2017年04月06日

拡散する外国人差別

【スポーツ報知が「おわび」を掲載 照ノ富士へのヤジ「モンゴル帰れ」の見出しで】
 モンゴル出身の大関・照ノ富士が大相撲春場所14日目(3月25日)に関脇・琴奨菊に勝利したが、この取り組みについて観客のヤジ「モンゴル帰れ」という言葉を見出しにしたニュース記事に対し、外国人に対する差別的な「ヘイトスピーチだ」といった批判が相次いでいる。問題となっているのは、「スポーツ報知」が3月26日に配信した記事。見出しは「照ノ富士、変化で王手も大ブーイング!『モンゴル帰れ』」となっている。
(3月27日、The Huffington Postから抜粋)

【差別発言、3割が経験=外国人居住者に初調査―法務省】
 法務省は31日、日本に住む外国人を対象とした差別被害に関する初の実態調査の結果を公表した。過去5年間に外国人であることを理由に差別的なことを言われた経験が「よくある」「たまにある」と答えた人は合わせて29.8%だった。誰に言われたかを複数回答で尋ねたところ、「見知らぬ人」が53.3%と最も多く、「職場の上司や同僚・部下、取引先」が38.0%、「近隣の住民」が19.3%と続いた。金田勝年法相は記者会見で「外国人に対する不当な差別的言動、扱いがあってはならない」と強調。「相談窓口の周知や人権啓発活動に適切に取り組む」と述べた。
 ヘイトスピーチ(憎悪表現)を伴うデモや街宣活動を見聞きした人の受け止め(複数回答)は、「不快に感じた」が39.2%、「なぜそのようなことをするのか不思議に感じた」が28.4%、「日本人や日本社会に対する見方が悪くなった」が15.9%の順となった。このほか、外国人であることを理由として、住宅への入居を断られた(39.3%)、就職を断られた(25.0%)、同じ仕事をしている日本人より賃金が低かった(19.6%)といった実態が明らかになった。
 調査は外国人居住者の多い群馬県太田市、東京都港区、川崎市など16都道府県の37市区に住む18歳以上の1万8500人を対象に、昨年11月14日から12月5日まで、郵送で実施。有効回収率は23.0%だった。 
(3月31日、時事通信)

大阪府立体育会館では「モンゴル帰れ」が木魂したらしいが、市中でも外国人差別が顕在化、拡散する傾向を見せている。東京新聞の記事によれば、一橋大学の学生らが行ったアンケートでは、相当数の留学生が差別や暴力を受けたと回答している。公共の体育館でヘイトスピーチが乱舞し、スポーツ新聞の見出しにもなるくらいなのだから、市中に差別が溢れるのは当然かもしれない。外国人技能実習生に限れば、もっと悲惨な結果が出るかもしれない。

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差別感情は、本質的には程度の差はあれども、誰しもが抱えうるものであり、存在そのものを否定するのは無意味だ。だが、それだけにひとたび表出を許し、顕在化が始まると止めるのが難しくなってしまう性質がある。関東大震災に際しての虐殺事件や、大きなところではドイツにおけるホロコースト、ロシアにおけるポグロムなどが挙げられる。
比較的豊かで安定した社会では、差別は表出しにくいが、豊かさが失われ不安定化する中にあって、差別感情もまた表面化しやすい環境が醸成されつつある。同時に、権力者は社会的不満を逸らすために差別を助長する傾向があり、これはほぼ例外なく行われる。
民族の平和的共存を国家原理としたユーゴスラヴィア連邦が、凄惨な民族紛争と内戦の末に分裂、瓦解したのは四半世紀前のことに過ぎない。

とはいえ、特効薬のようなものが存在しないことも確かで、対処策としては、法律によって差別を禁じて、可能な限り表面化を抑止すると同時に、教育や社会的感化を通じて民族共生の普遍性を啓蒙していく他ない。
だが、帝国時代には同化政策を推進し、戦後は多民族共生を拒否あるいは無視してきた日本では、あらゆる外国人施策が遅れており、包括的な差別禁止法すら無く、多文化共生教育は自治体(教育委員会)の裁量に委ねられているため、差別が蔓延する環境はすでにできあがっていると見て良い。
今後、さらに留学生や技能実習生の増加が計画されているだけに、非常に危険な状況と言えよう。
posted by ケン at 12:22| Comment(4) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする