2016年07月29日

ダブルスパイの末路

【日中友好団体幹部の日本人男性「中国が拘束」官房長官】
 中国を訪問中の日中友好団体幹部の日本人男性が、連絡が取れなくなっていることがわかった。菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、「今年7月に北京市で邦人男性1人が中国当局に拘束された旨、中国から通報があった」と述べた。ただ、詳細については「事柄の性質上コメントすることは控えたい。邦人保護の観点から、在外公館などを通じて適切に支援をしている」と話すにとどめた。この幹部は7月11日に北京入りし、15日まで滞在する予定だったが、27日になっても帰国しておらず、同団体の関係者は「連絡がとれない」としている。携帯電話もつながらない状態が続いている。関係者によると、中国でのシンポジウム開催などについて、中国側と協議する目的での訪中だったという。中国では昨年、日本人4人が相次いでスパイ行為に関わったとの疑いで拘束され、その後に逮捕されたことが明らかになっている。4人のうち1人は、今年5月に起訴されたことが判明している。
(7月28日、朝日新聞)

これは、どうやら私も知っている人で、明らかにスパイだった。スパイと言っても、『ジョーカー・ゲーム』に出てくるような有能なプロフェッショナルではなく、大した能力も無く、ただ「どこにでも入りこんでゆく」特異な能力の持ち主という程度の小者だった。まぁせいぜい「協力者」というレベルだが、本人は大物のつもりだったようだ。

日中友好団体幹部の肩書きを持ちつつ、様々な議員事務所に出入りし、秘書をやっていたこともあるし、国会の調査局の非常勤職員だったこともあるようで、某大学の講師も務めている。だが、どのケースでもせいぜい「周辺をうろついている」程度な上、露骨に「中共の協力者」臭を漂わせていただけに、国家機密の核心部に辿り着いたとはとても思えない。

私の周辺でも、「彼は中共のスパイだったんでしょ?どうして中国で逮捕されるの?」という声が聞かれるが、中国のことは多少知っていても全体主義の構造は知らないものらしい。我々のような、ソ連学徒からすれば、スターリン体制下でコミンテルンのスパイがどれだけ粛清されたか、すぐに想像付くからだ。

拘束されていると思われるS氏の場合、日本の内調や公調とも関係を持っており、情報だけで無く金銭の授受も行っていた節があり、日本の情報を引き出すために、中国側の情報を流していた可能性が高い。傍証だけは山ほど耳にする。もともと「あの人、何で食っているんだろう?」と思われているような人なだけに、色々なところからカネを得ていたと見て良い。
公安が放置していたのは、小者であるのと同時に、彼らの協力者でもあったからだろう。
要は、分類するとすれば、「札付きの小者」なのだ。

にもかかわらず、私の周囲の中国関係者の間には激震が走り、「中国も恐い国になった」「自分も中国に行ったら拘束されるかもしれない」などと口々に述べている。それを聞いている私などは、「こんなに中共の協力者が多いのか、ネトウヨが騒ぐのもよく分かる」と思ってしまうほどだ。

だが、必ずしもそれだけではないようだ。我々のようなソ連学徒には、ソ連がロシアになったからと言って、デモクラシーや人権が守られる国になったと思う者はまずいないが、どうも中国学徒には中国に対する信仰があるようで、「昔とは違う」と考えている人が多いようだ。だが、一党独裁を堅持する中国は、ロシアよりも非人道的で、人権の価値など全く認めない国であることは明白だ。
上記のS氏の場合、ダブルスパイの嫌疑が掛けられるに十分なネタが上がっているだけに、スパイ活動に従事していない一般人が大騒ぎするのは、やはり不可解ではある。
恐らくは、例えば日露友好団体の某氏がモスクワでFSBに拘束されたからといって、ロシア関係者はここまで騒がないだろう。誰も「ロシアはそういう国」と思っているからだ。その意味では、中国はイメージ戦略に成功し、ロシアは失敗しているとは言えるが(笑)

S氏も無警戒に過ぎたところがある。聞くところによれば、今回の訪中は、日本の米国系シンクタンクを案内してのものだったという。中国でもロシアでも、「米国関係のNGOは必ず米国諜報機関の手が入った出先機関」と見られており、それはほぼほぼ正しい認識なのだ。そこへ、かねてよりダブルスパイの嫌疑が掛けられているS氏が、日本人とはいえ「米帝の手先」を連れて訪中したのだから、当局の人間が「ちょっくらお灸を据えてやるか、ついでに裏切り者を全員あぶりだしてやろう」くらいのキモチになるのは当然だろう。
細かいところでは、どうも中共内の勢力争いも影響しているようだが、そこまで書くと収拾が付かなくなるので止めておこう。

【追記】
興味深いことに、S氏は「小者ダブルスパイ」な上に、淫行や痴漢あるいは結婚詐欺などの容疑で何度も逮捕され、そのたびに示談で逃げてきた「札付きの小者ワル」であるにもかかわらず、私の周辺では、恐ろしいくらいに同情論が強く、「救難運動」まで立ち上がるという。私などからすれば、「殺されても自業自得」と思うだけに、やはりスパイというのは、特異な魅力を持つ者がやるものらしい。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする