2016年07月12日

参院選2016の結果を受けて

【民進、改選議席大幅割れ…野党共闘は一定効果】
 民進党は、前回2013年参院選で民主党が獲得した17議席から上積みを果たしたものの、改選議席の45を大幅に下回り、振るわなかった。旧維新の党との合流・党名変更を決断し、選挙戦に臨んだが、与党に改選定数の過半数確保を許す結果となった。一方で、野党共闘には一定の手応えも感じており、次期衆院選での候補者一本化に向けた共産党との協議が進む可能性もある。岡田代表は10日夜、党本部で記者会見し、「(前回選から)かなり増えたことは間違いないが、まだ再建途上だ。政権を担えるところまでもっていかないといけない」と述べた。選挙戦で展開した安全保障関連法の廃止を掲げる市民団体との連携については、「非常に高く評価している。さらに広がっていくことを期待したい」と歓迎した。
 今後の憲法改正論議に関しては、「まず与党が何を変えたいのか明確にしてもらう必要がある」と述べる一方、「安倍首相の立憲主義の解釈が理解できない」と語り、改めて首相の下での改憲論議に消極的な姿勢を示した。民進党では、野党統一候補が善戦した4月の衆院北海道5区補欠選挙を契機に共産党との共闘を容認するムードが高まった。しかし、選挙戦で共産党が自衛隊を「違憲」と明言したことや、藤野保史・共産党政策委員長(当時)が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したことで、共闘の危うさを指摘する声も漏れた。
 枝野幹事長は民放番組で、野党共闘について、「一定の効果はあったと思うが、いろいろと課題も浮かび上がった。今回の結果をよく分析したい」と語った。9月に予定される党代表選では、共産党などとの共闘路線のあり方が議論されそうだ。岡田氏は代表選への出馬について、「これからしっかり考えたい」などと明言を避けているが、岡田氏周辺は11日未明、「代表選に出ない理由はない」と語った。党内で責任ラインとみられていた「30議席」を超えたことや、代表として進退をかけた地元・三重選挙区で勝利したことが理由だ。一方で、代表選には、共産党との共闘に冷ややかだった前原誠司元外相や細野豪志元環境相の出馬も取りざたされている。
(7月11日、読売新聞)

参院選の投開票が行われた。いわゆる「改憲勢力」がギリギリ3分の2を獲得したが、自民党の単独過半数は実現しなかった。

【参議院結果(改選121、後者は比例獲得票)】
自民 56:2011万票
民進 32:1175万票
KM 14: 757万票
NK  6: 601万票
維新  7: 515万票
無他  6


以下は、同日選を想定しての5月20日段階の、私の予想。

【参議院予想】
自民 70±5
民進 20±3
KM 11±2
NK  9±2
維新  5±2
無他 10±2


選挙戦開始までに自民党がやや失速し、野党の支持が若干高まったものの、自民党が60台前半、民進は25程度だろうというのが、私や周辺の見立てだった。
つまり、自民党は圧倒的な内閣支持率や政党支持率を活かすことができず、「圧勝のつもりが辛勝」に終わり、選挙指導に疑問符が付けられる。だが、「改憲勢力で3分の2」という大目標は達成したので、責任に問われることはないだろう。
一方、民進党は「NKよりはマシ」という政党支持率でありながら、実戦は予想外に健闘した格好だった。特に比例区で1千万票を超えたことは、全く想定外であり、コミュニストに流れると考えられた票の多くが民進に投じられたと考えられる。
逆にNK党は、躁状態のようにノリノリだった割に、実際には票が伸びず、舌禍事件もあって完全に失速した。とはいえ、特に東京以外の選挙区、例えば大阪、愛知、神奈川で当選させられなかったことは、「勝てるところで勝てなかった」という点で、ゲーム・プレイヤーとして低評価が下されるだろう。
重要な32の一人区では、野党候補が11勝を挙げており、全体の戦況を鑑みれば「大健闘」と言える。その殆どが接戦を制しており、自民党としては「勝てるところで勝てず、少なからず取りこぼしをした」と評価すべきだ。

結果論的には、自民党は衆参同日選を回避したことで、野党共闘と労働組合の組織を効率的に稼働させてしまい、高支持率に緩んだ自民党はタガを締めるのに失敗したと言える。例えば、選挙期間中も衆議院の議員会館には自民党議員の秘書が数多く残っており、「戦力の温存」が見られたことは、「持てる戦力を決勝点に集中させる」という戦術の要諦に反している。
「衆参両院で改憲派が3分の2」を達成したものの、ゲーマーとしては「自民党はもっと勝てたはずだ」と見ずにはいられない。

ただ、野党共闘も一定の成果は認められたものの、自民党の「楽勝ムード」に助けられた部分もあり、全面肯定するには至らなそうだ。特に野党共闘を強く推進したNK党が、むしろ議席を減らす結果に終わっており(13年の8から6へ)、他方で民進党が大躍進していることから、独自路線派が党内攻勢を強めるだろう。
選挙終盤には、シールズや市民連合などの市民団体が、街頭でコミュニストへの投票を呼び掛けたものの、これも確たる成果を挙げなかった。次の衆院選はかなり先送りされそうなので、野党共闘は「今後の協議」ということになりそうだ。「一人区で11勝もした」と判断するか、「11勝しかできなかった」と判断するかがカギとなる。

「3分の2はとらせない!」という民進党の目標は果たせなかったものの、民進党は本来持つ実力や支持率に比して、はるかに好成績を出せたので、岡田代表の責任が問われることはないだろう。だが、その求心力はすでに大きく低下しており、代表選には出馬せずに、枝野幹事長への「禅譲」が目指されるかもしれない。
また、「勝てなかった」とはいえ、一定の成果を挙げた要因について、果たして「改憲反対」を前面に掲げたことが良かったのか、「改憲反対」だからこそ「この程度の結果に終わったのか」については別途吟味する必要がある。少なくとも、投票率の低さは「改憲反対」の主張が、多くの無関心有権者層に伝わらなかったことだけは確かだろう。

いずれにせよ、権威主義勢力が圧倒的な勢力を誇り、政府とマスゴミが同調してプロパガンダを打ち、国民間に諦観と無関心が広まる中、民進党はギリギリのところで踏みとどまり、何とか戦線崩壊を防いだ形だと言える。民進党はまだまだ攻勢に出られる力を有しておらず、ここは地道に自治体議員を増やし、党の基幹部分の再建に注力、敵失を待つのが上策だろう。
posted by ケン at 01:00| Comment(9) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする