方、府連が自民党候補を自主支援した民主党は選挙戦で党幹部を現地入りさせず、静観を決め込んだ。5月の「大阪都構想」の住民投票では、辻元清美政調会長代理ら地元選出の国会議員が「反大阪維新」を訴えて街頭に立ったが、今回はそれも見送った。国政で対立する自民党と表だって連携することを敬遠した形で、民主党幹部は「派手に自民党と活動をともにするわけにはいかなかった」と話す。ただ、政権を転落してから低迷が続き、最近は党内で解党か否かの路線問題が再燃している。注目の大阪ダブル選で存在感を発揮できなかったことで、来年夏の参院選に不安を残すことにもなりかねない。
 大阪維新側と分裂状態になった維新の党の今井雅人幹事長は22日夜、ダブル選挙の結果を受けて「都構想はわれわれも賛成しているので、実現に向けて頑張ってほしい」とのコメントを出した。
(産経新聞、11月23日)

先の稿で懸念していたことが現実のものになった。府知事選については当初から野党候補(自民)に勝ち目が無かったようだが、市長選については「健闘」情報も聞かれたものの、最終的には大差となった。

自民党側の証言を聞く限り、支援団体も業界団体も稼働していなかった。NK党は独自支援、国会との「ねじれ」を理由に推薦を断った民主党も府連が独自判断で支援しようと試みたものの、候補側から「民主の支援は不要」「余計なことはするな」と拒否されたという。つまり、野党側は候補選定の遅延により出遅れたにもかかわらず、それを挽回する努力を怠り、名ばかりの「統一候補」となって、実質的な共闘は実現しなかった。選挙支援に入ったのは、橋下氏との協力を唱えている自民党議員ばかりで、むしろ逆効果だったという人もいる。
他方、大阪維新側は十分に準備して、選挙中は「自共民の野合」「改革をムダにするな」と唱えていれば十分という有様だった。維新はかつてのような支持こそ無いものの、「自共よりはマシ」と判断されたのだ。

今回大きく投票率を下げたにもかかわらず、維新が大差を付けて勝利したことは、無党派=政治的無関心層が投票せずとも、自民党や民主党の支持者が大挙して維新候補に投票していたことを暗示している。NK党の支持者でも、野党(自民)候補に投票するのが憚られた可能性も十分にある。要は野党の「デモクラシーを復活させる」「大阪を取り戻す」なる主張は、有権者に浸透せず、私が懸念したように「アンシャン・レジームを復活させる(取り戻す)」と取られてしまった可能性が高い。「都構想とかよく分からないし、バカバカしい感じだけど、自共のアンシャン・レジームは無いわぁ」というのが、多くの人の直観だったのだろう。

実はこの構図は、ある程度国政にも当てはまる。安保法制、秘密保護法、あるいは原発再稼働については政府・自民党に反対するものが多いとしても、それは来夏の参院選や次の衆院選において野党に票を投じるものとは限らないということである。
もともと「自民はもうイヤ」という声が増えて、2009年の政権交代が実現したものの、わずか半年で鳩山内閣が瓦解し、自民とほぼ変わらない菅・野田路線になってしまい、「じゃあ、自民党でいいじゃん」ということで一定の票が自民に戻り、批判票は維新が受け皿となって、民主党は半壊状態となった。

批判票の受け皿となるためには、一定の信頼と主張の正当性が必要だが、民主党は信頼が失われて久しく、岡田執行部が菅・野田路線を継承している以上、野党としての正当性についても非常に弱い。現状でNK党を含めて他の野党と連携を試みたところで、今回の大阪ダブル選挙と同じ結果に終わる可能性が高い。
民主党としては、自主再建を目指すならば野党の旗を高く掲げるべきだし、それが出来ないなら解党して新党を立ち上げて一から出直すしかない。
posted by ケン at 12:40| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする