2016年12月10日

クラーナハ展―500年後の誘惑

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「クラーナハ展―500年後の誘惑」 国立西洋美術館 1/15まで

西洋美術館のクラーナハ展に行く。
クラーナハは、大学時代に澁澤龍彦にはまって以来のファンで、展示があれば見に行ったものだが、「個展」としては本邦初と聞き、驚いている。確かにマルティン・ルターの肖像画といえばクラーナハではあるものの、それ以外ではドイツかルネサンス、あるいは澁澤ファンでない限り、馴染みがあるとは言えないのかもしれない。

とはいえ、宗教以外のテーマで女性、それも裸婦を描いたり、大工房で作品を量産したりするなど、ルネサンスの「革新」を象徴する画家だった。また、単なる画家ではなく、大工房の経営者であり、宗教改革の支援者であり、貴族の顧問であり、市の評議員や市長でもあった。
この当時は、まだ板に直接描いている時代だが、先進的なカンバス画もあり驚かされる。
『ホロフェルネスの首を持つユディト』をはじめ、初来日の作品も多く、クラーナハに特化しているのは見応えがある。ただ、ウィーン美術史美術館から来た作品は、どれも完全に修復されピカピカになり過ぎて、まるで昨日今日描いたような仕上がりになっており、逆に「これマジで真作?」みたいになってしまっている。昨今の技術は凄まじいものがある。

また、クラーナハをモチーフにした現代作家の作品も展示されているが、面白いものもあれば、「何故これ?」というものもあり、評価の分かれるところだろう。だが、全体としてはバランスの良い展示になっており、何よりも「人が多くない」ため非常に見やすい展覧会であることが良い。印象派展などになると、行列して止まることも許されない話になってしまい、とても見に行く気になれないが、本展は土日でも普通に見られるところがお勧めだ。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする