2016年08月04日

6、7月の読書報告(2016)

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『革新自治体 - 熱狂と挫折に何を学ぶか』 岡田一郎 中公新書(2016)
同志の新著。現在では「財政赤字を増やした」と負のイメージばかり語られる、1960〜70年代の革新自治体の実像を再検証した一冊。私が長年住んでいるC市もまさにこの革新自治体の先鋒的存在だっただけに、関心はあったものの、気軽に読める良書が無く、良い機会となった。当時の国政や政党の系譜から、全国の主な革新自治体の始まりから終焉まで扱っているだけに、網羅的になってはいるものの、非常に読みやすく、国政と政党との関係まで含めて分かりやすい構成になっている。詳細は、書評を書くつもりだが、負のイメージを払拭させ、現在に通じる課題を示してくれる貴重な一冊と言える。

『代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す』 待鳥聡史 中公新書(2015)
デモクラシーに対する不信が高まり、ポピュリズムが蔓延、強権的なリーダーが目立つ中、代議制民主主義とは何か、何を目指す制度なのかを再検証している。直接民主主義が物理的に不可能な中で、有権者は政治家に政策決定や官僚監視を委任し、政治家は官僚に政策実行を委任すると同時に、有権者に対して説明責任を負う。だが、どのようにして政治家を選出し、政治家に何をどこまで委任するかについては、様々な制度が存在している。この委任と責任の関係を、良く整理して明快に説明している。新書としては、非常に濃い内容だが、プロフェショナルとしても考えさせられるところの多い一冊である。

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『タックス・ヘイブン―逃げていく税金』 志賀櫻 岩波新書(2013)
日本では数少ない専門家(故人)が、世界規模の脱税・節税・租税回避のカラクリを解説する。専門的すぎて分かりづらい部分もあるが、基本的には解説書と言うよりもノンフィクション的な感じで、前のめりに読んでしまった。これも一度目を通しておいて損はしない一冊。

『EU騒乱:テロと右傾化の次に来るもの』 広岡裕児 新潮選書(2016)
難民、テロ、財政難、右傾化、そしてこれらに起因する反EUの動きを在仏40年のジャーナリストがレポートする。欧州で起こっていることの全体像を把握するにはちょうど良い一冊かもしれないが、民主主義やEUを肯定するスタンスで書いている上、定型的な西側自由主義史観に基づいているため、「いかにも外務省ご推奨」的な公式見解に陥ってしまっている。

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『ドイツ国防軍兵士たちの100通の手紙』 マリー・ムーティエ他 河出書房新社(2016)
二次大戦中の普通のドイツ軍兵士の手紙を、1万6千通余のアーカイブから厳選したもの。それだけと言えばそれだけなのだが、現実のドイツ兵が戦場で何を考えて戦っていたのかを見る点で貴重な資料となる。映像や将軍の回顧録からは分からない実相がある。

『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘 集英社新書(2016)
既出

『関白秀次の切腹』 矢部健太郎 KADOKAWA(2016)
既出
posted by ケン at 12:57| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする