2016年06月30日

民進都議団、片山氏に袖にされる

【ポスト舛添 「今の仕事に残留派」片山善博元鳥取県知事が英国民投票にかけて都知事選出馬を否定】
 片山善博元鳥取県知事は26日のフジテレビ系「新報道2001」で、舛添要一前東京都知事の後任を決める都知事選に関し、EU離脱を決めた英国の国民投票にかけて立候補を否定した。「今の仕事に残留派で、離脱派ではない」と述べた。片山氏は与野党内で有力後継候補の一人に挙げられている。同じくポスト舛添候補として話題の桜井俊前総務事務次官については「総務相をやっていたときに局長をやっていた。非常に温厚で、常識的な人。本当に良い仕事をしてもらった」と高く評価した。桜井氏は人気グループ「嵐」のメンバー、桜井翔さんの父親としても知られる。
(6月26日、産経新聞)

後継候補の当てもなく、この15年というもの独自候補を立てられなかった民主・民進党が、都知事を引き摺り下ろしてどうするんだ?、ハシモトとかになったら目も当てられないぞ!と二人の都議に厳重に申し入れたが、一党員の建策などは当然無視されて、現状に至っている。
そもそも今どき民進党が「推薦するから出馬してくれ」などと頼んでみたところで、自民党の二軍以下の人材しか承知するわけがない。
まったく「バカに付ける薬は無い」とはこのことだろう。
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2016年06月29日

参院選2016 中盤情勢

ブンヤなどの情報を総合すると、野党は比例区で健闘、民進は8〜9議席、社によっては1千万票超を予測するところもある(にわかに信じがたいが)。NKはKMと争うほどで700万票も獲得する勢いにあるという。もっとも、他の小党は完全に埋没している。自民党は前回よりも票を減らしそうで、1600万票前後と、民進+NKを下回る可能性がある。

ただ、各選挙区では、野党陣営が苦戦を強いられており、32ある一人区のうち野党勝利が確実なのは山形と沖縄のみ、勢力が拮抗しているのは、北から岩手、宮城、福島、長野、山梨、三重、滋賀、愛媛、大分の9県に過ぎず、残る21県では与党候補が野党を圧倒しているという。野党統一候補が20カ所以上で敗北した場合、今後の共闘に悪影響が出そうだ。岡田代表が「三重でダメだったら代表選に出ない」と言ったのは、彼なりの叱咤激励だったと思われるが、逆効果としか思えない。

また、複数人区では、民進党が苦戦しており、東京(6)や愛知(4)を含めて2議席を獲得できるところは無い見込み。東京ではレンホー氏が一人で150万票を獲る勢いだが、もう一人の小川氏(陸山会事件に際し法相として指揮権を発動しようとして実質左遷された元検事)は共産主義者やエログロ作家にすら及ばないという。愛知でも現職参議が票をガチガチに固める一方、新人女性候補は同盟系労組に脇を固められて基本的な組織選挙しかやらせてもらえず(あれはいかん、これはいかん、ここはこうしろ、そこはああしろ)、支持の拡大に失敗している。3人区の兵庫では、自公が1、2位を占め、3位に「お維」が入りそうな勢いで、圏外の4番目を民進現職とコミュニストが争う形になっている。

全体的には、与党・改憲勢力が3分の2を獲得するかギリギリのところにあるようで、「3分の2はとらせない」という民進党の標語通りの危機的状況にあると見られる。

【追記】
期日前投票の割合が20%に近づきつつあることで、期日前投票所の外で行われる調査の精度が上がり、事前予測も相当に精度が上がりつつある。期日前投票というのは、理論的には「選挙運動の否定」でもあり、二つの意味(運動の否定と事前予測)から選挙制度の在り方そのものが問われてゆくことになるだろう。
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2016年06月27日

安倍政権下で成立した悪法を列挙する

参院選前に安倍政権下における悪法の数々を整理してみることにした。安倍一派が何を目指しているか再確認するためだ。
基本的には、中央集権と権威主義への傾斜が強く、大衆からの支持と合意に基づく民主主義的要素と、権力分立によるエリート間の緊張と競争という自由主義的要素がともに大きく後退している。「報道の自由度」が、鳩山政権期の11位から72位へと急降下していることも、傍証として挙げられるが、マスゴミと政権の癒着が進んでいることは、「先進国から開発独裁国」への逆コースを示している。また、経済的には、中間層からの搾取を強め、経済格差を広げる新自由主義路線が採用されている。

【第一次安倍政権下で成立した主な悪法】
・改正教育基本法=「我が国と郷土を愛する」態度と道徳教育が明記され、国粋主義教育の法的基盤が築かれた。また、家庭教育を強調、父母などの保護者に「子の教育について第一義的責任」を課した。

・国民投票法=憲法改正の手続きを定めた。

・防衛庁の省昇格=議会のチェックが及ばないところで、軍事官僚の権限が大幅に拡大、予算等の交渉でも他省と同格に。また、自衛隊海外派遣が「本来任務」に昇格、今回の安保法制の成立により、海外派兵の障壁がほぼ撤廃された。

・教育改革関連三法=教員にのみ十年毎に免許更新を課し、全国学力テストへの参加が学校に義務づけ、文科省による教育委員会への介入を可能にした。

【第二次安倍政権下で成立した主な悪法】
・特定秘密保護法=国による秘密指定の範囲が広大な上、議会のチェックも効かず、何が機密指定されているかも分からないため、誰がどのような容疑で刑事罰を適用されるか全く想定できない。ジャーナリズムやプライバシー、そして国民の知る権利を大きく侵害している。

・安保関連法=武力行使のハードルが大幅に低下。集団的自衛権行使と恒常的な海外派兵が可能に。後方支援活動の拡大による外国の武力行使との一体化。

・改正刑事訴訟法=通信傍受の対象拡大と規制緩和、司法取引の導入、取調べ可視化はごく一部の限定的導入。但し民進党も賛成。

・地方公務員の給与削減=給与削減と称して地方交付税を削減。だが、地方公務員の給与削減幅はすでに国家公務員よりも大きい。

・労働者派遣法の改悪=派遣労働者受け入れ期間の制限撤廃により、不安定雇用が常態化。企業で正社員から派遣への置き換えが進む恐れ。

・原発輸出=チェルノブイリ級の核惨事となった福島原発事故の災害要因を強調、事故処理も終わらない中、トルコ、ベトナム、インドなどに原子力発電の輸出計画を進めている。

【第二次安倍政権下で準備されている主な悪法など】
・憲法改正=国民の権利を大幅に制限して、国家に奉仕させる仕組みを導入。緊急事態条項の創設により、内閣が法律と同等の政令を出せるようにする。

・TPP=医療などの社会保障制度が市場化され、ISD条項の発動に伴い、地域医療が崩壊する恐れ。関税自主権が放棄されることで、国内の農業が崩壊の危機に。

・共謀罪=未遂でも重大犯の構成要件とすることが可能になり、おとり捜査や通信傍受、デモや集会の監視が強化される恐れ。

・労働基準法改正=労使間合意なしで使用者は労働時間を永遠に引き延ばせるように。裁量労働制の適用拡大。いわゆる「残業代ゼロ法案」。

【その他の安倍政権下での事象】
・戦時犯罪の否定=過去の戦争における日本の侵略性や犯罪性を否定、侵略戦争の否定の上に成り立っている現行憲法を否定し、戦前の明治体制を称賛、憲法改正を目論む。

・靖国参拝の急増=侵略戦争を否定し、軍事と自己犠牲を称賛、アジア諸国からの警戒を招いている。日本会議に象徴される、政教一体化が進行。

・報道の自由度=民主党鳩山政権期の11位から72位へと急降下、官邸によるNHKへの人事介入、官邸とマスコミ要人の密室的な関係により報道の自主規制が大幅に強まっている。

・天下り=民主党政権期に大幅に制限した官僚の天下り規制がほぼ骨抜きにされる。
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2016年06月25日

英国でもエリート不信

【英、EU離脱へ=欧州分裂、大きな岐路に―残留派に僅差で勝利・国民投票】
 英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票は、23日午後10時(日本時間24日午前6時)から全国382カ所の開票所で開票作業が行われ、BBC放送によれば、離脱支持票が僅差で残留支持を上回り、過半数に達する見通しとなった。この直撃を受けた東京外国為替市場は大混乱に陥り、「安全資産」とされる円に投資家の資金が逃避。一時1ドル=100円を突破した。英ポンドは売りが売りを呼ぶ暴落状態となった。日経平均株価も一時1300円を超えて暴落した。
(6月24日、時事通信抜粋)


先にフランスにおけるエリート不信の問題について書いたが、英国でも同様の問題が噴出している。
今回の国民投票では、保守党も労働党も党内で議論が分かれ、残留派と離脱派に分かれて双方がののしり合いを展開、党員や市民の政党離れを加速してしまっている。
政党に関係なく、主にエリート層が残留を主張し、「EUを離脱すれば英国は経済破綻して、生活はドン底に」的な脅迫じみたプロパガンダを展開してはみたものの、十分に浸透せず、逆に「金持ちがあれだけ残留を主張しているということは、貧乏人にとっては離脱の一手だ」というエリート不信を加速、離脱派をむしろ後押ししてしまったように見受けられる。

実際、貧困層からすれば、EU加盟に伴って東欧出身の労働者が急増して賃金が低下、さらにアラブからの難民が増えて、低賃金雇用すら危機にさらされている。貧困層を直撃している危機に対し、エリート層は十分な対応策を打ち出せず、むしろ緊縮財政を進めることで、同層をますます追いつめてしまっている。
結果、貧困層からすれば、「EUから離脱したからといってすぐさま生活が良くなるわけではないかもしれないが、少なくともEUに残留し続けるよりはマシだ」ということになっている。これに対し、エリート層は、「離脱すれば、GDPが10%低下し、物価は10%上がる」などと呼びかけるが、貧困層からすれば、「困るのは金持ちであって、財産の無い俺らじゃない」と応じるだけの話で、コミュニケーションが成り立たなくなっている。

ところが、現実には英国はユーロを採用しておらず、独自通貨であるため、混乱はあるにせよ、政治要因であるため一過性に終わるものと考えられる。関税については、新たに条約を締結するコストは掛かるものの、EUが英国を排除する特段の理由もなく、現行に近い低関税になるだろう。エリートが忌避するのは、新たに発生する交渉コストであって、それは貧困層には無縁のものだ。
実は、デモクラシーの点で、EUが難しいのは、民族国家の主権をEUに移譲するも、EU議会の権限は限られていて、顔の見えないEU官僚が大権を握っているため、個々の市民の主権の影響力が著しく小さいものになってしまう点にある。実際、英国市民は、東欧などからの低賃金労働者や無尽蔵に来る難民に対し、いかなる主権も行使できない格好にある。離脱派が「市民に主権を取り戻せ」と主張するのはこのためだが、エリート層にはそれが理解できず、説得不能な状態に置かれている。結果、エリート層が騒げば騒ぐほど、貧困層が不信を強める構造になっている。

もう一つの問題は、国民投票自体の難しさである。「EUを離脱するか、残留するか」という重大な社会的選択を、「イエス、オア、ノー」二択で決めてしまい、しかも超僅差で決定しまったことは、今後の意思決定に重大な禍根を残す恐れがある。具体的には、スコットランドの独立が再燃したり、他のEU諸国でも離脱が加速したりする懸念がある。
国民投票は、デモクラシーを構成する重要な要素かもしれないが、その運用はごく慎重であるべきだと考える。

【参考】 原発国民投票に見る社会的選択のあり方について

【追記】
今回の参院選では野党を中心に「自公が3分の2をとったら大変なことになる」とプロパガンダを打っているが、有権者に十分浸透していないのも、基本的には同じ理由から説明される。平和な現行憲法下で、急速に貧困化が進んでいるのに対し、「平和を守れ」「改憲反対」と主張してみたところで、貧困層からすれば、「その憲法や平和が、オレらの生活を苦しめているのでは?」という反応にしかならず、むしろ「憲法を改正すれば、全て良くなる」式の安倍一派の支持を増やしてしまう可能性がある。ケン先生的には、「貧困解消」と「過剰労働の解消」をこそ争点にしなければ、支持が広がらないと進言しているのだが、全く聞き入れられないのが実情だ。

【追記】
イギリスのEU離脱について、エリート評論家たちがこぞって「ポピュリズム」だの「愚かな選択」だの述べているが、仮に日本がEUに加盟していたら、一方的に緊縮財政を求められ、消費税が即20%になるか、社会保障給付費が半分近くになってしまい、主権者たる国民は蚊帳の外に置かれたまま苦悶していたはずだ。おそらくは数カ月と持たずに怨嗟の声が上がり、「EU離脱」が過半数に及ぶだろう。あの連中は、EUの本質を指摘せずに、ある種の世論誘導を行っているに過ぎない。
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2016年06月24日

減少する女性候補

【女性候補、96人に減少=07年以来の2桁】
 参院選に立候補した女性は選挙区60人、比例代表36人の計96人。前回の105人から9人減った。候補者全体が減った影響とみられ、100人を割り込むのは2007年以来。ただ、全体に占める女性の割合は、前回比0.5ポイント増の24.7%で、1983年の比例代表制導入後、2番目の高さとなった。政党別では、前回に続き共産の20人が最多。自民は9人から12人に、民進は旧民主の10人から11人に、公明は2人から3人に、それぞれ微増した。おおさか維新は、旧日本維新の7人から4人に減った。このほか、生活、改革からは3人、社民、日本のこころからは2人が挑戦する。
(6月22日、時事通信)

みんなそれっぽいこと言ってたけど、結果はこれかよと。民進党なんて、女性の比例候補を半分にするとか優遇するとか議論していたはずなのだが、全く成果が見られない。
まぁ女性の労働環境や福祉・介護環境を放置して、昇進や政界進出だけ望むこと自体、無理筋なんだけど。

日本の超長時間労働は、圧倒的に男性に有利な社会環境をつくっている。まず女性は肉体的に男性に対して不利な条件におかれている上、長年の社会環境によって家事、子育て、介護についても圧倒的に女性の負担が重くなっている。結果、女性がキャリアに投入できる資源は、男性に比して圧倒的に少なくなっている。

まずは、長時間労働を是正し、男性に時間的ゆとりを付与することで家事の分担を進め、同時に子育てと介護の社会化を行う必要があり、これが実現しない限り、いかなる施策も「砂漠に水を撒く」ようなものになってしまうだろう。
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2016年06月22日

ラマダーン中に食事会を開く安倍総理

【首相動静(6月16日)】
午後6時41分から同53分まで、イスラム諸国の駐日大使らとの食事会「イフタール」。
(6月17日、時事通信、抜粋)

当日、東京の日没は午後6時59分。
ムスリムにとって、6月初頭から7月初頭にかけては「ラマダーン」と呼ばれる断食の月であり、日の出から日没までの時間に飲食することが禁じられている。但し、正当な理由があれば免除されるも、その場合でも他の期間に行うことが義務付けられている。

ラマダーン期間中にムスリムを食事に招待するのであれば、少なくとも日没後にするのが礼儀であり、ラマダーンを無視した日本側の対応を彼らがどう見るかは、想像するまでもないだろう。
総理官房の役人は、ラマダーンすら知らないものと見える。また、外務省はこれに対し、無反応だったのだろうか。いったい何のために外交官を務めているのか、そもそも選別基準を間違えているとしか思えない。
そんな連中に、ジハーディストとの対テロ戦争や、人質解放交渉などできるわけがない。

【6月23日、追記】
恩師から、「イフタールは、ムスリムが皆で集まって日没後の会食を楽しむ会だから、断食の義務を負わない総理は本来参加する義務はなく、食事会を提供することに意義があるのでは」との苦言を頂いた。確かに外務省の意図としてはそうなのだろうが、それでもやはり日没前に会を始めて、食事の始まる前に挨拶だけして退席してしまう総理の日程管理には首をかしげざるを得ない。
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2016年06月21日

ねじれまくるフランス−エリートの退廃

フランスで、政府が議会での採決を経ずに強行成立させた労働法改正法案に抗議する大規模デモやストライキが激化し、3日連続で公共交通機関に支障が出ている。19日には首都パリで1万4000人がデモ行進し、一部が治安部隊と衝突した。抗議行動が2か月に及ぶ中、強硬姿勢を強めるエマニュエル・バルス首相は、港や製油所、空港などでのデモの強制排除に乗り出す可能性に言及。18日に暴徒化したデモ隊が警察車両を襲撃し放火した一件について、「厳しく処罰する」と言明した。労働法改正についてフランソワ・オランド政権は、硬直したフランスの労働市場の柔軟性を高め雇用を創出すると説明しているが、反対派は雇用の安定を脅かすだけだとして反発を強めている。
(5月20日、AFP)

20年ほど昔、私が住んでいた時もよくあったが、パリはストライキでゴミの収集が行われず、そこここにゴミの山ができているという。
社会党の大統領が解雇規制を緩和する労働法改正を大統領権限で強行成立させ、議会の保守派から不信任案を提出されてしまった上、デモ隊やスト参加者を「テロリスト」呼ばわりして強硬姿勢を示すという、ねじれ過ぎてナゾな事態に陥っている。鉄道員・パルチザン上がりのミッテランも草葉の陰で泣いていることだろう。

「フランス人は直接行動が好きだから」という声はあるものの、仮に私がフランス人だったとしても、「サルコジならともかく、なんで社会党のオランドが労働法を改悪するんだよ!」とブチ切れたに違いない。本来、ブルーカラーや公務労働者から支持を得ていたはずの社会党が、解雇規制を緩和する法案を強行してしまったのだから、民意の反映を重視するデモクラシーの原則から逸脱しているのだ。社会党支持層からすれば、「労働者保護」を党に委任したはずが、手のひらを返された上に、テロリスト呼ばわりされたのだから、これで怒らない方がおかしいだろう。
こうした現象が起きるのは、社会構造の変化に対して、既存政党が従来の主張(支持層)を守ることで十分に対応できなくなるためだ。フランスの場合、共和党(旧国民運動連合)が経営者層やホワイトカラー層を代表、かつては地方の商工業者もここに含まれたがFNに奪われている。そして、社会党などの左派は公務労働者とブルーカラー層を代表していたが、ブルーカラー層の票がFNに逃げている。また、地域的には移民の多い南部と鉱工業の衰退が著しい北部において、FNが激しく進出している。
ところが、これに対して既存政党は社会構造の変化を十分に認識せず(知っていながら認めていない可能性もある)、従来の政策を変更して失った支持層の回復に努めないため、国民戦線の伸張を許してしまっている。
フランスの場合、右派ならば移民を規制して地方の商工業の振興策を取り入れるべきだし、左派ならば公務労働重視を是正しつつ、国内企業・工場の保護に重点を置くべきだった。それをせずに、ただFNを「極右」とレッテルを貼って攻撃してみたところで、ワイマール・ドイツの二の舞に終わるだろう。

また、私的に特に問題を感じているのは、フランス社会党が余りにもエリート主義に偏ってしまっている点だ。オランド氏や元首相のロワイヤル女史、オランドと大統領候補の座を争ったオブリー女史など、左右にかかわらず皆ENA(国立行政学院)やパリ政治学院の出身で、官僚や弁護士を務めている。共和党と対抗しつつ、行政府の上に立つ政権担当能力の点では十分な人材が確保されているのだろうが、その反面、社会党の支持層や周辺の有権者のニーズを取り込んで党の政策に反映させる能力が低下しているように思われる。
フランスにおける既存政党の難しさについて

フランスと日本が似ているのは、左右やイデオロギーに関係なく、主要政党の幹部の座をエリートが占めた結果、似たような政策しか打ち出せなくなってしまい、支持層の要求と乖離しつつあるということだ。しかも、フランスのサルコジ氏、日本の小泉氏や安倍氏のように、むしろ右派の方がエリート臭を感じさせない者を前面に出し(実際のキャリアは別にして)、左派の方がオランド(行政学院、会計検査院)、ロワイヤル(行政学院、判事)、岡田(東大、通産官僚)、山尾(東大、検事)氏のようにエリート臭プンプンの者ばかり目立ってしまっている。米国大統領選でも、クリントン女史が蛇蝎のように嫌われているのは、そのエリート臭故だろうと思われる。

エリートの弱点は、有権者・支持者の期待に鈍感であることと、その鈍感さ故に、環境に影響されること無く全体最適を求めてしまう点にあるが、これは「短期的な視野狭窄に陥らず、大所高所から判断できる」強みの裏返しでもある。
民主党政権下で、鳩山・小沢路線を放棄した菅政権が、消費増税とTPPに邁進したのも同じ原理から説明できる。菅直人自身はエリート系ではないが、政権を実質的に支配していたのが霞ヶ関の財務省だったからだ。

今回の英国におけるEU離脱騒動もよく似た構図だが、エリートが「大所高所」から「国民のため」と勧める政策の多くが、大衆にとって、少なくとも現状や短期的将来においてマイナスでしか無いものばかりであるため、大きな齟齬が生じている。
フランスの解雇規制が厳しすぎることは何十年も前から指摘されており、わずかずつながら緩和されてきたが、それが「わずか」で終わっていたのは社会党などの左派が反対していたからだったためで、オランド氏としては「労働市場の循環による経済活性化をしなければ、国際競争に勝てない」を考えて、社会党こそが実行しなければなるまいと信じたのであろうが、国民、特に社会党支持者からすれば「余計なお世話」でしかなく、「お前にそんなことを委任した覚えは無い」と反応するのは避けられなかった。しかも結果として、社会党の支持層の多くが、国民戦線(FN)に流れてしまい、社会党は党勢の維持すら困難になりつつある。

こうしたエリートの発想は、市場原理と経済効率を優先するあまり、大衆の生活水準や階級対立・経済格差に対して鈍感になりすぎる傾向がある。水野和夫先生の説ではないが、利息が極限まで低下し、マイナス金利が常態化している先進国では、もはや中間層や下層から収奪することでしか利益を上げられなくなっており、その結果、経済効率を追求すればするほど、労働収奪が強められることになっている。だが、エリートの鈍感さは、それを「皆さんのためですから」と平気な顔で言わせてしまうため、みなブチ切れて「極右」などに走って行っているのであって、それを「極右」などと非難してみたところで、何も改善しないだろう。

我々、左派こそがエリート主義からの脱却を進めるべきであり、日本の民進党でいえば、岡田氏や山尾氏などに意思決定権を委ねて何度選挙してみたところで、勝利はおぼつかないであろう。
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