2015年12月09日

ベルリン陥落(シックスアングルス)

山崎雅弘さんの新作「ベルリン陥落」をプレイする。私はずいぶん前に一度名張にお邪魔して、テストプレイに参加させてもらっただけに、感慨もひとしおだ。基本骨格は変わらないが、ゲームのバランス調整がいかに難しいかがよく分かる。

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本作は「ヒトラー最期の12日間」ならぬ20日間、つまり1945年4月15日から5月4日のベルリン攻防戦「神々の黄昏」をシミュレートしている。マップは、メインがオーデル・ナイセ線から西のエルベ川、北はシュテッティンから南はドレスデン、そしてベルリン市内が別マップで縮尺別に収まっている。ベルリン市内は1ヘクス900メートルで、総統地下壕、国会議事堂(ライヒスターク)、ブランデンブルク門などがあり、そこをSS外国人義勇兵や国民突撃兵が守ることになる。マニア的にはたまらないシチュエーションだろう(ドイツの皆さんには申し訳ない)。ユニットスケール的には、ソ連軍が軍団単位なのに対して、ドイツ軍は師団もあるが、多くは連隊や大隊単位で、実際上の戦力バランスはすでに崩壊している。源文ファンとしては、「Zbv」(懲罰部隊)が師団になってしまっているところが切ない。名作『ジェネレーション・ウォー』を観たものなら、きっと「お兄さんはこの辺の懲罰部隊にいたのかなぁ、弟はどこで国民突撃兵を指揮してたのかなぁ」と感慨深いに違いない。

ゲームの基本骨格は、しごくスタンダードなもので、ドイツ軍が2回対応移動するも、各回2ユニットだけなので手間は掛からない。ソ連軍が強ZOC、ドイツ軍が弱ZOCという点のみがやや煩わしいかもしれないが、慣れればどうということもない。ただ、スタック制限が厳しいので、ソ連側は道路渋滞を起こしやすく、パズル的思考が求められる。蛇足だが、戦闘序列が充実しており、ユニットを見ているだけでもこみ上げてくるものがある(日本人なんだけど)。
ルールの易しさに比して、プレイは難しく、特にドイツ軍プレイヤーは熟練を求められそうだ。スタート時点では、ドイツ軍もそれなりのユニット数を持っているため、つい前線で頑張れそうな気になってしまうが、ZOC強度の差と戦闘後前進によってソ連軍に接敵、包囲されるともう動けなくなってしまうからだ。結果、車輌以外の部隊はほぼ退却できない構図になっており、数少ない援軍を後方防備に回すか、ベルリンに回すか、前線に回すかで悩むことになる。
しかも、勝利条件的には、ソ連軍はベルリンを占領するか、ベルリンを包囲に止めてドレスデンなどの重要都市を取るか、選択できるが、ドイツ軍は過少な戦力で全てを守る必要があり、非常に厳しい。ただし、ゲーム終了が史実の降伏日である5月8日ではなく、5月4日に設定されていることで、ソ連軍的には時間的余裕がなく、補給状態が厳しい中、無理をして前に進む必要がある。

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3ターン終了時。ゼーロウ高地脇に小穴が開くも、独軍は果敢に反撃して足止めを狙う。

この日は、O先輩とルールを確認しながらのプレイで、6時間ほどで5ターンとゆっくりだったが、慣れてしまえば半日で最後まで行きそうだ。もちろんケン先生はソ連軍を担当。
第1ターンは、ゼーロウ高地正面でソ連軍第一白ロシア方面軍(ジューコフ)がオーデル河を渡河したところから始まる。特にゼーロウ前面は平地しかなく、「いきなり大突破か?」と思いきや、さすがにベルリンから最短距離(約60km)なだけにドイツ軍も手厚く、ダイス目の悪さも祟って(EX2回など)、かろうじて北部で渡河した程度で、殆ど進めなかった。戦闘後に突破フェイズがあり、オーバーラン用に後方に戦車軍団を待機させていたが、交通渋滞のため無駄に終わった。南部の第1ウクライナ方面軍(コーネフ)の正面は、大河越しながら、ドイツ軍の層が薄いこともあって、まず順調に渡河した。

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3ターン終了時の南部・コーネフ軍正面。独軍戦線は半壊、ソ連戦車軍団がコットブスまで10kmに迫る。

第2ターンもソ連軍はゼーロウ正面でゴリ押しする程度で、なかなか戦線に穴が開けられない。南部では順調にコットブスに近づくが、軍管区分けが厳しく、戦力の集中が難しい。
「こんなでベルリンやらエルベ川やらまで辿り着くのか?ましてや総統官邸をや」みたいに考えていたが、ドイツ軍はドイツ軍ですり減る戦力に比して、投入される援軍が圧倒的に少なく、「破断界は近い」と考えていたようだ。
第3ターン、ゼーロウ脇に小穴が開き、同高地が半包囲され、北部のヴリーツェンもソ連軍に接敵され、南部では「ロシア解放軍」が自主解散するとともに、戦線に大穴が開き、包囲されるスタックが出てきた。4ターンになると、ドイツ軍は戦線を形成することすら難しくなり、拠点防御しながら、ベルリンに向けて総退却を始めた。この2ターンでのドイツ軍の損害は山のように積み上がった。
第5ターンには、ソ連軍の先遣隊がベルリン外縁に辿り着くも、外郭陣地は黒いユニットで固められていた。だが、他の地域はスカスカで、ドレスデンに「ゲーリングのおもちゃ」がいる程度という有様だった。

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5ターン終了時のベルリン正面。外郭陣地のドイツ軍を排除してから市街戦が始まるが、史実的にはあと3ターンで総統官邸に辿り着かねばならない。

ここで時間切れとなったが、勝利条件的にドイツ軍はゲーム終了時に生存しているユニットが得点になるのだが、包囲されていると点数に数えられないため、ただベルリンを固めるだけでは勝てない構図になっている。とはいえ、どこにどれだけの部隊を配置して、どこまで時間稼ぎすれば良いのか、サッパリ分からないため、非常に難しそうだ。
他方、ソ連軍は基本的にベルリンを目指し、市内の防備が厚ければ包囲、薄ければ突入するだけなので、「時間との勝負」以外の点は気楽なものだった。ソ連軍は特にオーバーランに際して一定の確率で「EX」(相殺)結果が出るのだが、最初の12ステップ分は「支援ポイント」で吸収されるため、指揮官として殆どストレスを感じない。確かに最初の段階で戦車に損害が入りまくると、ベルリンやドレスデンまで届かないという計算なのだろうが、「銀一郎イズム」における「現場司令官のストレス」の再現性という点では、「ソ連軍が楽過ぎなのではないか」と思われた。実際のところ、ソ連軍はゼーロウ高地戦だけで700輌以上、4月の1月間で3千輌もの戦車を失っており、指揮官は相当なストレスを抱えていたはずだ。また、当時のジューコフとコーネフに掛かっていたスターリンからのプレッシャーを考えても、物足りないのでは無かろうか。もちろん一度、しかも半分だけプレイしただけなので、あくまでも「率直な感想」でしかない。

それはそれとして、全体的には非常に良い雰囲気を出していると思われ、プレイしがいのある作品に仕上がっていると思われる。
posted by ケン at 12:27| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする