2016年07月22日

日本社会の将来を占う

大層な表題だが、戯れ言として読んで欲しい。現時点において政治の現場にある私が、将来の社会像をどう想定しているか、という話である。

戦後の日本は、今から思えば信じがたいほど経済成長を遂げた。その主な要因として、まず軍事費と植民地統治の負担がなくなったことが挙げられる。
例えば、日華事変が勃発した昭和12年(1937年)の戦費を除く一般会計軍事費は12億円で、一般会計歳出27億円の何と44%以上に達していた。しかも、この年の租税・印紙収入は13億円で、要は借金以外の収入のほぼ全てを軍事に充てていた。また、朝鮮総督府に対する交付金は7千万円を超え、植民地統治の赤字分を補填していた。ネトウヨが何と言おうと、戦前の「大帝国」は財政的に破綻しており、これを改善しようとする努力(例えばペレストロイカのような)すら行うことなく、連合国(現在の国連)との全面戦争に突入していった。敗戦により、植民地が失われ、巨大な軍隊が廃止され、巨額の赤字(国債)がインフレで無価値に帰したことは、少なくとも国家財政にとっては僥倖だった。
今日、どれだけ自衛隊が肥大化しても(世界第二位の海上戦力)、その軍事費は一般歳出の5%程度に収まっており、アメリカが連邦予算の15%をつぎ込んでいることを考えれば、ギリギリのところで国家理性が保たれていると言える。だが、今後は国内の不満を海外の「敵」に向ける必要が生じると同時に、将来的には米軍の撤退もあり、軍拡に向かう可能性が高いが、一方で税収は低下する可能性が高く、国民の負担は重くなる一方だろう。

もう一つの要因は、「戦後和解体制」の構築である。戦後和解体制とは、共産主義の脅威に対抗すべく、西側で成立した資本家層と労働者層の協同的体制を指し、資本主義と自由経済を容認しつつ、再分配と社会保障制度の充実を図ることで、労働者層の体制参加(取り込み)を進めるものを指す。これにより、いわゆる「分厚い中間層」が誕生し、消費が拡大することで市場経済が活性化するという経済成長の好サイクルができると同時に、政治的安定が確立した。日本において、社会党の伸張が止まったのは、岸内閣が国民年金と健康保険を創設し、社会党の「やりたいこと」を先に実現してしまったことが大きい。

ところが、ソ連・東欧ブロックが崩壊したことで、戦後和解体制はその意義を失ってしまう。東側陣営の「社会主義」に対抗すべく、労働者層の取り込みを図ってきたが、その政治的意義が失われ、配慮する必要がなくなった。
また、時期を前後して、社会保障の財政負担が急激に増し、慢性的な赤字に悩まされるところとなった。「民主的な選挙」で選ばれる政治エリートは、選挙に勝つために社会保障費の削減を主張できないため、財政赤字は肥大化する一途にある。
さらに経済のグローバル化によって、国内産業の多くが賃金の安い海外に移転、海外市場との低賃金競争が始まって、国内の失業ないしは低賃金が蔓延していった。
結果、戦後和解体制は、政治的意義を失い、財政的に継続困難となり、基盤となる国内産業や労働待遇が切り崩されることで、崩壊しつつある。欧州における「極右」勢力や、アメリカにおける「ポピュリズム」の伸張は、その表れと言える。
日本の場合は、自ら戦後和解体制を築き上げた自民党が、自ら「改革」と称して同体制を解体、国民が意味も理解せずに支持するという形になっている。

他方で、戦後和解体制は、旧植民地・第三世界から資源や労働力を不当に安く買い叩き、高い付加価値を付けて売りつけることで膨大な利潤を得ることによって成立していた。だが、中間国が工業化を遂げ、経済発展したことで、労働賃金や資源価格が相対的に上昇していった。同時に資金供給が常に過剰となり、利息が低下を続け、いまやマイナス金利すら当たり前となっている。そのため、先進国では利潤を上げ続けるためには、国内で労働力や資本を収奪するほかなくなっている。
日本でも、この20年間、実質賃金は低下し続け、非正規雇用の割合は10%から40%に激増、家計貯蓄率に至っては10%以上あったものがマイナスになってしまっている。これは、大衆の多くが借金しないと生活できない状態を示しているが、大学で学ぶ学生の5割が有償の奨学金を得ていることに象徴されよう。

戦後和解体制を維持するためには、社会保障制度を維持する必要があるが、そのためには肥大化する同費を補うだけの、保険料や税が必要となる。ところが、保険料は高齢世代の増大と現役世代の縮小により、放っておいても現役世代の負担は上昇するばかりとなっている。現役世代の負担が重くなればなるほど、少子化が進み、縮小再生産のスパイラルに陥っている。
また、税収を上げるためには、所得税、消費税、法人税の3つが主な対象となるが、所得税を上げても、高額所得者は「タックス・ヘイブン」を利用し、中低所得層の負担が重くなるだけ。消費税は消費を抑制すると同時にヤミ市場を蔓延させよう。法人税は、国際的に引き下げ競争を行っている上、会計粉飾を蔓延させる。つまり、増税はデモクラシーの制度上難しい上に、増税すればするほど実際の徴収が難しくなるというジレンマを抱えている。
それ故、富裕層の支持もあって、自民党は「増税せずにパイを増やす」戦略を採っているが、結果的には、インフラを含む生産財に集中投資した上で、奴隷労働を強化し、賃金を引き下げる(非正規雇用を増やす、残業代を出さない)ことで実現しようとしているため、使いもしない生産財ばかり増え、固定維持費が高騰、一方で消費がますます低下するという負の連鎖に陥っている。ここ数年、税収は伸びているが、増える要素は何も無く、今後は増税しない限り、低下の一途を辿りそうだ。
その行き着くところは、社会保障や教育を切り下げ、その不満を国内外の「敵」(具体的には中国や韓国、あるいは国内に住む外国人)に向ける社会となる。

貧富の格差が激しい社会というのは、まず消費が低迷するため、国内市場が発展せず、有能な人材が海外に流れ、少数のエリートが政治的実権を握っているため増税もできず、社会保障や教育に十分な投資ができないため、貧困と犯罪と腐敗が蔓延、連鎖すると同時に、強権的な政府の下で暴動が頻発する状態を意味する。かつての開発独裁国、現在でも中東、アフリカ、アジアなどに多く見られるが、自民党が支配する日本も、遠からずここに辿り着くだろう。

【追記】
戦前の日本には、極めて限定された自由と民主主義しかなかったが、第二次世界大戦における連合国側の休戦条件として、本格的にリベラリズムとデモクラシーが導入された。講和条約の成立に伴い、自由と民主主義を後退させる「逆コース」が模索されたが、今度は共産主義国と国内の社会主義勢力との対抗上、自民党と霞ヶ関は「戦後和解体制」を構築する方向で合意した。自民党の綱領に自主憲法の制定が盛り込まれているのは、「逆コース」路線に配慮してのことだった。ところが、東側陣営が瓦解し、中国が普通の開発独裁国になり、国内の社会主義勢力が共産党を除いて絶滅寸前に追い込まれると、戦後和解体制は「財政上のお荷物」でしかなくなり、自民党を支持する富裕層にとっては解体すべき対象となった。また、戦後日本は、帝国を否定せずに、その官僚組織と支配構造を引き継いだため、権威主義的な官僚支配の構造が濃厚に残り、官僚の登用に際しては「自由と民主主義に対する忠誠」は問われなかった。自民党の超長期支配による政官業の一体化もあって、霞ヶ関もまた戦後和解体制の解体に向けて、自民党と歩調を合わせている。労働時間規制を撤廃し、裁量労働を無制限に導入する労働基準法改正案は、その象徴と言える。一般的には、安倍政権の改憲志向は「戦前回帰」で説明されることが多いが、「戦後和解体制の解体」という視点で見た方が、政治の現場にいる者としてはピッタリくるものがある。
posted by ケン at 12:52| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月21日

勘違いしながら膨張する公調

【「国際テロ情報を収集せよ」 インテリジェンス・オフィサー体験ツアー 大学生募集】
 フランスやベルギーでのテロ事件など国際テロ対策の重要性が指摘される中、テロなど公安情報の収集・分析を行う公安調査庁は、現場の「インテリジェンス・オフィサー」(情報調査官)を体験できるツアーを開催する。1日から公安庁のホームページで参加者を募集する。対象は大学1、2年生で定員は10人程度。8月30日に公安庁(東京・霞が関)の庁舎で行う。ツアーでは、チーム分けされた参加者がインテリジェンス・オフィサーとして、宗教をバックグラウンドに持つ架空の国際テロ組織の動向を調査する。現役のインテリジェンス・オフィサーがふんする関係者と接触し、聞き込み。収集した情報からチームでテロの脅威などを分析し、首相官邸に報告書を提出する「インテリジェンス・サイクル」を体験する。このほか、現役職員との座談会なども行われる。東京五輪を4年後に控え、インテリジェンスの重要性を理解してもらうことが目的。締め切りは7月末。詳しくは公安庁ホームページで。
(2016.07.01、産経新聞)

人から教えられたのだが、冗談だと思ってみたら本当だった。
でも、大学1、2年生で公調のスパイになりたいと思う人って、どうなんだろう。つまり、内務省勤務じゃなくて、最初から特高勤務を前提としているわけで。伯父上のように、キャリアで内務省入りしたら、特高に配属されちゃったというなら分かるけど、これはちょっと、ねぇ。
そもそも、こんな「官製ツアー」に応募してノコノコやって来るような警戒心の無い若者に、スパイや秘密警察官が務まるとは、とても思えない。

ただでさえ公調は、東京五輪を名目に職員を1500人から2千人に増員しつつあり、「3年で33%増」という肥大化が進んでいる。
テロの対象にされるようなイベントを、国際情勢が不穏な中、わざわざ自国で開催して、巨額の予算を付けて治安組織を拡大、市民監視を強化しつつ、同時に巨大イベントを政治的プロパガンダに転化する手法は、まさに1936年のベルリン五輪におけるナチスを彷彿とさせる。

これも「ナチスの手口を学べ」ということなのだろう。

【参考】 公調をテーマにしたラノベ
・キノコ煮込みに秘密のスパイスを 
posted by ケン at 12:44| Comment(2) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月20日

都知事選2016序盤情勢

参院選に続いて、盛り上がりに欠ける都知事選。「外れしか入っていないくじ引き」と言われるくらいで、私も消去法でしか選べず、とても他人に勧められるような候補はいない。「ネトウヨに都知事をやらせるな」とか「参院選の敗北を返上する」などの主張は、ハッキリ言って胸焼けしかしない。

各種情報を総合すると、小池氏が先行して、鳥越氏がすぐ後に付き、その後ろを増田氏が追う展開になっているが、どうやら増田氏は引き離されているようだ。
自民党の内部調査ですら、同党支持層において小池支持が増田支持を上回る結果となっており、すでに首相官邸や党本部は「中立論」に傾きつつあるという。実際、安倍総理は休暇に入り、谷垣幹事長は入院中と、意思決定する気が無いことを示している。

個人的には、「他候補(小池)を支持・応援した党員は、応援した一族郎党含めて厳罰に処す」という自民党都連の通達がどのように処理されるのか、豊臣秀次一族のように妻子全員三条河原で公開処刑されて、そのまま遺体をさらされるのかと、ドキドキしながら待っているのだが(爆)

にもかかわらず、あるいは逆効果となっているのか、増田氏は連合東京の実質的な支援まで受けながらも、全く支持が広がっておらず、自民党支持層ですら約3割程度しか固められておらず、ほとんどKM党頼みになってしまっている。これでは、自民党本部としても小池氏と両天秤に掛けざるを得ないだろう。

一方、民進党は対応が後手後手になっている。鳥越氏を「統一候補」に据えたはいいものの、すったもんだしながらも古賀氏に候補を決めた都連は、岡田代表に上から命令されて取り下げられたことを根に持ち、全くやる気が無い。個々の都議や区議・市議レベルでは、小池氏や増田氏を支援するものが続出し、党本部だけが鳥越氏を支援する形になってしまっている。結果、まともに選対本部も組織できず、普通なら都連や都議団で構成するものを、党本部の職員や国会議員秘書団でやろうとしているが、都知事選については素人も同然なので、殆ど機能していない。そのせいもあって、選挙期間中にもかかわらず、鳥越氏は一日二、三箇所で街頭演説するだけに終わっている。
鳥越陣営で動いているのは、NK党だけという有様で、NK党の自治体議員は毎日駅頭に立って鳥越支援を訴えているが、それ以外の党の議員は見たこともない。まるで関ヶ原合戦当日の西軍(戦ったのは、石田、小西、宇喜田だけ)を見るようだ。そのNK党も、内部的には宇都宮氏を強引に下ろしたことへの不満が強いという。社民党が動かないのも同様の理由らしい。
また、鳥越氏本人も、組織上の問題はあるにしても、一日二、三回しか街頭に立たないというのは、本人にやる気がないか、肉体的に難しいかのどちらかであることを示している。その街頭にしても、演説は短時間な上に声は聞こえず、ゲストの方が長く話す始末で、聞きに行ったものから不満や心配の声が上がっている。これでは、せっかく街頭に立っても票が増えない。ネトウヨを中心に「認知症の疑い」がかけられているが、街頭演説を見る限り、健康不安は否定しようが無い。
さらに言えば、告示日最初の街頭を「新宿バスタ」にしているが、他県行きのターミナルで東京都民など殆どおらず、選対の無能ぶりが伺われる。
つまり、鳥越氏は小池氏の後を追ってはいるものの、全く勢いに欠いており、後半戦で追い上げるような要素は見当たらない。そもそも民進党支持層の3割前後が小池氏に回っていると言われており、鳥越氏への集約が大前提となるが、都議団・自治体議員団が中立化している限り、非常に厳しい。岡田代表は、強権を発動して鳥越氏を候補に据えたのだから、来年の都議選の公認権とカネを盾に、都議団を強制動員すべきだろう。「毒食らわば皿まで」だが、エリートのひ弱さが見て取れる。

小池氏は、自民党層で増田氏より多くの支持を集め、民進党支持層にも大きく食い込んでいる。色々奇抜なところもあるが、少なくともアピール力だけはあり、今後も支持を広げる可能性がある。最終的には小池氏が他候補を引き離して勝利するかもしれない。
だが、小池氏にはすでに山ほど瑕疵があり、よほど自民党(官邸?)に対し従順な姿勢を見せない限り、いつでもスキャンダルが暴露される状態にある。

いずれにせよ、都民にとって「良い選択肢」は無い。政治家のクビなど、すげ替えればすげ替えるほど質を下げてゆくのが、歴史の常であり、都知事も例外では無いということだろう。

【追記】
言いたいことはまだあるのだが、選挙中は控えるべきだろう。だが、暗示だけしておくと、もはや我々はソ連共産党を笑えなくなってしまった。
posted by ケン at 12:42| Comment(3) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月19日

関白秀次の切腹

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『関白秀次の切腹』 矢部健太郎 KADOKAWA(2016)

ちょっと前まで司馬遼の「殺生関白」が基本イメージだっただけに、今回の大河ドラマの秀次象はかなり改善されている。だが、それでも「気弱でお人好しなだけの坊ちゃん」になってしまっているのが惜しい。

史実的には、近江八幡の城下町は戦国期で唯一、上下水道が整備され、関東征討に際しては小田原城の公文書や金沢文庫を掠奪から守っている。また、小田原攻めの前哨戦となった伊豆山中城は、総大将として強襲を選択し、半日で陥落させた。北条氏降伏後の「奥州仕置」も名目上の責任者だったかもしれないが、無難にやり遂げている。
一般的には、十代で参戦した小牧・長久手戦の失敗だけを取り上げて無能者扱いされているが、現実には16歳あるいは12歳の若造が指揮するわけではなく、その責任は参謀・寄騎の責任に帰せられるべきだ。この一件をもって「凡庸」「無能」とするのは公正とは言えない。少なくとも、これ以外に大きな失策はしておらず、むしろ困難な任務を無難にこなしている観がある。朝鮮出兵にも反対だったようで、その辺から秀吉との軋轢が生まれたようだ。

近江八幡では、近代に至るまで「名君」と評価され、当時のキリスト宣教師たちは「太閤と違って、温厚な人柄で万人から愛された」と記しており、切腹に際しては多数の殉死者も出している。その遺臣は、石田三成に召し抱えられ、関ヶ原戦では最後まで奮戦した(これも従来説では真っ先に逃亡したことにされている)。舞兵庫(前野忠康)などはその典型だろう。
権力は常に自らを正当化するために政敵を貶め、自身を美化すべく、歴史を改竄するのだ。

本書は、秀次切腹(事件)にまつわる様々な説を、一次資料を中心に再点検して検証している。従来説の殆どが江戸期に書かれた二次資料を基にしているため、豊臣秀吉や江戸幕府の意向が強く反映され、「殺生関白」のイメージが形成されたのだろう。果たして、秀吉は最初から秀次を殺すつもりだったのか、一族処刑の背景にあったものは何だったのか。歴史検証の限界はあるものの、十分に説得力のある検証で通説を否定している。
改めて「通説を疑う」ことの重要性を認識させられる一冊である。
posted by ケン at 12:44| Comment(2) | 日本語、日本史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月17日

GMT社 スペイン内戦を初プレイ

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5年前に購入して放置していた、GMT社「スペイン内戦」を初プレイ。ルールもいつの間にか第二版になっていた。日本ではあまり馴染みのないテーマで、ネットを散見してもあまりプレイされていないようで、なかなかプレイする機会に恵まれなかったが良いチャンスが訪れた。3人でプレイして、ケン先生は初プレイなので、国民戦線(ファシスト)軍の北部を担当した。

奇をてらわないオーソドックスなルールではあるのだが、イベントや例外事項が多く、途中で部隊が撤収したり、ビルドアップしたりするので、プレイ上はやや煩瑣。また、必要なルールがどこに書いてあるのか分かりにくいという、検索上の難もある。が、慣れてしまえば、むしろ簡単なルールで、サクサク進むのではないか。
この日はルールを確認しながら、4時間弱で6ターンまで、ようやく部隊のビルドアップ(戦力強化によるユニットの置き換え)が始まったところで終わった。独伊ソなどが介入を本格化し、軍編成も民兵から正規軍に変化してゆく過程が分かる。

最初の数ターンは、どちらも民兵ばかりで戦闘力も1、2が中心で、攻撃側のファシストも2〜3箇所で攻撃できれば御の字という具合で、なかなか進まない。ただ、フランコ将軍率いる「アフリカ(植民地)軍団」が一人気を吐いている程度。
一方の人民戦線側は「寄せ集め」具合がもっと酷く、共産党の部隊は他党派とスッタク不可とか、攻撃するにもダイスを振って「命令に従うかどうか」チェックを行うなど、そもそも統一した指揮を執るのが困難な情勢にある。
しかも最初は双方とも弱ZOCであるため、基本的に全戦線をユニットで占める必要があり、緩やかにしか進まない。だが、戦闘結果は意外とブラッディで、双方どんどんユニットが失われてゆく。
この日は、ファシスト側のダイスが良好で、損害が少なかったため、人民戦線側をかなり押し込んでいたが、攻撃側の損害がかさむと、あっという間に攻撃継続が難しくなりそうで、振れが大きい作品なのかもしれない。
ただ、見た感じでは、人民戦線側は防戦一方で、なかなか厳しいように見える。まぁ史実もそうだったわけだが。

前半3分の1をプレイしただけなので評価は難しいが、率直に言えば、プレイヤーとしてのカタルシスには欠けるかもしれないが、史実再現性の高い好ゲームと言えそうだ。スペインでは、動員率の高さもあって、必ず先祖の誰かがどちら側かで参戦したような内戦であり、現代スペイン人的には熱いテーマなのかもしれない。
次回はもう少し先までプレイして、ビルドアップ・列強介入後の展開も見てみたい。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月15日

生前退位問題の難しさについて

【典範改正の是非焦点に=生前退位に慎重論も―政府】
 天皇陛下が生前退位の意向を示されたことを受け、政府内では今後、皇室制度を定めた皇室典範改正の是非が焦点となりそうだ。現行制度には、天皇の退位に関する規定がないためだが、改正には慎重論も多いという。政府は、国民的な議論の高まりなどを見極めつつ、丁寧に対応する考えだ。皇室典範は、皇位継承について「天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに即位する」などと規定しているが、退位に関する規定はない。政府関係者は13日、「生前退位というのは現行制度に規定されていない。皇室典範の改正が必要になる」と指摘した。実際に皇室典範を改正する場合は、通常の法改正と同様に、政府が改正案を作成し、国会で審議することになる。陛下の意向を踏まえ、政府は既に、内閣官房を中心に水面下で検討に着手。同時に、公務の負担軽減の在り方についても研究し、安倍晋三首相に報告されているという。
 制度改正をめぐっては、他にも検討すべき課題が多い。内閣法制局OBは「退位後の役割や尊称、時期などを議論する必要がある。元号も変わることになる」などと説明。「国民世論がどう動いていくかが重要だろう」とも語った。一方、別の政府関係者は「皇位の安定性という観点から、改正の是非は慎重に検討しないといけない」と指摘している。皇室典範には、天皇が「身体の重患」などで公務を続けられない場合、「摂政を置く」としており、この仕組みを活用すれば改正は不要との見方を示した。 
(7月13日、時事通信)

近年では、ローマ教皇やオランダ女王が退位しており、帝の年齢と健康を考えれば、在位していること自体が人道的問題とすら言える状況にある。高齢化が著しい現代にあっては、高確率で発生する問題であり、人道的には当然だ。

とはいえ、明治憲法の制定時に生前退位について規定しなかったのにはワケがある。生前退位を許すと、皇位継承問題が拡大するリスクが高いためだ。1つは、本人の意向で「もう辞めた」と自主的に退位してしまう可能性、2つめは第三者が介在して本人の意思に反して退位を強要される可能性である。

前者は、「王冠を賭けた恋」で知られるエドワード8世のケース(在位324日)が象徴的だが、平安期の後白河帝のように退位後も34年に渡って「院政」を敷いたケースもあり、自主的退位でも様々なケースが想定される。

後者のケースは山ほどあるが、今日においても孝明帝の死には暗殺の容疑がつきまとうし、昭和期にあってすら、第二次世界大戦末期には昭和帝を退位させて、傀儡帝を擁立して「聖戦貫徹」を実現しようという謀略があったことに象徴されるように、政治目的の陰謀に利用される恐れがある。

その一方で、戦後のGHQ改革によって皇族が大幅に縮小された結果、「血筋のプール」が極小になってしまった。
現在の天皇家は皇家と四宮家から構成されている。この5家のうち男子がいるのは秋篠宮家だけで、それも1人のみだ。現在の皇室典範は養子を禁止すると同時に、女子が皇族以外と結婚した場合は皇室から除籍すると規定しているため、今後も男子が誕生しない場合、皇家と三宮家は遠からず絶家となる。
生前退位が認められるとしても、皇室そのものの存続が危うくなっていることに変わりは無い。
現在の皇統存続の危機は、戦後改革によって14家あった宮家のうち11家が皇籍離脱処分となったことにある。その結果、1954年の高円宮憲仁親王(2002年に逝去)の誕生から2006年の秋篠宮悠仁親王の誕生まで50年以上にわたって男子の誕生が途絶えている。冒頭にも挙げたように、皇家と四宮家のうち男子がいるのは秋篠宮家だけで、しかも1人で、養子が認められない現行法では残り四家は遠からず断絶することになる。仮に悠仁親王が皇位を継いだとしても、その存続は絶望的な状況にあると言える。
宮家が廃絶された理由は、戦後の財政難と民主化、つまり華族制度の廃止にあるが、それは強大な皇族が貴族特権を有することはデモクラシーの原理に反するという考え方に基づいている。
だが、皇統の存続を第一に考えるならば、可能な限り多くの宮家を置いて、後継者プールを大きくすることに主眼を置くべきなのだが、近代あるいはデモクラシーの原理とどうしても背反してしまう。
皇統存続と近代原理の無理) 

今上帝が生前退位を求める背景については、様々な憶測が流れているが、その1つは、

「安倍政権が皇室典範を改定して、悠仁親王への将来的継承を理由に、極右思想の持ち主である文仁親王への皇位継承を図るのではないか、という危惧」

にあるという。さすがにこれは、陰謀論の一歩手前くらいの話だとは思うのだが、今上帝と徳仁親王がそれくらいの危機感を抱いてもおかしくないとは思われる。
現実的には、実際の健康上の問題と、昭和帝崩御の際の「自粛騒動」と東京五輪等の開催を考えて、混乱を最小限にしたいということなのだろうと推察される。

また、本件を宮内庁が必死になって否定しているということは、以前より帝が意思表示されていたのを、ずっと無視し続けていたため、同情した同庁の職員が漏洩した可能性が高い。これも「天皇の言うことを聞かない右翼」の流れであり、日本における天皇制の本質を示している。

【参考】
皇統存続と近代原理の無理 
皇族も立憲体制に危機感?‐備忘録的に 
皇室の政治利用に向けた大きな一歩 
天皇の言うことを聞かない右翼 
posted by ケン at 13:00| Comment(2) | 憲法、政治思想、理念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月14日

都知事選2016の行方

【鳥越、増田、小池氏ら16人届け出=政治とカネ、五輪で論戦】
 舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選が14日告示され、新人16人が立候補を届け出た。都知事が2代続けて「政治とカネ」をめぐる問題で任期途中で辞職したことに加え、舛添氏が高額な海外出張費や公用車の私的利用で厳しい批判を浴びたことから、知事としての資質や都政の透明化が主な争点となる。31日に投開票される。2020年東京五輪・パラリンピックの開催費負担や、待機児童解消をはじめとする社会保障政策、首都直下地震に備えた防災対策をめぐっても論戦が始まった。立候補したのは届け出順に、元キャスターでジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=、前岩手県知事の増田寛也元総務相(64)=自民、公明、こころ推薦=、自民党前衆院議員の小池百合子元防衛相(64)ら16人。事実上、3氏を軸とした戦いとなるとみられる。与党陣営は自公両党が推薦する増田氏と、自民党都連への対決姿勢を打ち出す小池氏がぶつかる17年ぶりの「保守分裂選挙」に突入。社民を含む野党4党は、鳥越氏を統一候補として全面支援する。都政の課題をめぐり、鳥越氏は「やるべきことは予算の見直し。少子高齢化に手を打つ」と主張。増田氏は「地方と共存共栄する東京に切り替える」、小池氏は「女性が輝く社会を東京で実現したい」などと訴えている。
(7月14日、時事通信)

違法行為が確認されていない舛添氏をメディア・スクラムによって追放しての都知事選。
鳥越氏の「後出し」ぶりが際立っており、旧式左翼は「宇都宮氏が辞退してくれたので、これで勝てる」と大喜びしているが、コトはそれほど単純では無い。

13日に国会内で開かれた鳥越氏出馬の「市民集会」は、数十人ほどしか集まらず、しかもいわゆる「プロ市民」が仕切っており、政党関係者が苦々しく見ているという代物だった。
前回の都知事選でも、細川選対はいつの間にか「政治浪人の魔窟」と化して、主導権争いして醜い内部対立に終始し、誰が責任者なのか分からないという始末だったという。政党が責任を持って擁立しないと、指導権が確立せず、まともに選挙できない状態に陥りがちだが、統率を優先しすぎると、今度は純粋に応援に来た市民を排除して、求心力を失ってしまうリスクがあり、非常に難しい。

宇都宮氏の出馬辞退も、氏を応援してきた人たちには強い不満を残した形となっている。前日に出馬宣言して「政策はこれから」と言うような候補のために、何年も準備してきた人が辞退するのだから、その不満は当然だ。鳥越氏は、宇都宮氏の公約の大半を受け入れるくらいの覚悟が必要だった。従って、宇都宮票がそのまま鳥越氏に入るとは限らない。

また、民進党都議団は、二転三転しながらも何とか古賀氏の擁立にこぎ着けたものの(人選の妥当性はともかく)、告示前々日になって岡田代表から「鳥越でやれ」と命ぜられ、泣く泣く古賀氏に辞退を申し入れる形となり、完全に面目を潰された。元はと言えば、独自候補も立てられないのに、前知事の追放に手を貸した自分たちの責任ではあるものの、彼ら的には、「じゃあ、党本部で勝手にやってくれ」と完全に士気を萎えさせている。民進党都議団の力など大したものではないかもしれないが、前回の厳しい選挙を生き延びた「強者」たちなだけに、これが中立化してしまうのは痛いだろう。

そして、連合東京は自主投票を決めた。もともと同盟色が濃い上に、大した影響力も持たないのだが(ホワイトカラーの労組は殆ど動かないから)、それでも大勢を占める同盟系が増田氏の支援に回り(原発推進)、微々たる勢力しか無い総評系(東京の公務員組合は共産党系が多い)が鳥越氏支援という、分裂選挙になっている。そもそもこのスピードで、鳥越氏のポスターを作成して、都内全域に貼り出す態勢がつくれたのか、私のところには動員要請すらなかっただけに心配になる。まぁNK党が全部やったのかもしれないが。

候補者の個人的資質についても、鳥越氏は大病を抱えた76歳ということで、ゲーマーとしては『クレムリン』で病気を抱えた最長老の書記長を思い出さずにはいられない。果たして、彼に17日間の過酷な選挙戦をやり遂げられるのか、深刻な課題が山積みの、しかも「十常侍」と化した独善的都官僚が跋扈する都庁で都知事の仕事に耐えられるのか、疑問を抱く人は少なくないだろう。実際、街頭演説において、巨大スピーカーを使っても声が遠くまで届かないという。
また、「参院選の結果を見て危機感を抱いた」の出馬表明も、旧式左翼たちには受け入れられるだろうが、個々の東京都民には関係の無い話である。これはあくまでも地方選挙・自治体選挙であり、それに相応しい政策やスローガンを提示すべきだった。

とはいえ、相対する「有力候補」も弱い。増田氏は、岩手県知事として恥ずかしい業績しか残しておらず、自民党都議団の「操り人形」として大放漫財政を期待されているだけの存在であることがミエミエなだけに、全く広がりに欠けるだろう。舛添前知事を出した自民党の「後継」という点でも、説明が苦しく、支持が広がるとは思えない。

一方、小池女史は、小泉純一郎ばりに派手な出馬表明を行ったものの、いかんせん女性からの嫌われ具合がハンパなく、どこまで支持が広がるか、そもそも誰が選挙実務を担うのか、不明な点が多い。

結局は知名度で鳥越氏が勝利するかもしれないが、個人的には「10年前ならともかく、今さら鳥越?」「都知事の激務は無理だろう」「政策無しで知名度頼みかよ(青島を思い出す)」と色々思うところがあり、やはり推薦する気にはなれない。口の悪い友人は、「外れしか入っていないくじ引き」と言っていたが、否定しがたいものがある。
posted by ケン at 12:33| Comment(5) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする