2017年03月12日

映画 ハーモニー 伊藤計劃

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『ハーモニー』 監督なかむらたかし、マイケル・アリアス 日本(2015)



『虐殺器官』に感銘を受け、この機に他の伊藤作品も見てしまおうと思った次第。
本作も同様にセリフが膨大で、原作を読まずに映画だけ見てもどこまで理解できるか、というレベルになっている。しかも、『虐殺器官』に比べて動きが少なく、ラストを除くと見せ場というほどの場面も無いため、人によっては退屈を覚えるだろう。この難解さと退屈さで評価が下がってしまうのは避けられないが、話についていけさえすれば、必要最小限にまとめられていることや声優の名演に高評価が与えられるはずだ。特にケン先生は榊原良子ファンなので、徹頭徹尾ウハウハだった(笑)ただ、CGが「いかにもCG」になっている点、敢えて非現実、人工感を出す演出だとは思うのだが、違和感を覚えないではいられない。映像美という点では『屍者の帝国』に軍配が上げられるが、ストーリーや全体の空気感における、「美しい悲劇」という点が傑出している。

流れ的には『虐殺器官』後の世界で、先進国では高度に発展した医療福祉社会が構築され、政府の管理下で国民は健康と幸福が保障されている。国民はひたすら「善なる存在」であり、そこには悪意すら存在しない「満たされた」社会が実現している。果たして、そこに人の意志や意識はどこまで存在しうるのか、自由や個性にいかなる価値があるのか、ユートピアと表裏一体のディストピアなどがテーマになっている。テーマとしては、『PSYCHO-PASS サイコパス』によく似ているし、言ってしまえばSFの常套ネタなのだが、同性愛、自殺、テロルなどの組み合わせとプロットが抜群に上手いのだと思われる。突っ込むべきところは色々あると言えばあるのだが、そこは原作を読んでからにしたい。
posted by ケン at 11:00| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする