2016年10月11日

勝てないケンカを買うバカ

【「1月解散」受けて立つ=中道政治が目標―民進・蓮舫氏】
 民進党の蓮舫代表は3日、国会内でインタビューに応じ、安倍晋三首相が来年1月に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が与党内で広がっていることに関し、「いつ解散があってもいいように戦う姿勢は整えている」と述べ、受けて立つ覚悟を示した。民進党が目指す方向性については、中道政治を掲げた。
 蓮舫氏は、1月解散を視野に党の態勢を整備する考えを強調。ただ、「1票の格差」是正のための衆院区割りが行われる前の解散が望ましいとの自民党幹部の発言については、「看過できない。最高裁、国会の努力、全てを無に帰す発言だ」と批判した。自身の衆院くら替えについては「覚悟はしている」と重ねて意欲を表明した。
 民進、共産など野党4党の衆院選協力に関しては、「有権者が選びやすい、与党対野党というシンプルな構図ができるのであれば、それは否定するものではない」と述べ、候補の一本化が望ましいとの認識を示した。蓮舫氏は民進党が目指す政治スタンスについて、「右でも左でもない分厚い中道だ。今の政権が相当ライトウイングを広げているので、それに対して幅広くレフトというのを示す許容の広さも持っている」と説明。憲法改正については「最優先事項とは位置付けていない」と述べ、党内論議を慎重に進める考えを示した。
(10月3日、時事通信)

衆議院議員が失職する話を参議にして欲しくは無いな〜〜
ここは提案型政党として、「任期満了までお互いきっちりやりませう」と言うところでは?
勝てもしないケンカを買うなよ〜〜

ゲーマー的に表現するなら、自民党側に戦力比が振り切っているのに「掛かってこい!」とか言うかよ、という話である。任期満了まであと2年あり、2年あれば政府の失政や自民党の失策が露呈してくる可能性もあるだけに、ここはむしろ首相の解散権を封じる方向に動くべきだ。戦闘そのものは避けられないとしても、多少なりとも有利な状態で戦うのが戦略戦術の要諦だが、蓮舫執行部にその考えは無いらしい。
仮に12月の日露会談が成功した場合、1月解散2月選挙は自民党の大勝に終わり、民進党は80〜90議席と現状維持すら難しいと思われる。しかも、蓮舫代表は参議院議員であるため、失職することも無ければ、選挙で有権者の信が問われることも無い。

さて、バカの話はさておき、現行憲法における議会解散権は非常に曖昧な立場にある。過去ログから引用しよう。
日本国憲法における「解散権」は、非常に不明確な位置づけにある。そもそも「解散権」の根拠が曖昧なのだ。一般的には、その根拠は憲法第7条と第69条に求められる。69条には、
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」
とある。
ここの「衆議院が解散されない限り」を根拠に、内閣不信任案に対する対抗手段として、衆議院解散権を認めたとするのが、「69条説」である。

これに対して、「7条説」は、「天皇の国事行為」の中にある「衆議院を解散すること」を根拠とする。だが、第4条で天皇の国政に関する権能が否定されていることから、7条の「内閣の助言と承認により」を根拠として、解散の実質的権限は、内閣に帰属するというもの。
そもそも、憲法改正や法律の施行、国会の召集、衆議院の解散などの国家主権の中核が、天皇の帰属していること自体、日本が民主国家ではないことの表れである。
かろうじて「内閣の助言と承認により」を付言することで、民主制の体裁を取ってはいるものの、解釈改憲による天皇独裁の土台はすでに存在しているのだ。その意味では、戦争末期の軍部や政治家たちが画策した「国体護持」は成功し、GHQによる日本の「上からの民主化」はハナから骨抜きにされていたと取ることも可能だろう。

上記の2条のみでは、解散権の根拠としては弱いため、それを補強するような意味で、「議院内閣制の国家では、内閣に議会の解散権を認めるのが通例(国際標準)」とする見解がある。

このように、日本の議院内閣制における解散権は、法的根拠が希薄のまま、慣例的に運用されている。このことは、今後、民主主義を脅かす要因にもなりかねず、その意味で、むしろ左派、共和主義者、民主主義者からの改憲動議こそが必要だろう。

日本における解散権は、「法的根拠が無いわけでもない」という理由で、逆に「否定する根拠はない」として、内閣が自由に行使できる状態になっている。
「解散権と民主主義」(2008.1.21)

議会解散権が、慣例的に「総理の任意」で運用されている今、安倍総理はこれを戦略的手段として活用することで、議会と政権党に対する強い統制力を有している。安倍氏が自らを「立法府の長」と言ってしまうのも、強い自負があってのものだと考えられる。

現行の解散権は、GMT社「Twilight Struggle」におけるイベントカード「勝利得点計算」とよく似ている。これは、米ソ冷戦をテーマに、互いにカードを出し合いながら、影響力を配置したり、イベントを起こしたりしながら、全世界各地域の支配を奪い合うゲームである。本ゲームは、勝利得点の計算が特殊で、共通の手札の中に「VP計算カード」があり、これを出すと、当該エリアで勝利得点を計算されるイベントが強制的に発動する。イベントが発動した時点で、当該エリアにおける米ソの支配状態を確認し、優位に立つ方にVPが加えられる。
こうしたカードが何枚かあり、サドンデスにならなかった場合、ゲーム終了時にVPが勝っている方が勝利する。VP計算カードを手にしたプレイヤーは、実質的には一手番ムダになる一方、ターン中の任意のタイミングで出せるため、当該エリアに肩入れした上でカードを出せば、優位に立てる構図だ。強制イベントなので、「出さない」という選択肢は無いのだが、仮に当該エリアで自勢力が負けていても、負け分を少なくすることは可能だ。

日本の首相は、この「VP計算カード」を常備しているようなものなのだ。自民党の麻生氏や民主党の野田氏は、総理に就任した当初は「ご祝儀相場」で一時的に支持率が高まっていただけに、その時に「自分は有権者の信を問わずに総理になったので、改めて国民の信を問う」と言って解散すれば、現実のような大敗を喫することはなかっただろう。だが、実際には解散権を行使せず、失政を重ね、一年後に解散して歴史的大敗北を喫した。これは、ゲーム的に言えば、わざわざ自分が大敗するタイミングでVP計算カードを出したという話になる。
この2人を見ている安倍氏は、カードの切り方を学習し、有利なタイミングで解散権を行使するように心がけているのだろう。ゲームのルール自体が曖昧であることに起因する問題なのだが、プレイヤーとしては「正しい」選択をしているのだ。
posted by ケン at 12:10| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする