2017年02月24日

太陽の下で-真実の北朝鮮-

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『太陽の下で-真実の北朝鮮-』 ヴィタリー・マンスキー監督 ロシア、北朝鮮ほか(2015)




ロシア人監督が撮った、北朝鮮の「ドキュメンタリー」映画。括弧付きなのは、監督は普通にドキュメンタリーを撮ろうとしたところ、一から百まで当局の指導と監督が入り、徹頭徹尾「やらせ」になってしまったため、途中からカメラを回しっぱなしにして、いかに「やらせ」が行われているかを撮影するドキュメンタリーに変更、他の部分でも録画しっぱなしにすることで様々な生の映像を収録している。もちろん北朝鮮当局のOKが出るわけもなく、検閲前の録画データを先に外国に持ち出すことで成立している。その結果、監督は北朝鮮の「お尋ね者」になっているのだから、まさに命がけの映画であり、日本のジャーナリストに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
地味に衝撃的なラストがけっこう精神ダメージ入りマス!

以下ネタバレ注意!

8歳の子どもがいる一般家庭の生活を追うはずだったが、当局は両親の職業を偽装し、アパートも平壌市内の超一等地の高級マンションを用意していた。ところが、それらは余りにも不自然で全く生活臭を感じさせないものになっている。だが、カメラが回り続けているので、当局による細かい演技指導を含めて、全て暴露されてしまっている。
小学校における思想教育は「そのまま」なのかもしれないが、子どもに対する洗脳教育の凄まじさを物語っている。子どもは子どもで、教室を掃除しながら「わが祖国ほど高貴で美しい国は、この世のどこにも無い〜〜」などと歌っているわけだが、つい「日本のネトウヨと同じじゃん」などと思ってしまう。
個人崇拝の究極型なのだろうが、考えてみれば戦時中の日本もこんな感じだったはずだ。現代の大阪のとある幼稚園とかも。

個々の映像は、何の加工もせず、説明も最小限にして、淡々と繋ぎ合わされているだけなので、ある種退屈ではあるのだが、細かいところで本音の表情や仕草が見えるので、一定の知識を持って注意してみないと「気づき」が得られないかもしれない。
街並み的には、私が留学した頃のソ連末期とそっくりで、どこまでも無機質で商店や食堂の類いも殆ど無く、広告類はゼロ、巨大なモニュメントとスローガンばかりが目立つという案配で、「あ〜ソ連もこうだったよな〜」的な懐かしさを覚えてしまう。

とはいえ、北朝鮮ウォッチャーや共産趣味者(この場合は個人崇拝マニアか)でも無い限り、何が面白いのか分からないかもしれない。その割に、公開から1カ月後の劇場は半分以上埋まっており、若い人も多く、「この人たちは一体何が見たかったんだろう?」と疑問を禁じ得なかった次第。
posted by ケン at 12:20| Comment(2) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする