2017年09月21日

勉強会でポデモス

私も主宰の一人である研究会で、スペインの新政党「PODEMOS」の報告を聞く。
ちなみに私は以前の回でフランス大統領選挙における左派候補の政策を報告した。

ポデモスは2014年に結成された左翼政党。既存の社会労働者党や共産党(統一左翼)の支持層が高齢化し、若年層を中心とした不満層の支持が得られなくなったことを受け、マドリードのコンプルテンセ大学の教員や社会運動家が中心となっている。デモクラシーと人権の促進と防衛を理念としていることからも、既存の社会主義政党とは一線を画している。
登録された市民(党員のようなもの)がネットなどを通じて直接討議し、平等な投票を行う(一人一票)「市民総会」を最高意思決定機関とし、そこで選出された執行部が党運営を担う。この点、日本の自民党や民進党のような保守政党からは考えられない「デモクラシーの希求」が感じられる。
なお、ポデモスの名称は西語の「Poder」(できる)の一人称複数形で、英語で言うと「We can」になる。同時に「Demos」は古代ギリシア語の市民大衆を指す。

2016年の総選挙では統一左翼(共産党を中心とした左翼連合)と選挙連合「Unidos PODEMOS」を組んで45議席、得票率21%を獲得、他党と会派を組んで第三会派となっている。書記長のパブロ・イグレシアスは39歳、政策委員長のイニゴ・エレホンは35歳という若さである。
総選挙で掲げた政策をピックアップしてみよう。
・累進課税強化
・最低賃金を月800ユーロに引き上げ
・パートタイム労働者の待遇改善
・不公正な解雇からの労働者保護
・ベーシック・インカムの導入
・週35時間労働制
・科学博物館の月1無料開放

・公的保健予算を88億ユーロ増額
・教育予算を137億ユーロ増額
・子どもの宿題を無くして家庭時間を充実
・手話を公用語に
・軍隊、警察における女性へのハラスメント防止
・家事労働者の権利保護
・付加価値税の低減

・予算執行過程における市民監査制度の導入
・NATOにおける自律性の確保
・高速鉄道網整備の一時凍結

基本的には先に紹介したフランス大統領選のメランション候補の主張と良く似ている。
つまり、長く政権党を経験したことで、与党体質がこびりつき、中枢人材がエリート化してしまった既存の社会民主主義政党が大衆の支持を失って社会的不満を増大させていることが共通する背景になっている。こうしたエリート主義は例えば、日本では民進党の「財政再建のために消費増税は不可避」というスタンスに象徴される。
また、社会的エリートが労働貴族と談合して作文した政策と異なり、庶民大衆の声を広く吸い上げたものなだけに、個性的な政策も散見される。こうした「個性的」政策は、従来の支持層から阻害された社会層の利益を反映するものであるため、幅広い連携の基礎となり得る。

日本の場合、フランスの社会党やスペインの社労党に相当する日本社会党が解体して保守中道党に移行、一方で「不服従のフランス」や「ポデモス」に相当する既存の左翼政党が包摂できなかった社会層の政治的意思を反映する政党も存在しないという状況にある。
posted by ケン at 12:22| Comment(8) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする