2015年12月23日

シルヴィ・ギエム引退公演「ライフ・イン・プログレス」

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「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」
振付:ウィリアム・フォーサイス  音楽:トム・ウィレムス

「ドリーム・タイム」
振付・演出 :イリ・キリアン  音楽:武満徹 オーケストラのための「夢の時」

「テクネ」
振付:アクラム・カーン 音楽:アリーズ・スルイター

「デュオ2015」
振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽:トム・ウィレムス

「ヒア・アンド・アフター」
振付・演出:ラッセル・マリファント  

「バイ」
振付:マッツ・エック 音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン ピアノソナタ第32番 Op.111 第2楽章

ついにシルヴィ・ギエム嬢が引退。私は特別ファンというわけではないのだが、友人が誘ってくれたので観に行くことになった。上野の東京文化会館に行ってみると、一階の右手側2列目という凄い席だった。オーケストラのスペース(ピット)があるとはいえ、ダンサーの表情や筋肉の動きまでハッキリ見える距離である。
東京公演の四日間全て売り切れということで、超ラッキーだった。

あのサイボーグのような肉体と舞踏はさすがに50歳が限界ということなのだろうか。あるいは社会運動に目覚めてしまい、余生はそっちで生きて行くということなのか。
カーテンコールでは、オケスペースの上まで来てくれたので間近で見ることができたが、思っていたよりも小さかった(でも170cmないくらい?)のと、意外と可愛らしい顔だった(何せマドモアゼル・ノンだから)のが意外だった。存在の大きさが際立っていた証左かもしれない。
ギエム嬢の舞台は、大昔に偶然モスクワで「ボレロ」を見た以外、世界バレエフェスタで何度か見たくらいしかない。私がモダンやコンテンポラリーにさほど興味が無いからなのだが。

「イン・ザ・ミドル…」は昔世界バレエで見たと思うが、良く覚えていない。舞踏に特化した作品で、振付師が「やれるものならやってみろ」とダンサーに挑戦したかのような難易度がある。緻密に構成されており、ダンサー同士の息がピッタリ合わないと意味を失ってしまう。
ギエム嬢ではなく、東京バレエ団によるものだったが、なかなかにシャープでキレがあり、引き締まった舞台になっていた。相当練習したのだろう。川島麻実子さんカッコ良かったデス。もっとも、フォーサイス作品ということを考えれば、キレが良すぎることで「ねちっこさ」が失われているとは言えるかもしれない。
それにしても、前にも述べたと思うが、最近は日本の女性ダンサーもシルヴィばりに「サイボーグ化」しているなぁと。今回は舞台の目の前で見たから良く分かるが、とにかく背筋が凄い。筋肉が段々と盛り上がっているわ。一度どうなっているか触ってみたいくらいw

「テクネ」は、私がイメージするギエム嬢にピッタリの作品だった。インド人振付師の作品らしいが、一本の木の周りを虫のように這いずり、飛び跳ねる様は、自在であると同時に強靱であり、「さすが」と惚れ惚れさせられる。引退公演でも新作を演じようとする嬢のスタンスそれ自体が、彼女の有り様を物語っているように思える。本作をきっちり仕上げられる内に引退する、ということなのかもしれない。

「バイ」で終わる辺りも彼女の美学なのだろうか。映像との組み合わせが非常に美しく、敢えてダサいオバさん服で軽快に踊り上げるところがまた魅力的。何とはなしに哀しげな雰囲気が漂うのは、こちらが「最後」と思っていることも影響していたかもしれない。

カーテンコールでは客席が総立ちになり、ギエム嬢も何度もピットまで出てきて涙を浮かべながら手を振っていた。私もつられて涙が出そうに……ありがとうございました!
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | バレエ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする