2017年07月12日

道徳的正統性をも失った民進党

【蓮舫氏が戸籍開示へ 惨敗民進、執行部批判相次ぎ…】
 民進党内で蓮舫執行部に批判が相次ぎました。東京都議会議員選挙の大敗を受けて民進党は、11日から所属議員のヒアリングを始めました。出席者からは「選挙は結果責任を負うべきだ」「『解党的出直し』がなければ、本当に解党しなければならない」といった厳しい意見が出ました。蓮舫代表の二重国籍問題についても「最大の障害だ」との意見が出ていて、蓮舫代表は今後、戸籍を開示する考えを示したということです。ヒアリングは18日まで続き、今月中に結果を取りまとめる方針です。単なるガス抜きで終わらせるのかどうか、蓮舫執行部の対応が問われます。
(7月11日、テレビ朝日)

色々な面で「終わってる」観がハンパ無い。「外国人の活用を」と言ってる横で外国人差別や人身売買が横行。リベラリズムを謳い、差別的な戸籍制度の改正・廃止を志向してきたはずの民進党が内側から戸籍公開を求める事態に。差別を目的としたセンシティブ情報の公開を強要した時点で、自由主義の道徳的正統性を否定していることに気づいていない愚かさがある。

彼女の場合、戸籍謄本(抄本)を3度提出して選挙に立候補しており、少なくとも政府・総務省側が咎めていない時点で、国籍資格について何の問題も無いことが証明されている。また、戸籍を公開したところで、台湾籍を離脱した証明にはならず、根本的な解決にはならない。つまり、公開を求める方は差別目的、公開する方は解決にならないという点でも、最低の危機対応になっている。蓮舫氏は、批判に対して過剰に反応すること無く、淡々と戸籍は公開すべきでは無い旨を説明し、非公開を宣言、返す刀で戸籍開示を要求することの非人道性を非難すれば十分だった。

いかなる理由であれ、戸籍開示が強要され公開せざるを得ない状況が存在すること自体、自由社会に対する脅威である。これを認めてしまえば、他の帰化(国籍取得)や被差別部落の疑いのある者に対する戸籍開示も容認される事態を招きかねず、ただでさえ深刻な民族的、社会的差別がさらに悪化する恐れがある。例えば、Tツローなどは即座に危機に陥るだろう。

そもそも、社会統制と政治利用を目的に、国民個々人の社会的、民族的なセンシティブ情報を国家が独占的に管理したのが戸籍制度であったことを思えば、戸籍を開示すること自体、戸籍法の主旨に反するものと言える。
これに対し、リベラリズムは、王権による統制に対して個人の権利の確立を求める思想で、個々人の財産と権利を守ることを政府の役割とした。すべての個人は自己決定権があり、自己の意志を実現する権利を有していると考えることから、社会全体でこれを実現するためには国家などによる統制や介入も必要だとするのが本来のリベラリズムである。

少なくとも旧民主党は、中央集権的かつ権威主義的な明治帝政に肯定的な自民党と霞ヶ関に対峙する存在として、曖昧ながらも分権的かつ自由主義的な政治理念をもって非常に緩い形で結党したはずだった。戸籍制度は中央集権と権威主義の象徴であり、権力の源泉であることから、これを骨抜きにするか廃止することは、民主党の党是であったはずだ。
ナショナルセンター連合の支援を受けながらも、全く社会主義的ではなく労働者にも優しくなかったものの、少なくとも「反権威主義」「自由主義的」ということで、「自民党よりはマシ」というのが、民主党支持層の大まかな評価だったと思われる。ところが、今回の件で民進党が自民党と同様の、あるいはより機会主義的でタチの悪い差別的議員が大多数を占めていることが明らかになってしまった(今のところ蓮舫氏を擁護する議員はヨシフくらいしかいない)。
民進党は自らの唯一の立ち位置をも自分で踏みつぶしてしまったのである。

【追記】
なお、蓮舫氏の代表としての資格については、私は最初から疑義を呈している。
能力的には、レンホーはおよそ野党第一党の党首が務まるような器ではない。自意識過剰の自信家で、人の意見を聞かず、同時に大所帯をまとめられるような手腕も人望も無いからだ。その点は、まだ失敗も含めて経験を積んでいるマエハラの方がマシ
(またハズレしかないガチャ−民進党代表選挙、2016.8.3)

全てに対して恐ろしく冷酷で、人倫を欠き、その点を恬として恥じない精神である。
(レンホーは党代表に相応しいか?、2016.8.26)

本来ならレンホー氏は立候補を辞退すべきだった。先に虚偽答弁あるいは違法状態の責を認めて辞退しておけば、次の機会もあったかもしれないが、彼女はここで強行突破を試みた。都知事をフイにして代表選への出馬にこぎつけたのに、それを放棄することなどできないのだろう。「コンコルドの誤謬」である。
(民進党代表選は頓死状態、2016.9.14)

【参考】
蓮舫氏国籍問題の諸相 
蓮舫氏国籍問題の諸相・補
posted by ケン at 12:47| Comment(4) | 憲法、政治思想、理念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする