2016年09月12日

限界を露呈した放送法

【ワンセグ携帯にも「NHK受信契約の義務」 高市総務相】
 さいたま地裁が8月、ワンセグ放送を受信できる携帯電話を持っているだけではNHKの受信料を支払う「義務はない」と判断したことについて、高市早苗総務相は2日の閣議後記者会見で「携帯受信機も受信契約締結義務の対象と考えている」と述べた。裁判では、ワンセグ機能つき携帯電話の所有者が、放送法64条1項で受信契約の義務があると定められている「放送を受信できる受信設備を設置した者」にあたるかが争われた。高市氏は「NHKは『受信設備を設置する』ということの意味を『使用できる状況に置くこと』と規定しており、総務省もそれを認可している」と説明した。NHK広報部は2日、朝日新聞の取材に「現在、控訴の手続きを進めている」とした。高市氏は「訴訟の推移をしっかりと見守っていく」と述べた。
(9月2日、朝日新聞)

司法が下した法解釈を、行政が「そんなの関係ねぇ!」と逆ギレした。ただでさえ日本の三権は、圧倒的に行政が強すぎるのに、いよいよ暴走が止まらなくなっている。日本の司法は、上に行けば行くほど、行政への依存を強めるため、政府側は控訴すればするほど勝率が上がる寸法だ。こうなってくると、やはり行政・霞ヶ関そのものを解体して、三権では無く、「四権」とか「五権」にすることで、権力の相互監視を強化し、暴走を抑止する仕組みを考える必要がある。

そもそも普通の人はテレビなど持っていなかった頃につくられた法律を、時代にあわせて改正すること無く放置してきたツケが回っているだけの話であり、それは政府・総務省の責任である。
スマホやワンセグ付き携帯(ガラケー)のテレビ受信機能は、もともとNHKを受信するために購入したのではなく、あくまでも「オマケ」機能として付随しているだけのものであり、放送法64条の「放送を受信できる受信設備を設置」を全て適用して、強制的に契約させようというのは相当にムリがある話の上、国民の合意が得られるとは思えない。
仮に高市大臣の方針を強行した場合、スマホ等の保有者全員にNHKから契約書が送られてくることになるが、その場合、受信能力を持つスマホは一気に売れなくなるだろう。何せ「NHKが受信できる」というだけで、携帯の維持費が50%前後も上がってしまうのだから、話にならない。
さらには、チューナー付きのタブレットや、将来的にはゲーム用などのヘッドマウントデバイスなども契約の対象になるが、技術進化に伴うデバイスの多様化により、契約対象者が際限なく拡大する上、1人で複数のデバイスを有する問題も生じる。

現行の放送法を放置する限り、NHKと政府の権限は際限なく拡大し、その暴走を止めるのは難しいだろう。だからこそ、総務省は放送法の改正を経ずに、受信料の徴収だけゴリ押ししようとしているが、現状では通常の受信料徴収すら73%に止まっており、まるで現実味が無い。これを放置したまま、司法判決を無視して、さらなる収奪に走れば、NHKそのものの廃止もしくは民営化を主張する声が拡大してゆくことになるだろう。
私自身は、NHKを国営放送と民営放送に分割すべきと考えているが、やはりそれしかなさそうだ。

【参考】
NHKの暴走を止めろ! 
NHKの分割を目指して 
posted by ケン at 12:26| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする