2016年01月20日

限定合理性の一典型−大阪市給食の場合

【<大阪市立中>給食3割弱が食べ残し 全国平均の4倍】
 大阪市立中学校の生徒が給食の3割弱を残していることが市教委への取材で分かった。全国の小中学校平均の4倍に上る。残飯になった食材費は推計年5億円で、食材費全体の約25%だった。大阪市は仕出し弁当を配る「デリバリー方式」を採用し、食べ残しの多さが問題となっているが、実態が明らかになるのは初めて。
 市教委によると、16校を抽出し、今年度の1学期で月2回、おかず、米飯、牛乳の食べ残しの割合を重さで調べた。残飯になった年間食材費も推計した。その結果、おかずは30%が残され、無駄になった食材費は4億4000万円となった。米飯は17%で3700万円、牛乳は9%で3300万円だった。おかずは食中毒防止のため10度以下で保存され、生徒から「冷たい」「味気ない」との声が出ており、多く残ったとみられる。
 全体の残食率は3割弱だった。環境省の調査では、小中学校の全国平均は昨年度6.9%。大阪市と同じく調理を民間委託する名古屋市立中学校でも10.5%だった。大阪市の中学校給食は今年度、全1、2年生と一部の3年生の計約4万1300人が対象で、来年度からは全生徒(約5万6000人)に拡大する。
 給食の食材費は原則として自己負担(1食300円)。今年度は165日前後を提供する予定で、食材費の合計は約20億4400万円。一方、業者の調理・配送費用は市が支出しており、今年度は約18億円を計上している。市は校舎に調理室を整備する「自校調理方式」か、近隣の小学校でつくった給食を配膳する「親子方式」への移行を計画している。吉村洋文市長は2019年度までに改める意向を示しており、この問題は14日の市議会本会議でも取り上げられる予定だ。
(1月13日、毎日新聞)

Aにとって合理的なことが、Bにとっても合理的とは限らない。よく考えれば当たり前の話だが、なかなか一般的には理解されない。
学校毎に校内で給食をつくるというのは、確かに行政側としては不合理な話で、配食サービスが充実した今日では外注した方が財政的にも組織的にも合理的なのは間違いない。そして、行政から給食の外注を受けた業者としては、経済性を重視して味を犠牲にし、安全性を重視して冷温保存するのが合理的ということになる。だが、結果的には記事にある通り、「冷たい」「まずい」ということで食べられなくなってしまうのでは元も子もない。
結局のところ、「誰のための給食か」という大原則を外して、一部の人間が主張する経済合理性を追求した結果、給食の本来の意義が失われてしまったことを示している。特に大阪市の場合、家計環境が厳しい家庭の小中学生に、学用品や給食代などを援助する「就学援助制度」の支給対象者の割合が3割にも達しており、「昼食に十分な栄養のある暖かい給食を取る」ことが子どもの生活に欠かせない状態であることが分かる。

本来、「公共」は民間では提供できないインフラやサービスを市民に供給するために存在するが、財政赤字を背景に「民にできることは民に」という一見分かりやすいスローガンが支持されて民間委託が進められた結果、公共の本質が失われつつある。例えば、公共バスが良い例で、自治体などで運営してきた交通機関が民間委託された結果、ルートや本数が大きく削られて「民間では提供できない市民の足」が失われ、ますます地方の衰退を加速している。
公共の役割の再構築は、民主党を始めとする野党で再検討すべき重要課題の一つと言えよう。
posted by ケン at 12:22| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする