2017年03月15日

瓦解する東芝

【LNGでもリスク…最大1兆円損失 販売先探し難航】
 米原発事業に絡む巨額損失で2017年3月期に債務超過に陥る東芝が、液化天然ガス(LNG)事業で最大約1兆円の損失リスクを抱えている。13年に当時割安だった米国産LNGを仕入れる契約を結んだが、販売先探しが難航しているためだ。売れなければ19年3月期から損失を計上しなければならず、経営危機に陥っている東芝への追い打ちとなりかねない。
東芝は13年、19年9月から20年間にわたって、米国産の天然ガスであるシェールガス由来のLNGを年間220万トン調達する契約を米企業と結んだ。11年の東日本大震災後、国内では原発の再稼働が進まず、火力発電用のLNGの需要が急増。日本が輸入していた中東などのLNG価格は原油価格に連動しており、当時は高騰していた。このため東芝は、当時割安だった米国産シェールガス由来のLNGを調達し、低価格を武器に、自社が製造している火力発電設備とセットで電力会社などに販売しようと計画した。しかし、もくろみは崩れた。原油価格は14年ごろから急落し、中東産などのLNG価格も下落。米国産シェールガス由来のLNGの価格競争力が失われたからだ。
 東芝はこれまでに、調達予定のLNGの半分以上を販売する基本合意書を結んだが、法的拘束力はなく「条件次第では買い取ってもらえない」(広報)という。東京電力フュエル&パワーと中部電力が折半出資する「JERA(ジェラ)」が販売先を紹介する支援をしているが、ジェラは「東芝からLNGを買い取ることはない」としている。
 一方で東芝は、販売先の有無にかかわらず、19年から米企業にLNGの代金を支払う契約になっており、販売先が見つからなければ19年3月期から損失を計上しなければならない。20年間売れない場合の損失は計約1兆円に上ると想定している。「財務基盤が弱い東芝が、米原発事業の巨額損失に加えてLNG事業のリスクに耐えられるのか」(アナリスト)との懸念は強く、経営の新たな火種となる恐れがある。
(3月8日、毎日新聞)

【東芝が米原発損失で決算再延期 期限1カ月、上場廃止も】
 経営再建中の東芝が、14日に予定していた平成28年4〜12月期決算発表を再延期する方針を固めたことが13日、分かった。米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)で浮上した内部統制の問題をめぐり、米国の監査法人から了承を得られないため。14日が四半期報告書の関東財務局への提出期限だった。財務局は再延期を認め、約1カ月の延期になる見通しだが、再延期した期限に間に合わなければ東芝株は上場廃止が現実味を帯びる。関係者によると、東芝は主力取引銀行に「14日の発表は厳しい」と伝えた。
 東芝は、当初予定していた2月14日の決算発表も同日に急遽(きゅうきょ)延期した。WHのダニー・ロデリック会長らが、7125億円を見込む巨額損失を減らすよう部下に圧力をかけた疑惑が浮上し、決算に影響が出る可能性が出る疑念が生じたためというのが理由だった。しかし、提出期限を3月14日まで延期することが認められた後も、日米の監査法人の間で疑惑をめぐる見解が一致しなかった。
 仮に財務局が再延期を認めなければ、東京証券取引所は東芝株を上場廃止の恐れがある「監理銘柄」に指定。さらに8営業日後の27日までに提出できない場合「整理銘柄」に移り、約1カ月後に上場廃止となる。
(3月14日、産経新聞)

「弱り目に祟り目」だな。アメリカに「ババを握らされている」観がハンパないけど、これは騙された方が悪い。問題は「自己責任論」が適用されるかどうか、なのだが。

東芝はFreeport LNGとの間で年間220万トンのLNG購入契約を締結していて、「Take or Pay」契約の関係で、市況が下がっても契約価格での引取り、または固定費の支払いが必要となる模様。
もともと東芝の狙いは、LNG発電機との抱き合わせ販売にあったようだが、そもそも「抱き合わせ」に需要があったのか、どのような見通しで計画が認可されたのか、リスク評価はどうなっていたのか、疑問はつきない。一電機メーカーが資源取引に手を出していること自体、信じられないギャンブルなのだが、推測するに大バクチを打たねばならないくらいに、東芝が追い詰められているということだろう。これは行動経済学でも言われていることだが、人間は負けが込むほど大穴に張ろうとする傾向を強めるのだ。

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そして、本件の説明もあるからこそ、決算を延期せざるを得ないわけだが、この手の「不都合な事実」が次々と表面化しているだけに、全く予断を許さない状況にある。
東芝は、自らの事業、子会社を切り売りして余命を長らえているものの、値が付くのは収益がよりマシな部門なのは言うまでも無く、どこまで切り売りしたところで、どれだけ手元にキャシュが残るのか、綱渡りしている状態だろう。いずれにしても、「詰んでいる」と言えそうだ。

日本型システムは従来護送船団方式を採用して倒産、特に大企業の倒産を最大限回避してきたが、その結果、無能な経営者が責任を問われて馘首されることなく、トップの座に居続け、能力では無く派閥や政治力学で昇進する組織になり、人事も経営も硬直して改善されない構造になっている。東芝のような「恐竜」がいつまでの生き残っているため、資本も労働力も技術者も固定化し、本来需要が見込める新規事業に移転することができず、低成長の原因になっている。ところが、日本では政官財の「腐敗トライアングル」が既存システムの最大の受益者であるため、変更することができない。この辺は、結局のところ共産党に改革はできなかったソ連のペレストロイカと酷似している。
posted by ケン at 12:32| Comment(4) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする