2017年01月05日

新年の挨拶2017年:補

【連合会長「頑張れば賃金上がるという常識取り戻す」】
 ことしの春闘について連合の神津会長はNHKのインタビューに「頑張れば賃金が上がるという常識を取り戻すことが極めて大事だ」と話し、基本給を引き上げる「ベースアップ」などを維持することが重要だという考えを示しました。この中で連合の神津会長はことしの春闘で「ベースアップ」に相当する賃上げを4年連続で要求する方針を掲げていることについて、「デフレの深い闇の中で20年近く物価上昇があまりなかった時代が続き、賃上げができないということが繰り返されてきた。ベースアップできるところは4年目も継続させ、定期昇給などの制度も維持し、頑張れば賃金が上がるという常識を取り戻すことが極めて大事だ」と話しました。
 そのうえで、中小企業や非正規雇用で働く人の賃金の底上げや格差是正に継続して力を入れていくとして「去年、大手企業と中小企業の賃上げ率の差を圧縮することができたが、ことしはどうやって持続するかが極めて大きい。賃上げ率はむしろ中小のほうが上になるぐらいの結果を導き出したい」と述べました。春闘の労使交渉は今月下旬に事実上スタートし、4年連続でのベースアップが実現するかや格差の是正が焦点となります。
(1月2日、NHK)

挨拶に補足というのも何ですが、ここは敢えて。

「そんなことより、まず働いた分の賃金がもらえるという常識を取り戻してくれ(赤い貴族に好き勝手なこと言わせるな)」という陳情を頂きました。労働力を収奪することでしか利潤を上げられなくなっているのは、資本主義の後退あるいは末路を意味するものです。
資本主義が成立するためには、生産側の新陳代謝と需要側の拡大が必要なのですが、日本の場合、長期に及ぶ自民党一党優位体制、強力な中央官庁、巨大な補助金制度と公共事業、厳しい解雇規制などがスクラップ&ビルドを阻害、低収益構造を温存し、低収益が故に労働力を収奪するほかなく、それを規制する行政は政官業の癒着構造によりこれを放置しているという状態にあります。
安倍内閣が「働き方改革」などとブチ上げてはおりますが、その推進者は政官業と「赤い貴族」の代表者で占められており、問題構造の利益代表者が行う「改革」は必ず失敗します。本来であれば、1990年代により多くの企業や銀行が倒産するところでしたが、これを最小限に止めた結果、工場を海外に移転させただけで、巨額の公費がつぎ込まれて基本的な低収益構造は温存され、資本や労働力が新規ビジネスに移転することなく、今日の衰退を招いています。社会主義ポーランドが1981年に「国営企業更正・破産法」を導入したものの、手遅れになった故事が思い出されます。

余談になりますが、ポーランド統一労働者党は1970年代に西側から巨額の借款を得て、旧式の重工業に投資してことごとくパーにしてしまいました。ところが、現代日本も例えば本四連絡線を3本も架けてしまい、その負債は4兆円を超えて現在も増え続けているわけです。人のことは笑えません。

本来の労働運動は「働いた分の賃金をきっちりもらう」「人間らしい生活が保障される」ことを目的としています。1920年、日本初のメーデーが要求したのは「8時間労働制の実施」「失業の防止」「最低賃金の導入」でしたが、実現できているのは「失業者の4人に1人しか受給できない失業手当」と「人間らしい生活に必要な額の半分程度、しかも5人に1人しか受給できない生活保護」でしかありません。

私などが言うまでもありませんが、今日「働いた分の賃金がもらえる」(きちんと残業代が支払われる)、「長時間労働が強要されない」(定時に帰れる)などという職場は、国内に工場が残っている、海外移転を免れた超少数の製造工場くらいなものであり、それすらも期間工、派遣工や外国人労働者に対する過酷な収奪の上に成り立っています。
数字にして言えば、6千万人いる労働者のうちの6百万人しかいない連合が「労働者の代表」と主張している点で、自称「ボリシェビキ」(多数派)なのです。これでは、旧ソ連の官製労組と同じで、労働組合として全く機能しないのは当然でしょう。
社会主義ポーランドで自主管理労組「連帯」が誕生したのは、官製労組が全く機能しなかったからですが、日本の場合、連合組合員の利益はほぼ経営側と一致してしまっているため、「連帯」は「連合の外」につくる必要があります。

つまり、日本の労働運動は1920年に立ち戻り、「賃金と残業代を全額払え」「定時に帰らせろ」「失業手当を100%出せ」から始めるべきなのです。
今年もここから始めますので、よろしくお願いします。

【参考】
・ポーランド危機をめぐる経済情勢 

【追記、1月6日】
共産党系の国公一般労組のデータですが、ご参考までに。
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posted by ケン at 11:47| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする