2017年05月15日

留学生に労働力を求める日本

【留学生を労働力に積極活用 自民PTが政府に提言へ】
 安倍政権が掲げる「1億総活躍」の一環として、自民党が5月、留学生を労働力として積極的に活用するために、日本語学校の教育の質向上に向けた文部科学省の責任を明確化することや、入管難民法が規定する外国人留学生の就労制限(週28時間)の緩和などを政府に提言することが分かった。留学生の日本企業への就職支援強化も促す。政府は、提言を経済財政運営の指針「骨太方針」などに反映させる。
 提言案をまとめたのは、自民党1億総活躍推進本部に設置された「誰もが活躍する社会をつくるプロジェクトチーム(PT)」(穴見陽一座長)。
 日本語学校の管轄は現在、法務省が事実上担当しているため、不法在留などの取り締まりに重点が置かれ、教育内容や教員の質の確保に関する監督責任の所在が曖昧になっている。提言案は、新法制定を含む法改正を視野に、文科省の教育面での責任を明確化するとともに、法務、外務両省などとの連携強化を促す。日本語学校や日本語教員の教育能力を適正に保つための検査や研修制度の確立も政府に求める。
 留学生の就労については、入管難民法やマイナンバー法を改正し、事業者に対して詳細な労働状況を報告するよう義務化。留学生の在籍管理に著しい問題がある日本語学校は、留学生の受け入れを認めないようにするなど就労管理を強化した上で、学業に支障が出ない範囲内で就労制限の緩和を検討する。
 また、日本での就職を希望する留学生の半分程度しか日本企業に就職できていない現状を踏まえ、就職支援の強化や、留学生の住環境を整備するための政府関連予算拡大も提言する。
 さらに、大学などに留学生の就職や学位取得の状況などの情報を積極的に公表させて切磋琢磨(せっさたくま)させるよう文科省に要請。現状では在留資格が得られずに帰国するケースが多い大学・専門学校卒の留学生が、引き続き日本で就職できる枠組みの充実も求めている。党1億総活躍推進本部は、他のPTの提言案などと合わせて最終調整の上、大型連休明けにも政府に提出する方針。
(4月27日、西日本新聞)

留学生を労働力と見なさないとならないくらい労働力が払底しているという認識らしい。日本の場合、現在でも学生ビザ保有者には「週28時間」までの労働が認められており、これは週5日の労働で1日5時間半の就労が可能であることを示している。言うまでも無いことだが、1日5時間も働いたら学校に行くのが精一杯で、よほどの人でない限り、学校外で勉強などできないだろう。
実際、ある程度淘汰されたとはいえ、多くの日本語学校で欠席者が多かったり、出席しても居眠りばかりしている生徒が非常に多かったりといった事例が報告されている。

大抵の国では、学生ビザでも一定の就労が認められているが、殆どの場合が週20時間以下であり、週28時間の日本はかなり長い部類に入る。これを延長するということは、実質的には「留学生ビザという名の就労ビザ」になることを意味する。

ところが、従来、就労学生の大半を供給していた中国では、賃金の上昇により就労目当ての留学が急激に減少、むしろ相応に裕福だが、欧米に留学するほどの頭脳や資金を持たない中間層の留学が増え、日本のブラック労働に耐えられなくなっている。結果、日本で厳しいアルバイトをしているのはベトナムやネパールなどの出身者に移行している。だが、そのベトナムも近年では賃金の上昇が著しく、時間の問題とされている。そうなると、アフリカや中近東から呼び込むしか無くなるだろうが、日本の労働市場にそこまでの魅力があるかどうか。

つまり、財界の代弁者である自民党が「安価な外国人労働力」を求めれば求めるほど、日本の労働市場は外国人にとって魅力を失うという関係にある。その結果、悪質な労働環境や待遇は改善されないまま、労働力も賄えず、同時に低賃金労働者の長時間労働に依拠する生産効率の改善もままならず、生産性も上がらないし、生産性の向上に伴う賃金上昇や消費拡大も起こらないという悪循環にある。

いずれにせよ、学生の本分は勉学にあり、それ以外の雑事は最小限度に止める環境を整えるのが「健全な国家」のあり方であるはずだが、現実には初中等教育は行事と部活動が勉学を阻害し、高等教育は低賃金で働くか大借金をしないと学べないという環境を強いている。
posted by ケン at 12:17| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする