2016年09月26日

どんどん似てきた日露−ロシア下院選2016

【2016ロシア下院選 プーチン大統領再選に弾み】
 ロシア下院選で政権与党「統一ロシア」が圧勝したことは、欧米の対露制裁などによる経済悪化にもかかわらず、有権者のかなりの部分が政権を支持している現状を示した。プーチン大統領は、2018年春に予定される大統領選に向け、自信を深めたとみられる。一方、今回の選挙では大都市部の投票率が大きく低下し、国民の政治や選挙に対する不信も鮮明になった。
 プーチン氏は19日、政府との会合で下院選の結果に触れ、「たいへん困難な状況で、人々は断固として安定を望み、統一ロシアに依拠する政府を信頼している」と述べた。18日夜には統一ロシアの選対本部で早々と勝利を宣言していた。苦戦の伝えられていた統一ロシアが圧勝した理由としては、まず、特に地方部で権力に隷従する国民心理が根強いことがある。今年は「プーチン時代」で初めて年金の支給額が実質減となり、多くの地方が財政難にあえぐ。しかし、「経済危機だからこそ、政権に救済を求める」(政治学者)という投票行動が起きた。
 11年の前回選では統一ロシアが大きく後退し、選挙不正疑惑に抗議する大規模デモも起きた。この後のプーチン氏は同党から距離を置いていたものの、選挙戦終盤になると同党との密接な関係を誇示してテコ入れした。政権が11年のデモを受けた懐柔策として復活させた小選挙区投票も、選挙区の設定が与党にきわめて有利なものとされた。投票率が48%と下院選史上で最低だったことも与党を利した。モスクワの投票率は前回の66%から35%へ急落。多くの主要地方都市で投票率が3〜4割にとどまったもようだ。政権与党と「親大統領野党」による管理選挙を嫌気し、「選挙では何も変わらない」と諦観する都市部住民の強い政治不信が根底にはある。
 今回の選挙で経済情勢や腐敗に対する国民の不満が解消されたわけではなく、反体制派指導者は「選挙制度が信頼されていない現状は危険だ」と指摘する。選挙不正に関する情報は多数出ているが、11年のような反発が起きる兆候はない。
(9月20日、産経新聞)

長期間にわたる一党優位体制、低投票率、小選挙区・比例代表並立制、整備された市民監視システムなどなど、日本とロシアはますます似てきている。
日本も貧困層が3千万人以上もいて、さらに悪化させる(再分配を弱めて富の集中を図る)施策が採られているにもかかわらず、何度選挙をやってもそれを進める自民党が大勝する構図になっており、この点もロシアとよく似ている。
主だった野党が政府に協力姿勢を示し、半ば与党化して批判力を失っている点も共通している。共産党がほぼ唯一の批判勢力となっている点も似ているが、ロシア共産党は対外・安保政策については政権と共同歩調をとっている。
トップが権威主義的で、大権を振るうところも共通しているが、だからこそ日露交渉が進んでいる(らしい)側面もある。

日本のマスゴミは、欧米のそれの垂れ流しなので、ロシアで選挙と言えば不正選挙と決めつけている。だが例えば、今回選挙制度が改正されて小選挙区制が導入されたロシアでは、各投票所に候補者紹介が大きく貼り出され、プロフィールや政策・主張などの他に、保有資産の一覧についても記載されている。その信頼性はともかく、投票所に名前しか無く、投票の場では何の情報も与えられない日本と違い、投票時に指標となるものを少しでも多く提示しようというロシアの意欲が伺われる。「ロシアにはロシアのデモクラシーがある」というプーチン氏の言にも一理あるのだ。

ロシア人の間には、欧米型の資本主義・民主主義を導入した結果、欧米資本に全土の生産インフラをわずか50億ドルで買い叩かれたことに対する怨念が強く、欧米では人気の高い「市民派・改革派」はこれを再現しようとしているのではないかという根強い不信がある。これが理解できないと、欧米マスゴミが流す陰謀論に傾いてしまうだろう。

また、選挙制度が改正されたとはいえ、小選挙区と最低ラインの高い比例代表制の並立制なので、小政党には圧倒的に不利になっている。これも日本と似ているが、「市民派」の内部対立が激しく、いつまでも一本化できない点も、政権批判層を投票から遠ざけてしまっている原因と推察される。
一党優位体制下で「結果が見えてしまう」小選挙区制が、ますます投票率を下げ、政権党を利するという構図も日露共通のものと言えよう。日本も来年早々に解散総選挙が行われ、自民党が三度大勝、一党優位体制をさらに強固なものにしそうだ。
posted by ケン at 12:26| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする