2016年10月20日

トップ会談だけで合意するのは無理?

【ロシア、2島で幕引きも=プーチン氏の姿勢一貫―日ソ共同宣言60年】
 日本とソ連(当時)が、平和条約締結後に北方領土の歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すことを明記した日ソ共同宣言に署名して19日で丸60年を迎える。「引き分け」による領土問題の解決を目指すロシアのプーチン大統領は「両国が署名・批准した唯一の文書」と共同宣言を重視する姿勢で一貫。安倍晋三首相が「新しいアプローチ」で譲歩を示唆する中、ロシア側は2島返還で事実上の幕引きを図りたい考えとみられる。
 1956年10月、当時の鳩山一郎首相ら日本政府代表団は、モスクワの外務省迎賓館を交渉の拠点とした。今月13日、ここで12月のプーチン氏訪日を前に日ロ戦略対話が開かれ、杉山晋輔外務事務次官は「平和条約がない異常な状況が続いており、早期解決の必要がある」と訴えた。プーチン氏は9月、記者団に「ソ連は長く粘り強い交渉の結果、日ソ共同宣言に署名した。そこには2島を引き渡すと書いてある」と改めて強調。国後、択捉2島は交渉の対象外とする考えを示唆した。対象内の歯舞、色丹2島については、引き渡し方法や日ロどちらの主権に属させるかが検討課題だと述べた。
 プーチン氏の持論は、2島からロシア側がさらに譲歩する「2島プラスアルファ」どころか、2島返還にさえ条件を付けるものだ。ザハロワ外務省情報局長も「(四島は)第2次大戦の結果、ロシアに帰属しており、ロシアが主権を持つことに疑問の余地はない」「平和条約締結問題の進展に向けた前提条件は、日本が大戦後の領土を含む現実を認めることだ」と主張した。日ソ中立条約を無視したソ連の対日参戦を不法と見なすかどうかという歴史認識も影を落とし、問題を複雑にしている。
事態を打開すべく、安倍首相は5月のソチでの首脳会談で、平和条約締結に向けた新しいアプローチを提唱。プーチン氏に、経済分野など8項目の協力プランを提示し、全面的な日ロ関係の発展と、首脳間の信頼に基づく領土問題の解決に強い意欲を示した。両首脳はファーストネームで「君と僕」の間柄で呼び合い、9月のウラジオストク会談に続き、11月にペルーでも政治対話を重ねる。ロシア側には、プーチン氏の訪日時に領土問題で合意に達しなくても「今後の交渉の進め方やガイドラインで合意することは可能」(識者)と冷静に見る向きもある。一方、日本側ではこのところ「2島先行返還論」が再び熱を帯び、世論調査でも容認する意見が5割近くに上っている。しかし、仮に歯舞、色丹2島が返還された場合も、ロシア側が残る国後、択捉2島の交渉継続に応じる保証はない。「平和条約が締結されれば、領土問題は終わり」(外交筋)という声も出ている。 
(10月18日、時事通信)

【北方領土 日米安保適用外に 返還後想定 ロシア要求】
 日ロ両政府が進めている平和条約締結交渉で、ロシア側が北方領土の島を引き渡すことで合意した場合、引き渡し対象となる島を日米安全保障条約の適用地域から除外するよう日本に求めていることが分かった。日ロ間で北方領土の「返還後」をにらんだ議論が具体化していることが明らかになった形だが、安保条約の「適用外地域」を設けることには、シリア情勢などでロシアと対立する米国が反発する可能性もあり、安倍晋三首相は難しい判断を迫られる。複数の日ロ外交筋が明らかにした。日米安保条約は第5条で、適用地域を「日本国の施政の下にある領域」と定めている。北方四島は現在、ロシアが実効支配しているため条約の適用外だが、返還が実現して日本の施政権が及ぶようになれば条約上は米軍が活動できるようになる。日本政府高官は「特定の島だけ日米安保条約の対象外とすることは極めて考えにくい」と話す。
(10月15日、北海道新聞抜粋)

これは良記事。とかく日本側の事情や希望的観測ばかりが垂れ流されているが、ロシア側が何をどう考えているかについては殆ど記事が無いだけに貴重。
この辺から考えても現実には、アメリカの了承が無いところで日露のトップ会談だけで妥結する可能性は非常に低いと思われる。そもそもこの間の日露外交は、安倍総理が外務省を除外して官邸主導で進めてきた観があり、外務省を支配する北米課からすれば、苦々しい思いと同時に対米外交上の危機感を強く抱いているはずだ。

現状、日米安保は日本国内で施政権が履行されているところが対象にされており、故に北方領土や竹島は除外されている。現実には、色丹島に米軍基地ができて、米軍機が飛び交う可能性は殆どないわけだが、米国と対立しているロシアにすれば現実的なリスクであり、放置できないのは当然だろう。かと言って、記事にもある通り、安倍氏が勝手に適用除外にできるものではなく、アメリカと交渉するとなれば、日本国外務省も米国側につくので、まず間違いなく米国は了承しないだろう。

12月のトップ会談で十分な成果が出なかった場合、安倍氏も解散を躊躇する可能性が出てくる。そうなると、来年6月には東京都議選があり、その前後はKM党が絶対に拒否するので、解散は来秋以降になるだろう。だが、来秋以降の選挙は与党に厳しいものになりそうであり、難しい選択を迫られそうだ。
posted by ケン at 12:07| Comment(4) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする