2017年08月23日

7、8月の読書(2017)

国会と都議選が終わったと思ったら、この暑さと代表選(毎年恒例かよ!)。とても本を読む気になれない。って、今度は代表選で夏休み没収ないし延期。いろいろウンザリだけど、こうした倦怠感自体も「デモクラシー離れ」の一つの表れなのかもしれない。

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『昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』 山田朗 岩波書店(2017)
「軍部の暴走に悩まされ、あるいは騙されて戦争突入を余儀なくされ、最後は聖断によって終戦に導いた平和主義者」とのイメージが流布されている昭和帝の実像に迫る。「昭和天皇実録」と軍人や政治家の回顧録やメモ等の一次資料を照らし合わせながら、「実録」に書かれた部分と削られた部分を比較、「穏健な帝国主義者」「機会主義者」としての昭和帝の実像をあぶり出し、宮内庁による印象操作(イメージ戦略)の意図を暴いている。これを読むと、「実録」から天皇が関わった侵略行為や戦争指導に関する部分が巧妙に削除されていることが分かる。昭和史に興味のあるものは一読しておくべきだろう。

『近代日本軍事力の研究』 山田朗 校倉書房(2015)
近代日本の軍事力は、どのような構想の下で整備されていったのか、ソフト(思想・価値観)・システム(制度・法体系)・ハード(兵器体系)の面から検証する研究書。

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『満蒙開拓団―虚妄の「日満一体」』 加藤聖文 岩波現代全書(2017)
意外とあるようで無い、満蒙開拓団の歴史。昭和恐慌などによる農村の疲弊にはじまり、満州事変を経て開拓団の編成と派遣が国策化されるが、関東軍による屯田兵、現地召集兵確保の意向などによって歪められ、日中戦争の勃発によって景気が回復、若年労働力が不足し、いつしか官僚的な対応が強まって、強制移住に近いものになってゆく。私なども「満蒙開拓に慎重だった高橋是清が226事件で暗殺されたため、一気に話が進んだ」と信じていたクチではあるが、必ずしもそうとは言えなかった模様。

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『第二次世界大戦の起源』 A・J・P・テイラー 講談社学術文庫(2011)
いまや大戦研究の「古典」に数えられる一冊だが、「邪悪なヒトラーによる計画的な侵略戦争だった」とする今日に至る定説に対する反論は、現代でも有効だろう。さすがに今読むと、古いし、言い回しがくどいと思うところもあり、なかなか読み進めないのだが、非常に刺激的で興味深い。

『信長嫌い』 天野純希 新潮社(2017)
今川義元、六角承禎、三好義継、佐久間信栄など、織田信長によって没落させられた同時代人たちの目を通じて信長像を描いた小説。信長本人はほとんど出てこない。新説を取り込んで上手く話を膨らませており、あまりドラマティックにもなりすぎず、良い加減に仕上がっている。若い作者ゆえか、感覚が現代的なところが好き嫌いの分かれどころかもしれない。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする