2017年07月22日

GMT A Distant Plain 初プレイ

アメリカによるアフガニスタン侵攻以後を扱うマルチプレイゲーム。見た目的には、ほのぼのとしたドイツゲームを思わせるが、とんでもなく「全員悪人」の「アブナイ」ゲームである。

各プレイヤーは、多国籍軍(連合諸国)、カブール政府、軍閥、タリバンを持ってアフガニスタンの覇権を争うが、通常のゲームと異なり、皆が領域や経済力の過多を競うわけでなく、各自が異なる勝利条件を有し、その勝利条件が微妙に他と被る構造になっている。

例えば、多国籍軍はタリバンや軍閥のゲリラを叩いているだけでは勝てず(勝利条件には直接関係ない)、民生支援して政府を支持(民意)するエリアを増やす必要がある。他方、政府軍は支配領域(支持とは別)を広げつつ、外国援助を懐に入れて私腹(パトロネージ)を肥やす(政府支持が失われる)ことが目的となっている。そのため、多国籍軍と政府軍は領域拡大では協力しても、他ではかみ合わないことが生じる。
特に巧妙なのは、カブール政府が「麻薬撲滅運動」を行うと、外国援助が増え、一部が懐に入るわけだが、同時にそのエリアは食い扶持を失って、「反政府」になった挙げ句、タリバン・ゲリラが増えてしまうところだ。
タリバンですら支配エリアの数ではなく、「反政府」を増やすことと、基地を増やすことが目的であるため、基本的にタリバンは戦闘しているようでは勝てないという不思議な構造になっている。結果、プレイスタイルにもよるだろうが、テロは起きても、戦闘はそうそう起きない感じだ。
また、「ターン終了」と同趣旨の「プロパガンダ・フェイズ」毎に、政府側の兵員(軍)と警察の3分の1が給料未払い等によって除去されてしまうというブラック度で、この他にも軍閥に買収されたり、タリバンに浸透されたりして、いくら動員しても、気づくと盤上に数えるほどしかいないというが起きる。凄まじい腐敗っぷりを見事に再現している。

ただ、いかんせんルールが独特すぎて、日本語ルールを読んでも一体何がどうなっているのかサッパリ分からない。同じデザイナーの「ラビリンス」を何度もプレイしている私でも、ルールを読んだだけでは全くイメージがつかめず、前日にマップを広げてプレイブックのリプレイを必死に見ながら再現して、ようやく他の3人にインストールできるようになった。インストーラーがいないと容易にプレイできない点で、なかなかハードルは高い。
プレイ自体も、慣れれば理解できるものの、できることが意外と多く、他の3人の得点状況やイベント動向を見極めながら、自分のオペレーションを考える必要があり、これもなかなか難易度が高い。

一回目は、K先輩が多国籍軍、O先輩がタリバン、T後輩が軍閥、ケン先生がカブール政府を担当。全員初プレイな上、全員ルールを読んでもイミフというレベルだったため、何をしたら良いのかサッパリ分からず、とにかく時間がかかった。
各々がとにかく自分の勝利目標を追求していた結果、私腹を貯め込む政府と、パキスタンの支援を受けたタリバンが順調に得点を重ねる。しかし、「もりかけ」に専念しすぎたため、カブールがタリバンに半包囲される事態に陥り、パキスタンからの支援がさらに強化されたタリバンが攻勢を強め、そのまま逃げ切った(実は後でもう一点必要だったことが判明)。3枚のプロパガンダまで4時間近くもかかってしまった。

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私腹肥やしに走りすぎて首都がタリバンに包囲される図

本作では、「プロパガンダ・フェイズ」に規定の勝利得点があれば勝利宣言できるが、途中で達成しても宣言できない。同フェイズは準ランダムに配されたイベントカードに含まれており、1ターン先のイベントまでオープンにされるため、「次来るぞ」というのが分かった途端に行動が変わり、足の引っ張り合いが強まる。そこを逃げ切るのは容易ではなさそうなのだが、どうなのだろうか。

二回目は、K先輩が多国籍軍、O先輩が軍閥、T後輩が政府、ケン先生がタリバンを担当。冒頭からパキスタン政府が反タリバンとなったため、タリバンは、トライバル・エリアでの活動が抑制され苦しい展開となる。このゲームほどパキスタンの重要性を教えてくれる作品は無いだろう。
序盤、多国籍軍による民政活動が上手く行き、得点を重ねるが、タリバンが攻勢に出て部隊は損害を出し、カブールでもテロが起き、さらに腐敗が蔓延して一気に失点してしまう。
ようやく全員ルールを理解してきたため、互いに足の引っ張り合いが続き、誰も勝利宣言できないまま、4枚目のプロパガンダ・カードが出たところで時間切れ終了となった。比較的優位に立っていたのは政府とタリバンだったが、ともに勝利を確信できるほどの状況には無かった。プレイ時間は同じく4時間ほど。

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米軍による結婚式誤爆はカンダハルの北にあるウルズガン州の村で起きた。

慣れればもう少し早くプレイできそうだが、とにかく考える要素が多いため、どうしても長考する機会が増えがちだ。私もこの日は非常に疲れた。だが、これほどテロ戦争、特殊戦の実相をシミュレートしている作品は同シリーズの他になく、名作と言って良いだろう。
恐らくは、日中戦争(日本、南京政府、国民党、共産党)や満州事変前の満州情勢(関東軍、奉天政府、国民党、馬賊)なども同システムでシミュレートすると面白いかもしれない。
間もなく同システムのアルジェリア戦争が発売されるようだが、できればベトナム戦争の「Fire in the Lake」をプレイしてみたい。
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2017年07月21日

差別主義者に餌をくれてやった蓮舫

【蓮舫氏、「二重国籍」幕引き図る=求心力回復なお厳しく】
 民進党の蓮舫代表が「二重国籍」を昨秋に解消した証拠として戸籍謄本の一部開示に踏み切ったのは、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設問題で安倍晋三首相に説明責任を求める手前、自らの姿勢もただした方が得策と判断したためだ。問題が浮上してから1年近く経過してからの公表で、蓮舫氏側はこれを区切りとしたい考えだが、求心力回復は容易でない。
 「誠実に説明されたと評価したい」。蓮舫氏に戸籍公開を求めていた民進党の今井雅人衆院議員は18日、記者団の質問に歓迎してみせた。二重国籍問題は「加計」で攻勢を強める民進党の足かせとなっており、執行部の一員も「遅きに失したとはいえ、良かった」と胸をなで下ろした。
 国籍問題は昨年9月の代表選で表面化。本人の説明が二転三転したことで批判を浴びた。「潔白」を証明するための戸籍公開については「プライバシーに関わる」と一貫して拒んできたが、先の東京都議選の敗北を機に、党内からも開示を求める声が強まっていた。蓮舫氏は18日の記者会見で「私は野党第1党の代表であり、政府に強く説明責任を果たすことを求めている。こうした立場を踏まえ、戸籍の一部を開示することとした」と説明。双子の子どもが今春に成人を迎え、「了解を得た」ことも開示の理由に挙げた。
 一方、戸籍開示要求をめぐっては、「出自による差別を禁じる憲法14条に反する行為」との反対論が内外にあった。蓮舫氏は会見で「前例とすることは断じて認めない。こうした開示は私で最後にしてほしい」と訴えた。党執行部はこれを幕引きとし、来週行われる予算委員会の閉会中審査などを通じ、政権攻撃に集中したい考えだ。ただ、都議選敗北の責任問題はくすぶっており、野田佳彦幹事長ら主要幹部の刷新を求める声もある。蓮舫氏の苦しい立場は続きそうだ。 
(7月19日、時事通信)

どうにも攻撃的な人間というのは防御が苦手らしい。防御において重要なのは、敵の攻撃に過敏に反応するのを戒め、時間稼ぎを行いつつ、ひたすら時が過ぎるのを待てる「鈍感力」である。

今回の蓮舫氏の場合、党内外のレイシストからの戸籍開示請求に屈し、本来もっとも重要なはずの個人データベースを公開してしまった。これによって、社会のあらゆる場面で、誰もが「貴様が日本国籍かどうか、二重国籍で無いかどうか確認するから、戸籍を見せてみろ」と言えるようになってしまった。村田氏が「前例にしない」などと言ってみたところで何の意味も無い。彼女は、自分の代表位を守らんがために、自らの手でパンドラの箱を開いてしまったのだ。

ところが、彼女の情報開示によって明らかになったのは、自らの経歴詐称が疑惑では無く事実であったことであり、二重国籍のまま国務大臣を担っていたことだった。つまり、レイシストたちに新たな餌を与えてしまったわけで、「これで終わり」になどなるはずもない。
それどころか、パンドラの箱を空けた蓮舫氏は、リベラリストをも裏切った形となり、今後は防御射撃も期待できず、次なるレイシストたちからの攻撃に対しては守る術もない。言うなれば、自ら堀を埋め、外郭陣地を打ち壊してしまった大坂城の豊臣家と同じだ。

まぁ「バカに付ける薬は無い」ということか。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月20日

人を使い潰して増員を要求する無能者

【公立小中学校の教員数 全国で700人以上不足】
 全国の公立の小中学校の教員の数が、ことし4月の時点で定数より少なくとも700人以上不足し、一部の学校では計画どおりの授業ができなくなっていることがNHKの取材でわかりました。これまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足が要因と見られ、専門家は「国や自治体は早急に実態を把握し、対策を検討すべきだ」と指摘しています。
全国の公立の小中学校の教員は、国が学校ごとの児童や生徒の数に応じて毎年、定数を算出し、それをもとに各地の教育委員会が配置しています。
 NHKが全国の都道府県と政令指定都市、合わせて67の教育委員会に教員の定数とことし4月の始業式の時点での実際の配置状況について尋ねたところ、全体の半数近い32の教育委員会で定数を確保できず少なくとも717人の教員が不足していたことがわかりました。
 このうち福岡県内では担当教員の不在で技術や美術の授業をおよそ2か月間実施できない中学校があったほか、千葉県内では小学校の学級担任が確保できず教務主任が兼務する事態も起きています。
専門家によりますと、背景にはこれまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足があるということで、教員の配置に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は、「臨時採用など非正規の教員は雇用が不安定で給料が低く確保が難しい状況にある。国や自治体は早急に事態を把握し、採用計画を見直すなど対策を検討すべきだ」と指摘しています。
(7月4日、NHKから抜粋)

これは日本型組織の無能の典型例。徒に若手教員を使い潰して「人手が足りない」と増員を要求する様は、補給のあても無い太平洋の島々に兵を送り込んで餓死させておいて「兵が足りない」と騒いでいた旧軍と全く同じだ。

全体状況としては、「少子化だから」と教育予算を抑えられているにもかかわらず、教員の平均年齢が高くなって人件費が高止まりして、正規職員の新規採用が十分ではないのは間違いない。
だが、正規採用を抑え、非正規教員を増やした結果、正規採用された新人教員は十分な教育訓練も受けられないまま、担任はおろか部活動の顧問まで押しつけられ、保護者からの過剰な要求も相まって、過重労働とストレスにさらされ、3〜5割が数年で退職、休職するという事態になっている。
また、非正規教員は超低賃金の上、正規教員とほぼ同じ職務が要求され、時間給に直すと500円以下になっている。しかも、夏休みなどの長期休暇中は、給料も出ないのに部活動や行事への参加が強要されるという。結果、臨時職員は募集しても応募者が不足、定員割れが常態化している。
東京都の場合も、10年前には6倍前後あった募集倍率が、今では3倍を切っている。高偏差値大学の教育学部では、教員志望者が1割を切っているというから、応募者の質は推して知るべしであろう。

まさに日本社会、企業文化を象徴する話で、低賃金&ブラック労働を放置して、人材を使い潰しておいて「人手が足りない」と大騒ぎしている財界や政府の姿そのものなのだ。

本ブログでは何度も言っていることだが、まずは部活動と学校行事を全面廃止し、終業時間になったら生徒を全員校外に出して閉門、保護者からのクレームや相談は担任教師が受けるのでは無く、専門の窓口(担当者)を設置して対応することから始めるべきだ。
学校が「子守機関」「監視機関」となってしまっているからこそ、教員の過重労働が悪化し、教育指導の質も低下、学力の低下に直結している。あくまでも学校は「勉強するところ」であるべきであり、それ以上を求めるべきでは無い。社会や保護者が「あれもこれも」学校に求めた結果が、現在の惨状であることを認めない限り、いかなる解決もできないだろう。

【追記】
根源的には様々な学校行事や部活動など、学校に過剰なサービスとスペックを求めた結果、運営コストが上昇していることに起因しており、その自覚を持たずに、ただ「教育費が高い」と批判したところで無責任であろう。運動会や文化祭、修学旅行などの学校行事と部活動を全廃すれば、授業料は10〜20%削減できるはずだ。また、本来目的外の過剰なサービス要求が、本来の「商品」であるはずの学力教授水準を低下させ、それを補うために塾に通うという「ムダ」を生じさせている。この点でも、行事と部活動を廃止して、全資源を学力向上に投入すれば、塾に通う必要がなくなり、教育費の自己負担を大いに削減できる。どこに「ムダ」があるかは明白すぎるはずなのだが、それを認めないところが「すでに終わっている」のであり、ここは強権を駆使する必要があるだろう。
posted by ケン at 12:51| Comment(0) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月19日

労働者の期待を裏切る連合の何故

この間、連合は「残業月100時間上限」「労働時間規制の撤廃(残業代ゼロ)」に賛成(彼らの主観的には容認)してきた。連合は元から労働者よりも権力と資本を向いていたが、ここに来てその度合いがさらに強まり、「あっても無くても同じ」レベルになりつつある。むしろ、「労働組合が賛成した」というお墨付きを資本と政府に与え、収奪を公認のものにしてしまっている点で、むしろ害悪の方が大きくなっている。何故このような事態になったのか、私もある程度の仮説は持っていたが、ちょうど同志の1人が連合幹部から本音を聞き出してきてくれたので、解題しながら自分なりに再構築してみた。

結局のところ、連合が抵抗を諦め、政府・資本に服従姿勢を見せるのは、労使間のパワーバランスが瓦解していることに起因している。例えば、連合の組合員は、約650万人で全労働者のわずか12%に過ぎない。そして、国会を見た場合、資本側(自公維ほか)が350議席を上回るのに対し、労働側(民自社)は100に満たず、NK党を足しても120に満たない。彼我の戦力差は3倍にも達している。
ここまで差が開いてしまうと、議会闘争は効果を持たず、あらゆる法案は政権党の思惑通りに通されてしまう。安保法制や共謀罪を見れば分かるとおり、引き延ばしのための日程闘争すら出来なくなっているのが実情だ。また、組合の組織率が低すぎるため、労働闘争も院外闘争もできず、仮にやっても殆ど理解と支持を受けないだろう。

抵抗手段が無いとなれば、あとは自分たちの首を差し出して命乞いをすることで、わずかでも年貢を減免してくれるように、御領主様に懇願するしかない。どのみち年貢を取られるのに、一揆を起こすことも、不服従運動をすることもできないとなれば、代官様に賄賂を送って懇ろになり、自分の分だけでも融通してもらうのが、富農にとっても領主側にとっても「吉」である、というのが現在の連合幹部の判断基準になっている。

具体的には、「残業無制限」になるくらいなら「月100時間でも無いよりはマシ」(週休二日で朝9時から23時まで労働)、「労働時間無制限」になるくらいなら「せめて週休二日を確保してくれ」という話になり、取引に応じて賛成する代わりに、政府側から資本側に賃上げ圧力を掛けてもらえるだけ「有り難し」という状態になっている。

この場合、連合が支援する民進党が、政権側が重視する法案(例えば安保法制や共謀罪、あるいはTPP)に反対すると、連合と政府間の交渉に悪影響を及ぼす恐れがあり、例えば「民進党が抵抗しているから、政府側としても譲歩は難しい」などという反応が返ってくる。特に公務員にとって人事院勧告などは死活問題で、公務員系の組合などは「人事院勧告に影響するから、反政府的な運動は抑えてくれ」という始末になっている。結果、安保法制でも共謀罪でも、労働組合の動員は共産党系組合が中心になってしまっている。
つまり、連合としては「政府法案に反対する野党は百害あって一利無し」であり、連合の政府交渉をサポートしてくれるような「体制内野党」こそが望ましい。言い換えれば、TPPや共謀罪に反対する民進党は連合による交渉の足を引っ張るものでしかなく、これらに文句を言いつつも、譲歩を引き出しつつ、かつ連合の交渉をも有利にしてくれる「野党」が好ましいという話だ。
同時に、連合が「NK党との野党共闘などトンデモナイ」と言うのも、連合と政府・財界との交渉に悪影響をもたらすためで、「政府に懇願すれば月100時間の残業規制くらいは許してもらえるが、NK党と共闘してもボーナスは1円も上がらない」というのが彼らの主張になっている。

実際のところは、かつての社会党や、それなりに勢力を持っていた頃の民主党であれば、自民党に対抗できるだけの勢力と交渉力を持っていたので、わざわざ労働組合が政府に秘密交渉を持ちかける必要も無かったのだが、ここまでパワーバランスが崩壊してしまうと、政府・資本側に従属することで、ごく狭い範囲の大企業正社員の既得権を保護してもらうのが、組織としては精一杯の課題になってしまっている。
従って、連合としては民進党に替わる、より対政府交渉力(懇願力)を有する保守新党をつくり、議席数を回復させつつ、政府に協力的な形でより大きな妥協を引き出せる衛星政党の創設へと舵を切るのが、合理的選択となっている。

一部の特権を保護してもらうためには、権力側は当然ながら見返り=スケープゴートを求めてくる。結果、非正規雇用者や中小企業の労働者を始め、5千万人近い未組織労働者や、一部被るかもしれないが2千万人以上の貧困層からのさらなる収奪を容認することは、連合としては組織防衛上「やむを得ない」措置となっている。
だが、それはさらなる階級間の断絶と貧困を加速させるだけの話であり、連合の延命には寄与しても、社会そのものを危機へと導き、暴力解決を望む声を増やしてゆくだろう。
連合の中でさえ、例えば個人加盟の全国ユニオンやタクシードライバーの全自交など、「弱い労働者」を切り捨てるという話になってゆくのは避けられなくなっている。
資本に奉仕する労働組合など、自分の足を食うタコと同じであり、いずれは自分たちが断罪され、下手をすればテロルの対象になりかねない。だからこそ、幹部たちは内心では共謀罪にも無制限通信傍受にも賛成しているのだ。

【追記】
この間、民進党や連合の周辺では、「極右の逢見事務局長が安倍政権と懇意になって神津会長を下ろそうとしている」ような陰謀論が語られていたが、実は連合全体の方針として一致しているものであることが判明した。大先輩の言を借りれば、「連合の成立自体が、政府・資本と妥協するためだったのだから、当然の帰結」ということになる。
posted by ケン at 12:09| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月18日

連合がブラック労働推進法に賛成

【連合、批判から一転容認 「残業代ゼロ」修正を条件に】
 国会で2年以上もたなざらしになっていた「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案が政労使が合意したうえで再提出される運びとなった。「残業代ゼロ法案」と強く批判してきた連合が一転、修正を条件に容認に転じたためだ。制度が実現する可能性が出てきたが、連合執行部の唐突な「方針転換」に身内から異論が相次いでいる。同制度は、専門職で年収の高い働き手を、労働時間の規制から外す新たなしくみだ。対象となる働き手は、残業や深夜・休日労働をしても割増賃金が全く支払われなくなることから、連合や野党は「長時間労働を助長する」と強く反発。連合が法案の取り下げを求め、改正案は2年以上も審議すらされなかった。こうした中、政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」に、国会に提出済みの労基法改正案の「早期成立を目指す」ことが明記された。昨年9月に始まった「働き方改革実現会議」で、同制度についてはほとんど議論が交わされなかったにもかかわらずだ。
(7月12日、朝日新聞抜粋)

またぞろブラック労働推進法案が復活、今度は連合が賛成するという。この間、何度も連合幹部が官邸との接触を繰り返していたが、いよいよ表面化してきた。

先に法案の問題点についておさらいしておこう。報道では「残業代ゼロ」ばかりがクローズアップされているが、実は「残業規制の撤廃」よりも深刻なのは、「裁量労働制の適用拡大」である。
裁量労働制はすでに導入されているものの、その適用対象は労使協定で合意された専門職種と経営に直接関わる企画・調査部門に限られていた。今回の法改正は、これを大幅に緩和するというもの。
「年収1075万円以上の専門職」にはホワイトカラー・エグゼンプションで労働時間規制を外しつつ、「年収1075万円未満の一般職」については裁量労働を広範に導入するという考え方なのだ。本法案が成立すれば、年収に関係なく数十パーセントの労働者に対して裁量労働が適用可能になると言われる。また、現在は労使合意や様々な手続きが適用を難しくしているという使用者側の主張を受け入れて、手続き面を非常に簡素化するという。
派遣法を見れば想像できる通り、最初は小さく「規制緩和」して、後に全面解禁するのが自民党・霞ヶ関・経団連の手法であり、今回の労働時間規制緩和も遠からず「全面解禁」されて、残業という概念そのものが撤廃されるだろう。
ちなみに、マスゴミは本改正案を「仕事の成果で評価する」などと、政府の言いなりになって報道しているが、法案には成果主義を義務づける項目は一つもなく、「テロ対策法」と同じ情報操作を行っている。

これは現在放置されているブラック企業から「ブラックの汚名」を取り除く絶好の機会でもある。世に言うブラック企業のブラック性は、超長時間労働と残業代の未払いが殆どを占めており、労働時間規制と残業代支払い義務が撤廃されてしまえば、「ブラック」ではなくなってしまうことになるからだ。ブラック企業家がこぞって安倍政権と自民党を支援するのは当然だろう。
そして、法律に則って残業代を支払うことで、かろうじて残業を自粛していた日本企業の大半もまた、残業代支払い義務の撤廃と同時に、社員に対して無制限の残業を課すきっかけにもなるだろう。数年後には「残業」という概念すらなくなるのだから、残るのは限りなく奴隷に近い労働環境でしかない。

このようなブラック労働推進法案に「休業補償が入れられたから」賛成する労働組合とは、一体何なのか。連合が資本の代理人と化して、労働者の権利など全く考慮していないことが、いよいよ明確になった。一日も早く、労働組合の名を返上して「産業報国会」に名称変更すべきだ。むしろ解散して欲しい。労働組合を詐称して、資本家に寄与して、労働収奪を正当化してしまっている分、害悪の方が大きいくらいだ。

連合側としては「どうせ成立するなら多少なりとも妥協した方がマシ」という判断かもしれないが、どのような妥協であれ、明確に労働搾取を目的とした法律に賛成すれば、労働組合としての正統性を失い、連合加盟員を除く5千万人からの労働者から二度と信頼されなくなるだろう。

政治的には「野党共闘反対」「自公と是々是々」「従属議員は支援」、政策的には「原発推進」「自由貿易推進」「戦争万歳」、労働問題は「労働時間規制反対」「休業規制反対」「非正規雇用推進」というナショナルセンターなど、「百害あって一利なし」である。もはや連合こそが労働者の敵なのだ。意外と連合がテロルの対象になる日も遠くないかもしれない。だからこそ、表面的に反対していたが、幹部連中はみな共謀罪に賛成していたのだ。

連合がなぜ産業報国会と化しているのかについては、次回考察したい。

【追記】
政策的にも悪しき選択である。もともと賃金・人件費を抑えるための施策であるが故に、全般的に所得が低下することは間違いなく、同時に労働強化によっても個人消費が低下、デフレを加速させることになるだろう。
posted by ケン at 12:44| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月16日

3年ぶり:カヴェルナ 洞窟の農夫たち

猛暑で疲弊して思考力も低下しているので、ボドゲをプレイすることにしたが、頭の疲労度はより大きかったかもしれない。今回は、3年ぶりとなる『カヴェルナ:洞窟の農夫たち』(HJ)。

ローゼンベルグ氏による『アグリコラ』の後継作品。
本作も箱庭づくりに精を出して、その完成度を競うわけだが、今回は農場や牧場の他に洞窟掘削と探索冒険という要素が加えられている。プレイヤーはドワーフ一族の長として森を切り開いて畑や牧場を造り、洞窟を掘り進めて住居を拡充して様々な部屋を設置しなければならない。

アグリコラでは概ね「農場か牧場か」という路線選択で、最初の手持ちカード(職業と進歩)でその方向性を決める感じだった。それに対してカヴェルナは「農牧か探索(冒険)か」という選択で、カードが無いためにプレイヤーの嗜好と場の流れで方向性を決めることになる感じ。自由度が高くなっている分、悩む人がいると時間が掛かりそうだ。
食糧供給もアクションも縛りが緩くなっており、「家族を食わせなければならない」ストレスが減っていると同時に、箱庭の成長度も上がっている気がする。アグリコラの「ギリギリ感」が薄れている点は好みの分かれるところかもしれない。

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この日は、O先輩とT後輩とケン先生の3人、4時間超で2プレイとなった。O先輩と私は2回目、T後輩は初めて。いかんせん3年ぶりなので、ルールを確認しながら、各自やりたいことをやるスタイルで進めた。O先輩はドワーフを武装させての探索に特化、T後輩は農牧に特化、私はバランス型となるも、「全員武装」「ルビー財宝室」などの部屋ボーナスを20点以上得た私が圧勝した。

2回目は、O先輩がバランス型、T後輩が探索、私が農牧に特化。同じくいくつかのボーナスを付けたO先輩が、ボーナス分で勝利した。農牧に特化すると、必ずしも欲しい、必要なものが手に入るとは限らず、探索に特化すると家族が増やしにくく、開拓が進まない問題があるので、結局のところバランス型が強い。だが、武装は数の「頭打ち」があるため、武装させるタイミングを逸すると難しく、悩ましいところだ。
私などは暑さに弱いこともあって、2度目の途中で集中力を失っていたが、色々計算できるだけに、下手なシミュレーション・ゲームよりも頭を使うのだろう。

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3人だと回りが早く、サクサク進むは良いが、ある程度進行が読めてしまうところや、あまり競争感が無いところもあり、4〜5人くらいが適当なのかと思う。
posted by ケン at 00:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月14日

3割サイコパスの永田町

【<豊田議員の暴行疑惑>元秘書が被害届提出 県警、傷害容疑で捜査へ】
自民党に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)=埼玉4区=の暴行疑惑で、政策秘書を務めていた50代男性が県警に被害届を出していたことが7日までに、関係者への取材で分かった。埼玉県警は豊田氏から事情を聴き、傷害容疑などで捜査する方針。関係者によると、元秘書は6月27日、県警に被害を相談し、今月6日に改めて被害届を提出したという。豊田氏の暴行疑惑を報じた週刊新潮や同誌がネット上に公開した音声などによると、豊田氏は5月、運転中の元秘書に「私が受けた痛みがどれだけか分かるか」「このはげ」「死ねば」などと罵声を浴びせ、頭や顔を数回殴ってけがを負わせたとされる。事務所関係者は、元秘書が高速道路の出入り口を間違ったことなどから豊田氏が激高したと説明。5月19日〜21日に計7回、男性の顔などを殴ったという。元秘書には直接謝罪したとしている。暴行疑惑が報じられた6月22日、豊田氏は離党届を提出した。豊田氏は厚生労働省課長補佐を経て、2012年の衆院選に埼玉4区(朝霞、志木、和光、新座各市)から立候補して初当選。現在2期目で、文部科学政務官などを歴任している。
(7月7日、埼玉新聞)

「3割がサイコパス、もう3割が予備軍」(2割、2割とも)とささやかれる政界だが、「昔からそうだったの?」「何でこんなことに?」と聞かれる。かつての中選挙区制の時代は、官僚なら局長級の大ベテラン、業界団体や労働組合の幹部、地方名士など、十分な掛け金を持った人が出馬し、落選してもすぐに生活に困るようなことは無かった。ところが、現在ではロクに掛け金も持たない人たちが、全財産と自分の人生を丸ごとBEDして出馬してしまうので、落選すると人生そのものが失われる可能性がある。議員というのは、キャリア形成(職歴)に何のプラスにもならず、特に若年者はキャリア・アップの機会を犠牲にして議員になり、権力と特権を得てしまうため、落選すると「気づいたら何も無かった」という話になってしまう。結果、人生丸ごとBEDしてキモチよくなれる人か、何も考えずに出馬して当選してから「落選したら俺の人生終わりじゃん」と気づいてしまった人しかいない、というのが現状なのだ。
「賭ケグルイ」の世界なんですよ、永田町は。

国会議員であれ、地方議員であれ、議員・政治家というのは「自分なら社会を良くできる」という凄まじい自信の持ち主が、自分の顔のポスターを街中に貼り出して、「自分に投票すれば間違いない!」と叫んで回る人種であり、立候補型の選挙制度は、根源的に誇大妄想か自己偏愛の性質の持ち主が出てきやすい構造になっている。それが、当選すると権力と特権を得て、誇大妄想や自己愛を増大させると同時に、その特権が失われることに対する恐怖に支配されるため、元々精神構造に異常性あるいは特殊性を持つ者が闇に蝕まれやすい状態が作り出されている。

また、日本には一般的に自己主張が好まれない社会文化があって、にもかかわらず「自分に任せろ」と堂々と言える人がどんな人なのかということだろう。同時に、自己主張が好まれない風潮自体が、議論百出を想定したデモクラシーにそぐわないのも確かだ。小選挙区制の導入によって選挙の射倖性(当落が激しくなること)が上昇、選挙依存症や無能なくせに権力志向の強いサイコパス議員が増え、正常な判断力を有する、あるいは有能な人物は、ますます政治、政界進出を忌避する傾向が強まっている。
実は、議員定数を減らすこともこの傾向を助長している。定数が減って、当選確率が下がるということは、賭博性が強まることを意味するため、「すでに持っている人」はバカバカしくて賭場になど行かなくなる。逆に、「一発逆転」狙いの人が増えることになり、ますます議員の質を低下させ、ひいては議会の信頼そのものを低下させ、デモクラシーを危機に導いている。

デモクラシーの破断界を回避するためには、まず立候補者の原職復帰権を法的に担保することが必要だ。これは、言うなれば掛け金を減らすもので、選挙に出ただけで仕事が失われることを回避する効果がある。民主主義国の根幹制度を支えるものが、人生を丸ごとBEDするような現在の制度は早急に改められるべきだ。
また、議員定数を過剰に減らさないことも重要だ。日本の人口あたりの国会議員数は他国と比較しても少ない方で、議員一人あたりの人口数で見ると、イギリスで5万6千人、フランスで6万6千人、ドイツで10万8千人、対する日本は17万5千人と、先進国の中では非常に少ない部類に入る。
そして、金額はともかく、議員年金を復活させることで引退、老後の不安を減らす措置も講じるべきだ。議員年金が無いことが、現職中の腐敗、汚職を助長している事実を重く見るべきだろう。
これらのコスト負担が嫌ならば、いっそ議会制民主主義は放棄すべきだ。デモクラシーは本来コストの掛かる制度なのだから。
posted by ケン at 12:08| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする