2016年07月30日

ノルマンディ・ツアーを妄想中

私も初老となって久しく、健康や国際情勢を考えると、早めに決行しておいた方が良いと考えるものがいくつかある。その一つが、戦跡ツアーであり、安全性と優先度を考えると、まず「ノルマンディ」、次いで「アルデンヌ」が挙げられる。中でもノルマンディは、先に私が一般ツアーに参加して、オマハとゴールド・ビーチを訪れているだけに、「より本格的に回ってみたい」との思いを強くしている。ナビ付きのレンタカーを借りて回れば、かなり細かく回れるだろう。特に夏のフランスは8月でも9時頃まで明るいので、体力次第で色々回れる。

初日:成田からパリへ、そのままカーンに移動、カーン泊。

二日目:レンタカーでエストゥエール街道(カーン=サン・ロー街道)を辿って、213高地とヴィレル・ボカージュ、N175街道(現在のD675)を視察。オマハ・ビーチと米軍戦没者墓地。バイユーを経由して、ゴールド・ビーチでマルベリー等を見学。カーン泊。

【参考】Panzerace.net 

三日目:同じくレンタカーで、サン・ロー街道から同市を経由、サン・メール・エグリーズとユタ・ビーチ。さらにシェルブールへ。カーン泊。

四日目:カーンからバスか汽車でブレストへ移動(不便で遠い)。同市の海軍基地、博物館とUボート・ブンカー跡を見学。ブレスト泊。

五日目:レンタカーでロリアン港のUボート・ブンカーを見学。パリへ帰還。同泊。

【参考】uboat-bases.com  

六日目:ソミュール戦車博物館(パリから3時間程度)、往復。同日夜の便で成田へ。

七日目:午後、成田着。

無理ではないが、かなり下調べしておく必要があるし、あるいは一週間レンタカー借りて回る方が早いかもしれないが、これはこれで運転手の左ハンドル熟練が求められる。いずれにしても、体力的なことを考えれば、10年以内の実施が望ましい。

【追記】
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全然関係ないけど、今年のツール・ド・フランス初日のコース。
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2016年07月29日

ダブルスパイの末路

【日中友好団体幹部の日本人男性「中国が拘束」官房長官】
 中国を訪問中の日中友好団体幹部の日本人男性が、連絡が取れなくなっていることがわかった。菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、「今年7月に北京市で邦人男性1人が中国当局に拘束された旨、中国から通報があった」と述べた。ただ、詳細については「事柄の性質上コメントすることは控えたい。邦人保護の観点から、在外公館などを通じて適切に支援をしている」と話すにとどめた。この幹部は7月11日に北京入りし、15日まで滞在する予定だったが、27日になっても帰国しておらず、同団体の関係者は「連絡がとれない」としている。携帯電話もつながらない状態が続いている。関係者によると、中国でのシンポジウム開催などについて、中国側と協議する目的での訪中だったという。中国では昨年、日本人4人が相次いでスパイ行為に関わったとの疑いで拘束され、その後に逮捕されたことが明らかになっている。4人のうち1人は、今年5月に起訴されたことが判明している。
(7月28日、朝日新聞)

これは、どうやら私も知っている人で、明らかにスパイだった。スパイと言っても、『ジョーカー・ゲーム』に出てくるような有能なプロフェッショナルではなく、大した能力も無く、ただ「どこにでも入りこんでゆく」特異な能力の持ち主という程度の小者だった。まぁせいぜい「協力者」というレベルだが、本人は大物のつもりだったようだ。

日中友好団体幹部の肩書きを持ちつつ、様々な議員事務所に出入りし、秘書をやっていたこともあるし、国会の調査局の非常勤職員だったこともあるようで、某大学の講師も務めている。だが、どのケースでもせいぜい「周辺をうろついている」程度な上、露骨に「中共の協力者」臭を漂わせていただけに、国家機密の核心部に辿り着いたとはとても思えない。

私の周辺でも、「彼は中共のスパイだったんでしょ?どうして中国で逮捕されるの?」という声が聞かれるが、中国のことは多少知っていても全体主義の構造は知らないものらしい。我々のような、ソ連学徒からすれば、スターリン体制下でコミンテルンのスパイがどれだけ粛清されたか、すぐに想像付くからだ。

拘束されていると思われるS氏の場合、日本の内調や公調とも関係を持っており、情報だけで無く金銭の授受も行っていた節があり、日本の情報を引き出すために、中国側の情報を流していた可能性が高い。傍証だけは山ほど耳にする。もともと「あの人、何で食っているんだろう?」と思われているような人なだけに、色々なところからカネを得ていたと見て良い。
公安が放置していたのは、小者であるのと同時に、彼らの協力者でもあったからだろう。
要は、分類するとすれば、「札付きの小者」なのだ。

にもかかわらず、私の周囲の中国関係者の間には激震が走り、「中国も恐い国になった」「自分も中国に行ったら拘束されるかもしれない」などと口々に述べている。それを聞いている私などは、「こんなに中共の協力者が多いのか、ネトウヨが騒ぐのもよく分かる」と思ってしまうほどだ。

だが、必ずしもそれだけではないようだ。我々のようなソ連学徒には、ソ連がロシアになったからと言って、デモクラシーや人権が守られる国になったと思う者はまずいないが、どうも中国学徒には中国に対する信仰があるようで、「昔とは違う」と考えている人が多いようだ。だが、一党独裁を堅持する中国は、ロシアよりも非人道的で、人権の価値など全く認めない国であることは明白だ。
上記のS氏の場合、ダブルスパイの嫌疑が掛けられるに十分なネタが上がっているだけに、スパイ活動に従事していない一般人が大騒ぎするのは、やはり不可解ではある。
恐らくは、例えば日露友好団体の某氏がモスクワでFSBに拘束されたからといって、ロシア関係者はここまで騒がないだろう。誰も「ロシアはそういう国」と思っているからだ。その意味では、中国はイメージ戦略に成功し、ロシアは失敗しているとは言えるが(笑)

S氏も無警戒に過ぎたところがある。聞くところによれば、今回の訪中は、日本の米国系シンクタンクを案内してのものだったという。中国でもロシアでも、「米国関係のNGOは必ず米国諜報機関の手が入った出先機関」と見られており、それはほぼほぼ正しい認識なのだ。そこへ、かねてよりダブルスパイの嫌疑が掛けられているS氏が、日本人とはいえ「米帝の手先」を連れて訪中したのだから、当局の人間が「ちょっくらお灸を据えてやるか、ついでに裏切り者を全員あぶりだしてやろう」くらいのキモチになるのは当然だろう。
細かいところでは、どうも中共内の勢力争いも影響しているようだが、そこまで書くと収拾が付かなくなるので止めておこう。

【追記】
興味深いことに、S氏は「小者ダブルスパイ」な上に、淫行や痴漢あるいは結婚詐欺などの容疑で何度も逮捕され、そのたびに示談で逃げてきた「札付きの小者ワル」であるにもかかわらず、私の周辺では、恐ろしいくらいに同情論が強く、「救難運動」まで立ち上がるという。私などからすれば、「殺されても自業自得」と思うだけに、やはりスパイというのは、特異な魅力を持つ者がやるものらしい。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月28日

千億ケチって汚染拡大・続

【東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解】
 東京電力は19日、福島第一原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにした。同日、都内で開かれた原子力規制委員会の有識者会合で東電の担当者が示した。東電はこれまで、最終的に100%凍結させる「完全閉合」を目指すとしていた。方針転換とも取れる内容で、県や地元市町村が反発している。会合で東電側は規制委側に凍土遮水壁の最終目標を問われ、「(地下水の流入量を)凍土壁で抑え込み、サブドレン(建屋周辺の井戸)でくみ上げながら流入水をコントロールする」と説明。その上で「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言した。これに対し、オブザーバーとして出席した県の高坂潔原子力総括専門員は「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と指摘。東電側は「(凍土壁を)100%閉じたいのに変わりはないが、目的は流入量を減らすこと」と強調した。
 凍土壁は1〜4号機の周囲約1.5キロの地中を凍らせ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生量を減らす計画。東電は3月末に一部で凍結を始めたが、一部で地中の温度が下がらず追加工事を実施した。東電によると、第一原発海側の1日当たりの地下水くみ上げ量は6月が平均321トン。5月の352トンに比べ31トン減少したが、凍土壁の十分な効果は確認できていない。
 東電が今年3月に特定原子力施設監視・評価検討会で公表した資料では凍土壁造成の最終の第3段階について「完全閉合する段階」と表記していた。経済産業省資源エネルギー庁も「凍土遮水壁は最終的には完全な凍結を目指す」(原子力発電所事故収束対応室)との認識だ。  規制委会合で東電が示した見解について、県の菅野信志原子力安全対策課長は「おそらく公の場では初めてではないか。汚染水の発生量を減らすという凍土遮水壁の目的を達成するため、当初の計画通り100%凍らせる努力が必要だ」と強調した。
 福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を感じる」と指摘した。双葉地方町村会長の馬場有浪江町長は「凍土壁で汚染水を完全に管理できるという説明だったはず。町民の帰還意欲にも影響しかねない問題だ」と批判した。一方、東電は「地下水流入量抑制が目的で、100%閉合を確実に実施するわけではない。目的は変わっておらず方針転換ではない」(本店広報室)としている。
(7月20日、福島民報社)

当初、民主党菅内閣の下につくられた「遮蔽プロジェクトチーム」(馬淵首相補佐官)では、いくつかの案の中から「鉛直バリア(ベントナイトスラリーウオール)方式」が採用された。これはヒビの入るコンクリートではなく、ベントナイトを使って地下30メートルの難浸透層まで掘り下げて壁をつくるというものだったが、仙谷官房長官を通じて東電から「その方式だと新たに一千億円かかり、(2011年)6月の株主総会を通らないから、待ってくれ」とストップがかかった。

そのPTの責任者だった馬淵氏が6月末に補佐官を解任され、この案自体が流れてしまい、東電は海側の一部にだけ遮蔽壁をつくっただけに終わり、安倍内閣下で「凍土壁」が採用された。だが、凍土壁は上のPTで「効果に疑問がある」として却下されたものだった。地下水を完全に遮断する効果は実証されておらず、不純物の混じった地中で凍結状態を継続できるのか、半永久的に冷却材を投入し続ける必要があるなどが理由だった。

東電側の言うがままに初期費用をケチった結果だが、今回もまた誰も責任を取らないで終わるのだろう。政治家が説明責任を果たさないから、政治不信とポピュリズムが蔓延していることを、もっと自覚すべきだ。
上の記事を読む限り、東電側の説明を聞いた福島県民は「凍土壁ができれば大丈夫」と認識しているが、東電側は「そんな説明はしていない」と主張し、平行線になっているようだ。実際、東電側が安全を100%保障するような説明はしていないのかもしれないが、その場凌ぎでそう思わせるようなテクニックを使った可能性があり、やはり無責任な官僚体質であることは否めない。

本件もまた地方紙が取り上げるだけで、全国紙やマスメディアは殆ど取り上げていない。政府や資本に依存する形でしか存在できないメディアは、「百害あって一利なし」である。
posted by ケン at 12:33| Comment(5) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月27日

南シナ海で過熱する日中対立

【南シナ海で日中「痛み分け」…声明巡り駆け引き】
 16日に閉幕したアジア欧州会議(ASEM)首脳会議は、中国の南シナ海での主権主張を否定する仲裁裁判所の判決が出てから初めての首脳級国際会議となった。日本は判決受け入れを中国に促す国際包囲網の構築を図り、中国側はそれを切り崩そうと外交攻勢を強めた。議長声明の文言を巡っては双方、「痛み分け」の形となった。安倍首相は16日午前の首脳会議で、南シナ海問題について「法の支配は国際社会が堅持していかなくてはならない普遍的原則だ」と切り出し、判決受け入れを中国に迫った。会議では他にも数か国の首脳が仲裁裁判の結果に言及したといい、日本政府高官は「会議の中身は満足のいくものだった。包囲網作りはうまくいった」と語った。
(7月17日、読売新聞)

【仲裁判決、無力化に焦り=政府、包囲網づくりは継続】
 岸田文雄外相はラオスで開かれた一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で、南シナ海をめぐる仲裁裁判所判決を中国に受け入れさせるため、国際的な包囲網構築を試みた。しかし、ASEANの足並みの乱れから、共同声明で仲裁判決への言及が見送られるなど中国への配慮が目立ち、岸田氏の狙いは不発となった。「仲裁裁判は紛争当事国を法的に拘束する。両当事国がこの判断に従うことで問題の平和的解決につながることを期待する」。岸田外相は26日の東アジアサミット外相会議で、王毅中国外相の眼前で、仲裁判決の受け入れを重ねて迫った。
 外務省によると、12日の仲裁判決後、判決について「法的に拘束する」などと明確に順守を求めたのは、日米豪など少数の国にとどまる。このため日本政府は、関連外相会議の声明などに判決を明確に位置付けることで、中国に圧力をかけることを目指した。だが、ASEANが25日の外相会議で合意した共同声明が仲裁判決に触れなかったことで、議論は中国に有利に展開。26日の東アジアサミット会議でも仲裁判決については「法的、外交的なプロセスの尊重」など間接的な言及が多かったという。
 今後、判決無視を決め込む中国の主張が勢いづくことも予想される。外務省幹部は「無理が通れば道理が引っ込むとなってはならない。法的規範を外交力で示さなければならない」と焦りを募らせる。南シナ海問題は、9月上旬に中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議や、それに続くラオスでのASEAN首脳会議でも取り上げられる見通し。王毅外相が25日に南シナ海の秩序維持のための「行動規範」の策定時期に言及するなど、「中国もプレッシャーを感じ始めている」(外務省関係者)との見方もあり、政府は粘り強く働き掛けを続ける方針だ。
(7月26日、時事通信)

国連の仲裁裁判所の裁定を受けて、外務省がすっかりヒートアップしているが、まるで日本が「対中包囲網の主宰者」みたいになってしまっており、冒険主義もいいところだ。
聞くところによれば、日本は米国と共謀して同裁判所の人事にかなりクビを突っ込んでおり、その策謀が成功して判事を反中派で固められた結果、今回の一方的な裁定となったという。本来、同裁判所は、領有権や国家間紛争には関わらず、今回の裁定も直接的には踏み込んでいないものの、実質的には中国側の主張を全否定して、フィリピン側を全面勝訴としたが、国家間を調停する国際裁判でここまで一方的な裁定がなされるのは珍しく、確かに陰謀臭は否めない。もっとも、アメリカは海洋法条約に加盟しておらず、適用外になっている。

いずれにせよ、同裁判所には強制執行権が無いため、中国側が受け入れを拒否すれば終わりになるが、日本はそれを理由に対中非難を強め、東アジアの対立を煽っている。外務省は、配下のマスゴミを使って、反中宣伝に勤しんでいるが、盧溝橋事件や上海事変の前後を彷彿とさせるマッチポンプぶりだ。
これは、やはり米大統領選挙が近づくにつれて、トランプ氏当選に伴う日米安保体制への危機感と、対中強硬派であるクリントン氏に対する応援メッセージなのかもしれない。

だが、フィリピンで政権が反中親米のアキノ氏から、親中派のドテルテ氏に移り、中比交渉が再開される見込みとなっており、今回の裁定自体が無意味なものになる可能性が高く、そうなれば「対中包囲網」など空に帰してしまうだろう。
そもそも、米大統領選でトランプ氏が勝利して、外交方針の転換が図られた場合、反中路線に突き進んできた日本は、外交カードがなくなってしまう。
外務省は、自らの謀略に酔っているようなところがあるが、戦前の「革新官僚」並みの危うさを伴っている。今回の判決だけでも十分な成果であるのに、反中スタンスを明確にして「対中包囲網」の強化に邁進するのは、過剰である。

なお、同判決の原文(英語)には日本の沖ノ鳥島の問題点に関する言及が数カ所あるが、外務省がマスゴミに提供した日本語訳ではその部分が削除されており、日本国内では一切報道されていない。情報統制の一環と、マスゴミの無能を示す例と言える。
また、日本は捕鯨やマグロ漁に関する国際司法裁判所などの判決を無視しており、外務省のダブルスタンダードは否めない。
posted by ケン at 12:58| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

都知事選2016 終盤情勢

鳥越氏が完全に失速。告示日がピークという、稀に見る酷い選挙になっている。
小池氏がほぼ独走状態で、増田氏がやや盛り返すも広がらず、鳥越氏は民進党やNK党支持層すら十分に固められない始末だ。
にもかかわらず、鳥越氏は毎日2、3箇所の視察・街頭演説をこなすだけの「殿様選挙」を続けており、まるでやる気が感じられない。他の主要候補の3分の1程度の活動量と考えて良い。街頭演説に難があるなら、視察箇所を増やせばいいのに、それもやらないというのは、選対の能力か候補の健康に起因するものと見られるが、いずれにせよ有権者から見放されつつある。選対や支援組織も一部を除いて大きく士気を低下させており、敗北ムードが漂っている。

都知事選の場合、当選に必要な票数は、200万票前後と見られるが、この規模になると、完全にメディアと知名度頼みになってしまう。例えば、電話掛け要員を100人集めて千軒ずつ電話させたところで10万軒にしかならず、当選を左右するには至らない。こうした大規模な選挙は、「誰が誰に何を訴えるのか」「誰が誰に何を委任するのか」という、代議制民主主義の根幹部分が薄まってしまうので、本質的には避けるべきなのだろう。やはり東京は分割すべきだ。

増田氏は自公の組織票を固める方向で動いているが、自民票の半数は小池氏になびいており、KM党も天秤をかけようとしている節がある。民進党は、都議を中心に市議・区議が殆ど動いておらず、私のところにも動員要請はおろか、電話の一本も掛かってこない始末。党本部からの要請はあったものの、筋違いもいいところで、政治的良心に従って拒否した。早朝、駅頭に立って鳥越支持を呼び掛けるNK党員も半ば士気粗相している感じだ。

小池氏は、本来核武装と排外主義を訴える極右主義者であるはずだが、メディア出身者らしく上手くイメージ操作しており、スキャンダルも今のところ隠蔽に成功して、独走モードにある。だが、仮に当選しても、自民党内には「小池ごときに五輪は任せられない」との声が非常に強く、スキャンダルのタネも山ほどあるだけに、一、二年以内に再選挙となる可能性が高い。

鳥越氏が大敗した場合、民進党では都連の推薦者を強引に下ろした岡田代表の責任論が浮上するだろうし、野党共闘に否定的な保守派も増長しそうだ。NK党や社民党では宇都宮氏を下ろした責任を追及する声が高まるだろう。
前回の細川氏もそうだったが、知名度頼みの選挙は、勢いのまま勝てれば良いが、一度失速してしまうと、あっという間に人が離れて立て直しが効かなくなってしまう。いくら知名度があると言っても、今日70代後半の人を擁立するのは相当に無理がある。応援に行っても、60代、70代以上の人しかいない選挙はやはり盛り上がらない。その点、宇都宮氏は70近いながらも若年層に根強い支持があり、「サンダース効果」も相まって、広がりを確保できるメドがあった。「勝てば官軍」ではあるが、敗北した場合、「下ろされた側」の怨念が噴出するため、その遺恨は暫く後に引きそうだ。
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2016年07月25日

日本で一番悪い奴ら

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日本で一番悪い奴ら』 白石和彌監督 日本(2016)

「日本警察史上最大の不祥事」とも言われる「稲葉事件」をモチーフにした映画。
原作は、本ブログでも紹介している(2011.12.07)。
『恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白』 稲葉圭昭 講談社(2011)
銃摘発のカラクリ、マル暴と暴力団の関係、薬物氾濫の流れなどがつぶさに分かる。ノルマを稼ぐために犯罪者を泳がせ、密売元には触れない警察の実態。名刑事は捜査の過程で暴力団員とズブズブの関係に陥っていく一方で、上司からノルマ達成の偽装を依頼され、ますます堕ちていく。まさに「事実は小説よりも奇なり」である。これを映画化しないで何を映画にするというのか。若松監督あたりならやってくれるか?

柔道の腕を買われて北海道警にスカウトされる普通の警察官が、暴対や銃器対策室に配属される中で、自らも意識しないうちに暴力団員らとズブズブの関係に陥り、上層部のノルマに追われて自ら銃器や麻薬の販売に手を染めてゆく。
上層部が過剰なノルマを課す中で、違法捜査や文書偽造が蔓延、上納する分と協力者に渡す裏金をつくるために、犯罪に染まってゆく警察の実像が描かれている。そのタッチは比較的軽妙で、本来重いテーマのはずだが、コメディ要素も交えて上手く構成されている。

正義感の強さ故に捜査に前のめりとなり、人柄故に協力者も増え、結果を出すが故にますますノルマを課され、本人の自覚やコントロールの効かないところで、凄い勢いで上り詰めると同時に堕ちるところまで堕ちてゆく姿が、良く描かれている。
主人公役は、超売れっ子の綾野剛氏だが、気合いの入った熱演をしており、周囲とも息のあった熱度の高い作品に仕上がっている。また、1970〜80年代の空気感が良く再現されており、スカパラの音楽と共に、40代以上の共感を呼ぶ雰囲気がある。
惜しむらくは、前半のスピード感に比して後半がやや冗長になっており、監督の意図するところは分からなくも無いが、2時間15分はちょっと厳しい気がする。
それでも、日本警察の暗部を、クライム・ムービーという形で見事に描いている良作であることは間違いなく、一見の価値があろう。もっとも、作中上司が言う「明日までに領収書出せよ」との発言が、裏金用の架空領収書を指すことなどは、一定の知識が無いと分からないとは思うが。

ちなみに、主人公のモデルとなった稲葉元警部は、

「当時、何百丁と挙げた拳銃のほとんどがやらせだった。8年間の捜査のなかで、実際の捜査による拳銃の押収は、たった2丁」

と回顧しており、覚醒剤130キロと大麻2トンを北海道警察と函館税関が組織的に密輸していた疑惑も浮上、一連の事件を扱った北海道新聞は、道警などからの圧力で一面に謝罪広告を載せている。現実には、映画よりもさらに深い闇があるのだ。
なお、本作が公開される直前には、覚醒剤密売の仲介者と共謀して虚偽の調書を捏造したとして、道警本部に勤務する警部補が逮捕されている。道警の暗部はいまもなお健在らしい。
posted by ケン at 12:54| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月24日

日本会議 戦前回帰への情念

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『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘 集英社新書(2016)

山崎雅弘氏の新著。この間、日本会議ネタは何冊も出版されているが、どれも読んでいないので、違いについてはよく分からない。本ブログで取り上げてこなかったのは、「フリーメイソン」や「コミンテルン」のような秘密結社や陰謀論の臭いが強く、現実政治を取り扱う場には相応しくないと考えられたからだった。そのスタンスは、今でも変えるつもりはないが、それは知識として否定するものではない。

本書は、「日本会議とは何か」を網羅的に取り上げており、「安倍政権との関係」「人脈と組織」「価値観」「その目指すところ」「改憲への意志」を中心に説明している。その根底にあるのは、明治帝政、それも国家神道との一体化が進んだ昭和前期の体制への憧憬であり、その否定の上に成り立っている戦後体制に対する憎悪が、運動のエンジンになっている。山崎氏は、事象を一つずつ検証しながら、歴史と照らし合わせて「戦前回帰」や「国家神道」への情念を立証している。一般には、なじみの無い個人名や歴史の話が多いが、全体的にはコンパクトに分かりやすく書かれており、良質な新書と言える。

ただ、新書で分量的に限界があるのだが、もともと自民党内あるいは保守層全体でも少数派だったはずの反動主義者・歴史修正主義者が、なぜ2000年以降に急速に拡大し、自民党を支配して内閣を組織するまでに至ったのか、その疑問には答えていない。それ故に、「ある日突如秘密結社が現れて自民党を支配した」的なストーリーを想像してしまう人が出てくる恐れがある(本書がそう言っているわけでは無い)。私の関心は、むしろこの「なぜ権威主義・反動家が保守派の大勢を占めたのか」にあるが、これについては本ブログの記事を参照してもらいたい。

右傾化する東欧諸国 
自由民主主義の終焉 
右翼のヤバさと中道の難しさについて 
国と保守派が君が代を強制するワケ 
歪なる保守主義 
左右の定義 
【目次】
はじめに――大河ドラマ『花燃ゆ』と日本会議の副会長

第一章 安倍政権と日本会議のつながり――占領された内閣
1.第二次安倍政権の発足と日本会議の役割
2.重なり合う「日本会議」と「神道政治連盟」の議員たち
3.慰安婦問題・南京大虐殺問題への日本会議の関わり
4.中国の軍事的脅威をアピールする安倍政権と日本会議
5.光を当てる地方紙・週刊誌・ネット言論と、光を当てない大手メディア

第二章 日本会議の「肉体」――人脈と組織の系譜
1.「神道・宗教勢力」と「保守・右派勢力」の融合
2.神社本庁と日本会議の深い関係
3.日本会議とその前身/関連組織が行ってきた主な政治運動

第三章 日本会議の「精神」――戦前・戦中を手本とする価値観
1.安倍首相と日本会議と天皇――「日本の国柄」の核心を成す存在
2.「日本を取り戻す」――具体的には、何を「取り戻す」のか
3.日本会議の思想の原点を物語る書物『国体の本義』と『臣民の道』
4.戦前・戦中の思想と価値判断を継承した日本会議の活動方針

第四章 安倍政権が目指す方向性――教育・家族・歴史認識・靖国神社
1.安倍首相と日本会議と教育改革――「愛国」「道徳」という名の政治教育
2.安倍首相と日本会議と家族観――国民の内面に踏み込む
3.安倍首相と日本会議と歴史認識――大東亜戦争の肯定
4.安倍首相と日本会議と靖国神社――「国に殉じた英霊」の理想化

第五章 日本会議はなぜ「日本国憲法」を憎むのか――改憲への情念
1.安倍首相と日本会議が日本国憲法に示す「敵意と憎悪」の背景
2.日本国憲法を「神道指令の恒久化」と見なす日本会議
3.安倍政権と自民党の憲法改正案
4.日本会議の改憲運動と「産経新聞」の憲法改正案
5.憲法改正運動の最前線に躍り出た日本会議
posted by ケン at 10:00| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする