2017年05月13日

Triumph and Tragedy (GMT)

「三人ゲームの名作」と名高いGMT社「Triumph and Tragedy」を初プレイ。寄る年波に勝てず、2度も延期になっていただけに待ちかねたくらいだった。
第二次世界大戦の全容を、英独ソの3人で、開戦前の1936年からプレイする「マジか?」という規模の作品。この規模になると、ほぼほぼプレイ不可能なビッグゲームになるか、アッサリしすぎて「独軍のダイス目次第」になるかのどちらかなのだが、本作は従来の超戦略級とはひと味違うらしい。しかも、懐かしさを感じる積木ゲームというところも良い。
ケン先生は何故かこの手の超戦略級が好きで、あれこれ試してみるのだが、毎回「やっぱりダメだな」を繰り返している。道楽者である。

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本作は、各陣営が有する生産力を使って、軍備(積木)、外交カード、技術開発カードを購入する。開戦前は、外交戦をやったり、工場を建てたり、技術を開発したりするが、一度開戦すると、作戦カードを兼ねる外交カードを使って軍を動かし、攻撃する。
軍備、外交・作戦行動、技術開発はトレードオフの関係にあり、どれを重視するかはプレイヤー次第となるし、他者の行動を見て自分の行動を変える必要も生じる。

「生産力その他で25VPにする」「自陣営外の首都級都市を2つ占領する」「核開発を4レベルにする」という、3つある勝利条件のうち一つを達成すればサドンデスに終わる。

全てにおいて自由度の高さが(史実再現性よりも)優先されており、ドイツが一切宣戦布告せずに済ませることも可能なら、ソ連が南下政策を実行して連合国に宣戦布告してインドになだれ込むことも可能なのだ。
とはいえ、システム的に、前段階の外交戦が飽和しても勝利が得られないとなると、他陣営に宣戦布告してVPをゲットするかという話になるため、あまり突飛な選択はやはりしづらい気もする。
この日は11時から始めて7時までに2プレイ(2回目は途中講和)できたが、初回ということを考えても、相当にプレイ・アビリティは高い。

初回、ケン先生は連合国(イギリス)を担当。O先輩がドイツ、T後輩がソ連を持った。連合国もソ連も自国の生産力拡張を優先して、ドイツ外交を半ば放置していた結果、1940年くらいまでの中欧や北欧は真っ黒に染まり、「平和の配当」(前ターンに戦争行為をしていない)と核開発(1段階につき1VP)で25VPを達成し、平和状態のまま41年冒頭にドイツの勝利宣言がなされサドンデスに終わった。
「平和の配当」はランダムのチットで0〜2VP(平均で0.6)あるが、平均をはるかに上回る6VPを得て、核開発の1VPを含めて7VP、経済力(人工と工業力)の18VPを足して25VPとなったわけだが、3時間程度で終わってしまい、「あれ、もう終わり?」という拍子抜けの観は否めなかった。

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2回目は、ソ連と連合国が入れ替わる。前回の反省を込めて、ソ連も軍備と外交にそれなりに注力するが、衛星国化できたのはペルシア、ギリシア、オランダなどで今ひとつ。ドイツは今度は外交では無く、軍事力で中欧諸国の併合を進めるが、むしろ外交よりも時間がかかり、「平和の配当」が得られない分だけ不利な印象。ポーランドをドイツに併合されてしまったので、ソ連がバルト三国とフィンランドに侵攻したのは「お約束」な観がある。
中立国侵攻では、必ず中小国要塞が先制攻撃してくるので、なかなかノーダメージでは併合できず、さらに中立国の大きさによって数枚の外交カードが他の2国に配られる(国際情勢への影響)ため、少なくともお得感は無い。
最終的には、今回も中欧が真っ黒に染まるも、微妙にソ連が邪魔している形となる。ただ、ソ連もドイツも互いに攻め込むには戦力的優位を持たず、「先にやったものが負け」なイメージ。
連合国はどこまでも非力で、アメリカが陣営に加わって初めて二陣営に対抗できるイメージ。初期工業力が低い割に守るべき場所が多すぎて、「欧州大戦なにそれ?俺を巻き込まないでよ」みたいな感じ。
最終的には、1940年冬まで開戦せず、三すくみの状態のまま時間切れ終了。VP的には、ドイツ21、英ソ19で拮抗していた。三人プレイで、ドイツがやや強いものの、それなりに拮抗しているので、二者が戦争に突入すると、残る一者が得するだけの構造になるため、どうしても「戦争始めたものが負け」という印象がある。

総評としては、シンプルなルールとシステムながら、プレイ順の決め方を始めプレイが単調・一方的にならないための処理が非常に巧みで、三陣営のバランスやマップの作り方も見事だ。
だが、いざプレイしてみると、どう見ても防御側有利で、始めから軍事的勝利を目指さない限り、軍事力で一方を屈服させるのは難しい。例えば、本ゲームでドイツがフランスに侵攻した場合、ソ連としてはドイツの背後を襲いかかるか、一緒に連合国に宣戦布告してインドに侵攻するか、二つの選択肢があるが、どう見てもソ連が得るものの方が大きい印象がある。「三人用ゲーム」の常ではあるが、「戦争始めた者が不利」であるため、よほどのことが無い限り、他陣営に宣戦布告するのはリスクが大きい。

また、平時の処理は非常に良くできているが、肝心の軍事については、例えば空軍が陸軍部隊に対して「D6で1のみ」でしかダメージを与えられないとか、歩兵が「3以下」なのに対して戦車が「2以下」でしかダメージを与えられない(先制権はある)とか、「歩兵だけでいいんじゃね?」と思わせてしまうところがあり、ウォーゲームとしては微妙なところがある。とはいえ、この点は今回結局大国間同士の戦争が起きなかったため、どうなるのか分からず、判断は保留すべきだろう。

欧州大戦の全容をシミュレートし、かつプレイ・アビリティに優れ、展開も無数の可能性があり、この規模のゲームでは私としては初めて「アリ」と思わせてくれる作品に仕上がっているが、「このゲームは戦争したら負けなんじゃね?」という根本的な疑問が残り続けている。プレイヤーや組み合わせを変えて、もう一度検討したいものだ。
そういえば、やはり15年くらい前に同社の「Europe engulfed」という戦争に特化した欧州大戦の積木作品を買って、一度並べただけで納戸にしまい込んでいるので、いずれ引っ張り出して比較してみたいところである。
posted by ケン at 09:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする