2017年08月03日

自殺しない程度に働かせようという話

【自殺対策、長時間労働や若者に重点 大綱を閣議決定】
 政府は25日、新たな自殺総合対策大綱を閣議決定した。かつて年3万人を超えた自殺者は減る傾向にあるが、2016年は2万1897人など依然として年2万人を超す状況に「非常事態はいまだ続いている」と宣言。長時間労働対策や若者対策に重点的に取り組み、人口10万人あたりの死亡者数を示す「自殺死亡率」を10年間で3割以上減らすことを目指す。大綱は自殺対策基本法に基づいて国や自治体などの役割を定めるもので、5年に1度見直している。長時間労働による自殺対策は、広告大手電通の過労自殺問題などを受けて初めて重点施策に加えた。労使が協定を結んでも時間外労働が年720時間を上回らないよう徹底することを掲げたほか、職場のメンタルヘルス対策の推進やパワハラ防止対策も盛り込んだ。全体の自殺者数が減る傾向にある中、未成年の自殺者数が横ばい状態のため若者対策も重視。特に多い夏休み明けに小中高校などの見守り活動を進める。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で自殺をほのめかす情報がないかも確認する。こうした取り組みで自殺死亡率を15年の18・5から26年までに13・0以下にし、フランスの15・1や米国の13・4など主要先進国の水準にするとした。
(7月25日、朝日新聞)

一方で労基法を改正して裁量労働制の適用拡大と労働時間規制の一部撤廃を導入しつつ、他方で「自殺対策」している。相変わらずアクセルとブレーキを同時に踏んでいる。その基本スタンスは、「労働者は生かさず殺さず」である。

いわゆる過労死ラインが「時間外労働年960時間」なのに、時間外労働を「年720時間」に設定するというのは、「勝手に自殺しないギリギリのライン」を探っているものと見て良い。

日本の自殺における最大の問題点は、30代以下の若年層における死因で自殺がトップに来ている点にある。実数で言うと、2013年で20歳代が3千人弱、30代が約3500人とある。数字自体は8千人以上いた1950年代に比べると少ないが、少子化の影響を考えると非常に深刻だ。特に2011年以降は経済的理由による自殺が急増している。これは、本人の雇用や労働環境も影響していようが、団塊世代前後の親が定年退職したり、要介護となったりして、若年層を圧迫していることも考えられる。
なお、2014年の調査によると、自損行為による救急車の出動は6万件を超えている。

従って、最良の自殺対策は、週35時間労働制や残業月上限20時間などを導入しつつ、若年層の賃上げを実現、さらに若年向けの公共住宅を増やして可処分所得を増やすようにすべきだ。しかし、現実には連合が「月100時間残業」に賛成する有様で、逆方向にしか進んでいない。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする