2017年08月31日

深刻化する教員不足

【元社会教諭に「数学教えて」 教員不足、九州の教委必死】
九州各地で教員不足が深刻になっている。年度当初の欠員が相次ぎ、福岡県では1学期半ばでも60人以上が不足していた。第2次ベビーブーム世代の就学時に採用された教員の大量退職が背景にある。切羽詰まって、「教員免許をもつ人を紹介して」と保護者に呼びかける教委もある。
「お知り合いの方で、教員免許状をお持ちの方がいれば、是非紹介してくださるようお願いします」。今年1月、福岡県大野城市の小学校の保護者に届いたメールだ。県教委の福岡教育事務所が、管轄する市町の教委と小中学校を通じ、保護者ほぼ全員に呼びかけたという。この保護者は「そこまで先生が足りないのかと驚いた」と話す。
 福岡県内の元中学教員の男性(61)には昨年、地元教委を名乗る人から「中学の教員が足りない。講師として来てくれませんか」と電話がかかってきたという。男性は元社会教諭。「社会はいっぱいおるでしょう」と言うと「いや、実は数学なんです。臨時免許を出します」。男性は驚き、断った。「数学なんて教えたこともないし、免許もないのに」とあきれる。
 ある中学では今年度、技術の教員が6月半ばまで不在。やむなく技術の時間は家庭科や他の教科に充てた。生徒からは「なんで技術できんと?」と不満が漏れたという。別の中学では5月末まで美術の教員がおらず、授業ができなかった。体育教員が臨時免許で美術を教えているケースもある。
 「担当外では満足に教えられない。これで学力をあげろと言われても無理」とある中学教員。別の小学教員は「教員はだれでもできる仕事じゃない。こんな状況では子どもたちにも失礼だ」と話す。
(8月21日、朝日新聞)

先日NHKの報道で、全国67の教育委員会を取材したところ、うち32団体で今年の始業時に教員定数を確保できておらず、その数は700人以上に上ったというものがあった。

ただ、この教員不足には裏がある。別に教員のなり手がいなくて定数割れをしているわけではないということだ。例えば、記事の福岡県の場合、今年の中学校教員の応募倍率は約5倍(定数250人に対して応募1248人)、高校教員だと約10倍(定数154に対して1570人)となっている。ただし、小学校教員は募集600人に対して1295人しか応募しておらず、確かに人材の水準としては深刻ではある。だが、少なくとも募集時点で不足しているわけではない。
これは、もともと定数に満たない員数を募集しているのではなく、規定数を募集して不足分を非常勤の臨時教員で穴埋めするためだが、この非常勤教員が圧倒的に足りないため、「定員割れ」を起こしている格好だ。つまり、学校教員のアルバイト化を進めたところ、バイトのなり手がいなくて騒いでいるのである。
ちなみに非常勤教員の給与は、月18〜20万円で長期休暇中は給与無し、にもかかわらず部活動の顧問や各種ボランティアだけは半ば強制される(やらないと契約更新されないため)というもので、低賃金・超長時間労働・プライバシー無しという超ブラックな労働環境にある。
posted by ケン at 12:31| Comment(0) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月30日

民進党代表選2017の終盤情勢

前原氏が圧倒的に有利と見られていたが、地方議員票や予定候補票で思ったほどには差が付かない見込みが出てきたので、予測を修正する必要がある。
前原陣営が求める「絶対的勝利」のダブルスコアにはまず届きそうに無い情勢で、大差が付くのは国会議員票だけになりそうだ。前原陣営は、最初の段階で派閥の殆どが参加した結果、無責任な寄り合い所帯となり、「圧勝モード」の中で弛緩しているものと見られる。

党内の既得権益層を代表する国会議員の大多数が前原氏を推し、同時に前原氏が保守・タカ派イメージを払拭しようとして微温的な主張を繰り返していることに、不信感が強まっているものと考えられる。
逆に枝野氏は、「辺野古の白紙撤回」「原発ゼロの前倒し」「野党共闘推進」と、普段の本人とは打って変わって非常にエッジを効かせた主張をしており、保守層や連合からは憎悪されているものの、中間層からは「自民党の対抗軸の明確化」として好意的に受け止められつつある。

国会議員票(290P):214p、76p
予定候補票(128P):86p、42p
地方議員票(209P):123p、86p
党員サポ票(231P):110p、121p
合計(858P):533p、325p


今後、国会議員票は「勝ち馬に乗る」方向に働いて前原氏に傾くことも考えられる。また、現職や元選対委員長を通じて予定候補(一人1P)に圧力をかけているとも聞くので、さらに差が開く可能性もある。ここから前原氏が引き離すか、枝野氏が差を縮めるかによって、選挙後の人事や方針に影響が出てくるだろう。また、枝野氏的には、党員・サポーター票で前原氏を上回ることができるかどうかが、影響力を残せるかどうかのポイントになってくる。
地方議員や一般党員がすでに投票を終えているが、国会議員や予定候補は1日の臨時大会で投票することになる。

【追記、8月31日】
今回と前回の「予測値」は、票読みに基づいたものではなく、業界歴15年の中堅秘書の一般的観測に基づいた推測であることを付言しておく。あくまで参考程度に。
posted by ケン at 12:39| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

水戸の春

8月27日、超帝国大日本のイバラキスタン自治州にて政変が発生、在位24年になるハシモトフ大統領が退任した模様。詳細は不明。

以下、写真は橋本昌茨城県知事、ナザルバエフ・カザフスタン大統領(在位23年)、アカエフ・キルギスタン大統領(同15年)。

photo.jpg

img_news.jpg

1365884519_04146600.png

アパラチキ(党官僚)に共通する権威主義がなせる業なのかと。
以下、参考までにブレジネフとチェルネンコ。

lg_1722_583d4b7391920.jpg

Konstantin_Ustinovich_Chernenko_FU.jpg
posted by ケン at 12:40| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月28日

水道代は高騰の一途

【水道代高騰の理由を検証、今秋35%値上げする自治体も!】
 いつのまにか高くなっている水道料金の請求書を見て、驚いた人も多いのでは。水道料金推移表(総務省統計局家計調査より)を見ると、'09年から上がり始めた水道料金。しかし、水道事業など地方公企業に詳しい作新学院大学名誉教授の太田正さんの話によると、今後ますます値上がりが加速する可能性があるという。
 「最大の原因は、水道管や下水道管の寿命が近いことです。これらの耐用年数は40年といわれています。高度成長期に急ピッチで設置が進んだ水道管の老朽化がピークを迎え、どこも綱渡り状態。それに加えて、工事や施工をする技術者も減ってきています。そのため、水道管が破裂して道路から水柱がバーッと上がったり、そこらじゅうから水が漏れるようなトラブルが急増しているんです。値上げがないのは“先送り”しているだけ。一気に跳ね上がるかもしれません」(太田さん)
日本政策投資銀行が今年4月に発表した「水道事業の将来予測と経営改革」によると、これまで同様に水道を使い続けるには、以降30年間で6割の水道料金の引き上げが避けられないと試算されている。
 水道料金は現在1立方メートルあたり平均172円。遅くとも'21年から毎年1.7〜2.1%ずつ値上げしていく必要があるという。一人暮らしの場合'16年は2145円だったのが、'46年には3432円、4人家族なら現状6044円から9670円まで高騰する計算に。
 ただし、より状況が悪化して、さらなる値上げが必要になることも。未曽有の値上げが予想される今後。知恵を尽くして節水に励まなければ、家計圧迫は免れないようだ。老朽化でコスト負担が増加する状況下で、さらに深刻化しているのが水道料金の地域格差だという。
「明治以降、水道事業は『市町村公営原則』が貫かれ、自治体ごとに運営される“独自採算性”をとっています。そのため、それぞれの地域の事情がダイレクトに影響するんです。過疎化地域は人口が少なく経営が非効率になるため、都会に比べて料金が高くなります。また、地理的に水源が乏しかったり、水源からの距離が遠かったりすると水道建設費がかさみますし、水質が悪ければ高度な浄水処理施設が必要です。さまざまな原因が複合的に重なって格差が生まれています」(太田さん)
 現行の料金を見てみると、月額平均が最も安いのは山梨県富士河口湖町の835円。その理由は、富士山の湧水を利用しているため水質がよく、飲料水にするコストが安くすむから。さらに標高が高い位置に貯水池があるため、配水の設備にも費用がかからないということもある。
一方で、最も高いのは北海道夕張市で6841円。その差は8.2倍! 年間換算での差額はなんと7万2072円にもなる。追い打ちをかけるのが人口減少による負担増。水道を提供するのにかかる総コストは、人口が少なくなればなるほど1人あたりの負担が重くなる。太田さんは「今後は10倍、20倍と差が広がっていくかもしれない」と懸念する。
(8月9日、女性自身)

週刊誌ながらなかなか核心を突いている。
古いデータだが、2003年時点における日本の社会資本ストックは約700兆円(道路234兆円、治水70兆円、海岸6兆円、下水道46兆円、港湾4兆円、空港43兆円、公共賃貸住宅29兆円等)に及び、今日では当時よりも増加、東京五輪の開催に向けてさらに肥大化しつつある。これは維持コストの上昇と、人口減による一人あたりの負担増加を示している。結果、老朽化したインフラの更新が進まず、事故が多くなっている。
今回の博多を始め、1990年の御徒町、2013年の麻布十番の事故のように、大きな陥没は報道されるが、その根底にあるのは深刻なインフラの老朽化。麻布十番の崩落事故では、川沿いの道路が30メートル以上崩落した。例えば、東京都区部の下水道の総延長は16,000qで、約1,500qが法定耐用年数の50年を超えている。また、今後20年間で、高度成長期以降に造られたもの約6,500qが新たに増加し、今まで以上のペースで老朽化が進んでくるという状況にある。東京五輪の影響もあり、下水の更新が遅れていることも、状況を厳しくしている。そして、年間700件以上の陥没事故が起きているが、今後はさらに増加すると見られる。なお、日本全体だと、道路陥没事故は年間4千件あまりで、東京への集中が際立っている。
(陥没事故が示すもの、2016.11.19)

自民党や政府の一部(大阪市など)ではコスト削減を理由に水道の民営化を検討しているが、電力民営化で起きた海外の大停電事故やフランスなどの水道民営化事例を見れば分かるとおり、ユニバーサル・サービスとして支障が無いか大いに疑問である。

例えば、水道事業を民営化した米アトランタ市の場合、過剰なコストカットによって技術者が不足して修繕・補修が追いつかなくなり、配水管の破損や路上への水漏れ、汚水噴出などが相次いだ上、必要な技術者を確保できず、いつまで経っても直らないという事態が生じた。そのため、2003年に水道事業を再市営化するところとなっている。
フランスではパリの場合、民営化して14年で水道料金が2倍になった上、利権汚職が続発、2010年に再公営化している。「民営化すれば万事OK」というのは机上の空論に過ぎない。

また、少子化と人口偏在の加速によって、地方ほど水道民営化のメリットが失われており、むしろ全国均一のユニバーサル・サービスの価値が高まっていると考えるべきで、この点我々社会主義者はさらに強調してゆく必要がある。

人口増や経済成長を前提としたインフラ整備が国民生活を圧迫しているのは間違いなく、五輪のような権力者の遊戯ではなく、庶民の生活に不可欠なインフラの整備に限りある資源を全力投入しなければならない。
posted by ケン at 12:34| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月27日

日本の鵜飼いと中国の鵜飼い

「働き方改革」を象徴するものとして鵜飼い文化が挙げられる。現代日本では、鵜を用いた漁法は完全に伝統芸と化し、いまや観光者向けのショーとなっているが、中国では現役の漁法で、むしろ「効率が良い」と評価されているらしい。こう言うと、「日本と中国では市場環境が全く違う」という脊髄反射が返ってきそうだが、まずは何が違うのか見てみよう。

日本の場合、鵜使いが10羽ほどの鵜をヒモで繋いで漁をさせ、採れるだけ採らせて鵜が厭きてきて効率が落ちると、漁を止めて帰還し、鵜たちに餌を与える。採るのはアユに限られている。

中国の場合、鵜はヒモで繋がれず、自由に漁をし、鵜使いのところに戻ってきて魚をはき出すと、鵜使いはその場でその鵜に餌を与える。しかも、捕ってきた魚の種類や大きさによって餌の種類や大きさが異なる場合もあるという。つまり、市場価値の高い魚を捕ってくると、鵜がもらえる餌も良いものになる。結果、士気の高い鵜は、もっと餌をもらおうと、より良い魚を求めて潜ってゆく。ところが、この方法の場合、サボる鵜や、一匹持ってきただけで満足してしまう鵜がいるため、鵜使いは棒で鵜を小突いたり、水面を叩いて脅したり、餌を見せたりして、何とか鵜を働かせようとする。面白いのは、鵜の中には魚を捕っていないのに鵜使いに餌をもらおうとするものがおり、鵜使いが誤って餌を与えると、真面目に仕事している鵜が怒って鵜使いをクチバシで突いて抗議するのだという。

蛇足かもしれないが、解説しておこう。
日本の鵜使いは、鵜を管理さえしていれば、鵜が勝手に魚を捕ってきてくれるが、「それだけ」の話で、漁の成果は漁場の質と鵜の素質と気分に左右されてしまう。鵜に対する扱いはみな平等で、漁の成果に関係なく餌を与えられる。非常に社会主義的だ。そして、日本の鵜匠は鵜たちから好かれ忠誠を得ることが求められる。「鵜との信頼関係」「家族的雰囲気」が重視される。

これに対して、中国の鵜使いには、高度なマネジメント能力が求められる。獲物の種類を見て、鵜に評価を下し、適切な報酬を与えなければならない。また、働かない鵜に対しては罰を与えたり、報酬をちらつかせて何とか働かせるように仕向ける必要がある。どこまでも自由主義的というか資本主義的だ。そして、中国の鵜匠は高いマネジメント能力を発揮しないと務まらない。「公正な評価」と「信賞必罰」が重視される。

確かに見た目的には、中国の鵜漁は「非人道的」かもしれないが、果たしてどちらの鵜の方が「幸せ」なのだろうか。少なくとも、日本の鵜漁がビジネスモデルとして絶滅した一方、中国のそれはいまだ現役であり続けていることは、正当に評価されてしかるべきだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月25日

民進党代表選2017の中間情勢

前原氏と枝野氏に一騎打ちとなった民進党代表選挙は、当初の予想通り、前原氏が圧勝する勢いにある。票読みしたわけではないが、各種情報から推測すると以下のような予想になる。前原、枝野の順。

国会議員票(290P):216p、74p
予定候補票(128P):97p、31p
地方議員票(209P):145p、64p
党員サポ票(231P):105p、126p
合計(858P):557p、301p


今のところこのようなイメージだが、感覚的にはもっと前原氏が先行しているようにも思えるので、やや枝野氏に楽観的な数字であると付言しておきたい。つまりゲーム的には、前原陣営はダブルスコアで勝利できれば「完全勝利」、枝野氏はそれを阻止することが至上命題という具合だ。

ここまで差がつくのは、例えば国会議員票を見た場合、145人で1人2ポイント。つまり、前原派が108人に対し、枝野派は37人ということなのだが、これはA部T子、H鹿A博、K西H之らに象徴される、平素「改憲反対」「集団的自衛権反対」「共謀罪反対」のようなリベラルっぽい主張を繰り返していた議員たちの多くが前原陣営に入って気勢を上げていることが大きい。
彼らの言い分は、「このまま前原氏が圧勝したら党内のリベラル派は一掃されるから、体制内に残って仲間を助ける役目の人間が必要」「前原氏が圧勝しても、あまり右傾化しないようタガをはめる役が必要」「代表選を保守対リベラルの争いにしたくない」といったものらしい。

こうした主張はどこかで聞き覚えがあると思ったら、(未確認だが)確か蝋山正道先生が近衛首相のブレーンになったり、大政翼賛会から出馬されたことを戦後追及されて、「野に下って沈黙して嵐が過ぎ去るのを待つよりは、体制内に入って少しでも社会主義的政策に誘導したり、同志を救ったりする方を選んだ」旨の弁解をされていた。
だが、高貴なる蝋山先生であればこそ信用できる言葉であって、自分の当落しか考えていない「エリートの尻尾」連中の言葉を鵜呑みには出来ない。
とはいえ、今では連合も「いかに政府、自民党に協力して、わずかなりとも正社員の権利を擁護してもらうか」を大方針に据えていることを考えれば、「もはや大勢は決したのだから抵抗するだけムダ」という連中が増えるのは当然なのかもしれない。背教者の大半が東大エリートであることを考えれば、エリートのひ弱さとも言えそうだし、エリートばかりを議員候補にしてきた民主党・民進党の限界とも言える(故に私も見限ったのだが)。

すでに前原陣営は圧勝を前提に人事をめぐってつばぜり合いが繰り広げられていると聞く。同時に「枝野陣営についたものは除名しろ」「党人事から一切排除せよ」という要求が選対幹部に上げられているという。
一部の議員はSNSで「仲良し選挙」を強調しているが、それは前原陣営内で「排除の論理」の圧力が高まっていることの証左なのだ。つまり、前原陣営についた穏健派が必死に党内融和の演出を行わなければ、党の一体性が保てなくなっているのだ。

ケン先生に言わせれば、分かりにくいあの連中に比べれば、「積極的に軍部の戦争に協力することで社会主義を実現する」と明確な方針を立てた、戦前の社会大衆党(麻生・浅沼派)の方がよほど共感を持てる。たとえ現代にあっても、「権威主義体制への貢献をもって社会主義政策(労働者、社会的弱者の権利保障)を実現する」という論理(仮説)は、少なくとも机上では成立するだろう。つまり、連中の罪深さは、「前原氏は保守では無い」「左右の対立では無い」と強調しつつ、自分はちゃっかり翼賛体制に参加している点にある。この辺も、「軍部にも話の分かる者はいる」「国際緊張が高まる中、国内で対立している場合じゃ無い」として、結局のところファッショ体制に参画してしまった戦前のインテリ・リベラル層と恐ろしく似ている。
posted by ケン at 13:01| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月24日

総選挙2017はアリか

【衆院選「10月22日」臆測=野党再編に先手の見方】
 小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が年内の新党結成に動きだしたことを受け、次期衆院選について「10月22日投開票」との臆測が広がっている。安倍晋三首相が新党をめぐる野党再編などに先手を打ち、勝負を仕掛けてくるとの見立てだ。今のところ、観測の域を出ないが、今後、与野党の選挙準備が加速する可能性もある。
 若狭氏は、小池氏と連携する政治団体「日本ファーストの会」設立を発表した7日の記者会見で「10月22日総選挙の可能性も否定できない」と警戒感をあらわにした。
 内閣支持率急落で「安倍1強」の状況は大きく揺らぐが、野党側の政権批判の受け皿づくりは進んでいない。民進党は共産党との共闘を進めるのか定まらず、若狭氏の新党作りも形は見えない。再編の動きが本格化すれば、野党は選挙の態勢をすぐに整えるのは難しいのが実情だ。
 10月22日は衆院青森4区、愛媛3区両補欠選挙の投開票日。総選挙と同日なら両補選は吸収される。政権側にとって、この日程なら補選の結果を気にする必要がなくなるのも利点とされる。政府関係者は「あるかもしれない」と漏らす。
 公明党の山口那津男代表は衆院選について「自民党総裁選後の来年秋ぐらいという相場観があったが、それにはこだわらず常在戦場の心構えで臨む」と引き締める。民進党幹部も「衆院2補選と同じタイミングになってもおかしくない。来年だと首相は追い込まれた形になる」と指摘する。
 現状では、苦境の首相が解散に踏み切れば、改憲発議に必要な衆参3分の2の改憲勢力を失うだけでなく、自民党が議席を減らし首相の責任論に発展する可能性がある。自民党選対幹部は「50〜60議席は減る。安倍内閣は終わる」と指摘する。
 とはいえ、年内解散の見方が消えるわけではない。そもそも、こうした日程がささやかれるのは、首相が描く憲法改正スケジュールが軌道修正されたからだ。
 来年の通常国会で改憲を発議し、秋に改憲の国民投票を衆院選と同時に実施する―。首相が狙ったこうした強気の日程も、世論の反発を招き封印せざるを得ず、解散時期と改憲日程は、ひとまず切り離された形だ。政権内では、首相は衆院2補選の結果を見極めた上で解散時期を探るとの見方も出ている。
(8月10日、時事通信)

「保守新党が結成される前に解散、総選挙を」という声は、与党内では以前からささやかれていたが、新党の話が具体的になってきたので、解散風も強くなってきたのだろう。確かに戦術論としては、「敵の準備が整う前にやれ」というのは正しいが、現実には今手元にある議席の3分の2をBEDすることになり、現状ではそれを維持、上回せることは難しく、20〜50議席という単位で減らしてしまう恐れの方が強い。

「大敗を避ける」という意味では、十分に検討する余地があるとは思うものの、わざわざ1年の任期と憲法改正の数少ないチャンスを賭けてまで、打って出る可能性は低いと見ている。とはいえ、20〜30%くらいの確率は想定しておくべきだ。

野党を見た場合、民進党は代表選挙を終えて新体制が成立して間もない時期で、仮に新代表が選出されても支持率が伸びなかった場合、新党合流論が浮上し、空中分解する恐れがある。そこですんなり解党あるいは合同して新党が成立すれば問題ないが、内紛、分裂が起きた場合、野党票が割れて、自民党を利して3分の2前後の議席を与えてしまうケースも考えられる。
現状では、安倍内閣の支持率こそ低下しているものの、政党支持率では自民党が他を圧倒しており、だからこそ「今のうちに打って出るべきだ」との声が出る構造になっている。また「改憲勢力で3分の2がとれるなら十分」という考え方もあるようだ。
いずれにせよ、自党の議席を減らしてしまう選挙を自ら宣言するのは、相当にハードル高いのでは無かろうか。
posted by ケン at 13:09| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする