2017年08月21日

民進党代表選2017の各政策を考える

最後となるかもしれない民進党代表選挙が告示された。正直なところ、毎年株主総会で社長が叩かれまくって辞任している会社って、どうなんだろうと。自分だったら、そんな会社は全く信用できないが。
食指も動かないが、さはされど、各候補の政策くらいは見てやろう。
【前原候補】
・尊厳ある生活保障
・命を守る防災
・自由貿易促進
・現実的な安保政策
・現実的な憲法論議
・2030年代原発ゼロを目標
・身を切る改革

全てにおいて抽象的で実質的には何も言っていないに等しい。最初期から幅広い国会議員に支持された結果、全方位外交となってしまったためだろう。
前原氏が今回のスローガンとした「All For All」は「経済成長至上主義から再分配優先型への転換」を意味するものらしいが、具体的なことは何も言っておらず、意味が無い。しかも、個人のHPを見ると「目指す方針」として、「財政再建」「人口減対策」と書いており、どうも御都合主義の観は否めない。例えば、「自由貿易促進」は「国内産業を保護しない」ことを意味するが、これと「All For All」は矛盾しないのか、「大資本のために小規模生産者が犠牲になるのはやむを得ない」という考えなのか。

「現実的な安保政策」と「現実的な憲法論議」は、明治以降、右派・帝国主義者の常套句で、国際協調主義や平和主義に対抗する用語として使用される。この場合、従来の平和主義憲法に基づく専守防衛を「非現実的」とし、「先制攻撃や対外戦争を可能にする憲法と安保政策」を「現実的」とする考え方を意味する。
「2030年代原発ゼロを目標」というのは、「決定」から「努力目標」への格下げを意味するもので、党内の原発マフィアに対する配慮がうかがわれる。
「身を切る改革」は、民主党以来の連中の大好きな「議員定数削減」を指すが、これはデモクラシーの強度・純度を低下させるもので、彼らがエリートによる少数寡頭政治を志向していることがうかがわれる。

基本的に野田路線の焼き直しでしかなく(増税を含めて)、自民党の対抗軸になり得るとはとても思えない。ケン先生的には労働問題に触れていない時点で、「自民党に行けよ!」と言いたい。
【枝野候補】
・保育、教育、医療、介護分野の賃上げ
・労働時間規制
・非正規雇用割合の引き下げ
・一日も早い原発ゼロの実現
・専守防衛の堅持
・憲法9条改正に反対

ザックリとした政策ではあるが、方向性は明確で非常に社会民主主義寄りだ。私が耳にしたところでは、実質的な政策策定を左派系議員(旧社会党系)に丸投げしたというから、「いかにも」な感じになっている。「一日も早い原発ゼロの実現」は「既存の2030年代原発ゼロの前倒し」を意味するもので、より積極的な姿勢を示している。「専守防衛」「集団的自衛権反対」「9条改憲反対」は、前原候補の言う「非現実的」な政策であり、敢えて前原氏との違いを前面に出したものと思われる。HPには明記されていないが増税先送り論でもある。

ケン先生的には、安保や憲法論では思うところもあるし、そもそもそこを争点にする必要があるのかという疑問もあるのだが(ほとんど社民党の政策)、自民党への対抗軸となると「こっちだよな」ということになる。
だが、現在の民進党内の議員の立ち位置を考えた場合、例えば衆議院議員の8割以上が自民党と大差ない保守思想の持ち主であるだけに、とても党内で支持されるとは思えない。実際、枝野氏は「20人の推薦人すらギリギリ」と言われる始末で、圧倒的多数が前原支持に回っている。
枝野氏的には、最初から議員票は捨てて党員票に絞った格好だが、すでに私のような社会主義者や良心を持ったリベラリストの大半は離党しており、残っているのは連合の役員や自分が党籍を持っていることも知らない無関心層ばかりとなっているため、実際に左にエッジを効かせた政策がどこまで支持されるかは判然としない。

【補足】
出馬を準備していたという井出氏の主な政策は、「身を切る改革・行革」「2030年代に必ず原発ゼロ」「現実的な外交安全保障」となっている。財政均衡主義と外交介入主義は、前原氏に通じるものがあり、原発政策に若干の違いがある程度。やはり民進党の主流はエリート志向(緊縮財政、自由貿易、介入主義、再分配軽視)であって、とうてい大衆的支持など得られそうに無い。

【追記】
二人の政策を比較する限り、民進党議員が強調する「保守対リベラルではない」というのは妥当とは言えない。だが、正確を期すなら「社会自由主義vs社会民主主義」であり、前原陣営がイギリスの自由民主党やフランスの「共和国前進」をイメージしているのに対し、枝野陣営は英労働党や仏社会党を向いているとは言えそうだ。
posted by ケン at 10:53| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする