2017年03月07日

反露政策は収束に向かうか

【フィンランドでロシア脅威論が後退】
 フィンランドでロシアを脅威と見なす国民が半分以下に減っている。世論調査会社タロウストゥトキムスが国営放送Yleの委託で実施したアンケートで、このような現状が明らかになった。それによると、ロシアを脅威と考える人は47%にとどまり、過去最高だった2014年の56%から9ポイント低下。ロシア脅威論を吹聴する地元メディアに、必ずしも同調していないことが浮き彫りとなった。背景には、ウクライナ政権と同国東部を実効支配する親露派勢力の軍事紛争が、フィンランドでさほど報道されなくなったことがあるようだ。またフィンランドでは北大西洋条約機構(NATO)への参加に懐疑的な意見も広がっている。タロウストゥトキムスの最新の世論調査によると、「加盟すべきか分からない」との回答が2014年の16%から28%に増加。加盟賛成は21%にとどまり、反対は51%に上った。
(2月20日、NNA)

欧州情勢は常にある種のバランスの上に成り立っている。「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」という、ヘイスティングス・イスメイNATO初代事務総長の言葉こそが、第二次世界大戦後のヨーロッパ統合の目的と戦略を表している。EUは政治経済、NATOは軍事を代表するもので、若干の相違はあるものの、基本的な構図は同じだ。
ところが、アメリカは勢力衰退に伴って欧州から撤退しつつあり、経済的にはドイツが「一人勝ち」の状態にある。本来は、アメリカの後ろ盾を得たイギリスとフランスが協同してドイツを抑え、統合欧州の核を担っていた。ところが、米の関与が弱まり、フランスは衰退著しく、「ドイツを抑える」ことが難しくなったのを見て、イギリスが「一抜けた!」と宣言したのが「Brexit」だった。
今日では、ドイツのメルケル首相が一人で「ヨーロッパ・リベラル」を守っているような格好になっているが、メルケル氏が一人で頑張れば頑張るほど、「ドイツを抑え込む」という欧州統合の原理が損なわれてゆく。
そして、ドイツの一人勝ちが目立てば目立つほど、「ロシアを締め出す」政策が価値を失い、愚劣に見えてくる。英仏が役に立たない以上、次に来るのは、「ロシアを引き込んで、ドイツを抑え込む」になるだろう。もちろん、現行のEUやNATOにロシアを入れるというのではない。アメリカの不在で、それらは陳腐化しているからだ。
欧州が再分裂を選ぶのか、異なる形での統合を求めるのか、そこはまだ分からない。だが、「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」という形での「戦後和解体制」は間もなく終焉を迎えるものと思われる。
posted by ケン at 12:07| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする