2017年08月15日

みなし日本人制度ふたたび

【日系4世に日本で就労資格、法務省導入へ】
 法務省は、一定の日本語能力などの要件を満たした海外在住の日系4世が日本で就労できる新たな在留制度を導入する方針を固めた。新制度は、日系4世に日本への理解や関心を深めてもらい、将来的に日本と現地の日系人社会との懸け橋になる人材の育成を目的とする。制度案では、他国で働きながら滞在できる「ワーキングホリデー制度」と同様に、対象年齢を18〜30歳に限定し、滞在中は就労が可能な「特定活動」の在留資格を与える。来日時に簡単な日常会話ができる日本語検定4級(N4)程度、在留資格更新時には複雑な文章も理解できる3級(N3)程度の能力を有することを要件とし、家族の帯同は認めない。
(7月31日、読売新聞抜粋)

「日系限定移民」制度はハナから破綻している。日本政府は日系人に限定することで、「外国人労働者」や「移民」ではないことを強調、正当化したいのだろうが、現実には戸籍制度や住民登録制度が未整備の南米諸国にあって「日本人の血統」が証明できるのは1世とせいぜい2世までで、1990年代以降の3世となった時点で家系図や戸籍のねつ造が横行、実際には日本人の血を引いていない「自称日系人」が大量に来日していた。

いや「戸籍が未整備」というのは語弊がある。そもそも家族単位で個人情報を管理する戸籍制度そのものが現代世界の中で異様な制度であり、センシティブ情報を国家が一元管理する戸籍制度は本質的にリベラリズムに反している。そして、現代における個人単位の住民登録制度は、本質的に自由主義を志向するところから、センシティブ情報の登録は最小限度に止める傾向が強い。結果、国家が血統を保証する制度を持つ国自体、非常に例外的かつ差別的存在となっている。

話を戻そう。
日本政府は「名目が立てば良い」と考えていたのだろうが、2000年代の不況で大量解雇が行われると、路頭に迷う日系人労働者が続出した。同時に80〜90年代に来日した者たちの子弟が十分な教育を受けられなかったり、日本社会から疎外されたりして、地域の治安悪化要因になっていた。結果、政府は帰国支援を行って、「日系人」を「本国」に送還し始めた。
ところが、2015年以降、少子高齢化の影響が深刻になったことを受けて、再び手のひらを返し、今度は「日系4世」を呼び込もうという話になっている。凄まじい無責任体質と棄民政策である。
「日本と現地の日系人社会との懸け橋になる人材の育成を目的とする」など、どの口が言うか。

現実には、いまや中国に比してすら賃金が低くなりつつある日本で、しかも超長時間労働や賃金不払いや不当労働行為が横行して、取り締まることもない環境が放置されている中、果たしてどれほどの人が日本行きを希望するか、非常に疑わしい。

そもそも21世紀のこの時代に、民族主義や人種主義を前面に出した政策を臆面なく提示できる日本政府は、自らの差別性や異常性に気づいていない点でも国際社会の孤児と化しつつある。
この手のウソまみれの「みなし日本人制度」や「外国人技能実習制度」はすぐに廃止すべきだ。
posted by ケン at 12:13| Comment(3) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする