2017年09月23日

映画 ダンケルク

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『ダンケルク』 クリストファー・ノーラン監督 英蘭仏米(2017)



有名ではあるが、私的には馴染みの無い監督で、「どうしても見たい」というほどでは無かったのだが、母と妹が先に見て「凄く良かった」と言うので、動員前に急ぎ見に行った。しかも妹からは「IMAX限定」との指定もあった。帰りに新宿で見られるから問題なかったが。どうやら娯楽映画の大家らしく、IMAX(70mm巨大フィルムによって撮影された超大画面上映)が前提で撮影されているため、通常の映画館の画面だと撮影された映像の上下約40%が切り取られてしまうのだという。

前にゴジラを見たときにTCXで見て「巨大スクリーン」のイメージはあったものの、それよりもさらに巨大で、真ん中よりも少し後ろの席に着いたものの自分の肉体的視野に収めるのが難しく、「もっと後ろにすべきだった」と思ったほどだった。
同時に音響も巨大であると同時に立体感のあるつくりになっていて、特に銃弾の跳弾音がリアルすぎて恐ろしかった。
また、70mmフィルムの映像は色彩がどこまでも深く、重みがある。言葉にするのは難しいのだが、自分で写真を撮るものなら、見れば感動するはずだ。
TOHOシネマの場合、特別料金で500円増しだったが、まぁ妥当な経費と言えるだろう。全ての映画がそうなると苦しいが。

史上最大の救出作戦と言われる「ダイナモ作戦」が展開された、第2次世界大戦のダンケルクの戦いを描く。ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機といった新兵器を用いた電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。この事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、1940年5月26日、軍艦はもとより、民間の船舶も総動員したダイナモ作戦が発動。戦局は奇跡的な展開を迎えることとなる。

多少世界史をかじったことのある者なら「ダンケルク」の地名くらいは聞いたことがあるかもしれないが、「実際に何が起こったのか」までは歴史書や軍事書を読んだことがないと分からないかもしれないくらいのテーマである。
しかも、本作では背景説明が殆ど省略されている上、登場人物の台詞すら極限まで最小に抑えられているため、歴史を知らないものにとっては「脱出サスペンス」でしかないかもしれない(監督自身もそう言っている)。

本作は「陸軍兵士の一週間」「撤退作戦に徴用された民間船の一日」「戦闘機パイロットの一時間」の三つの視点が交互に繰り返される構成になっており、どれも非常に秀逸で厭きることなく緊張感が続く。
駆逐艦は実際のそれを修復して使用、スピットファイアMk.VBも実際の復元機を使用、メッサーシュミットBF109はスペインでライセンス生産された「イスパノ・ブチョン」を改造して使用するなど、恐ろしくレアリア(実物)にこだわっている。スピットファイアのロールスロイスのエンジン音は、作中の登場人物も「美しい音」と言っていたが、確かに感動物だ。

ただ難点を言えば、映像だけでドラマ性が最小限度しかないこと、ダンケルクの街並みが最前線なのに美しすぎること、史実はかなり荒れた天気だったこと、登場する英国軍人がいささか美化されていること(されすぎとまでは言わないが)などが挙げられる。
私の基準では「戦争映画」とは言えないが、これはこれで「超巨大作品」だと言える。

【追記】
撤退してきた兵士に対する政治家と国民の対応、態度を見ると、同じ君主制国家でありながら、天と地ほどの違い(君主制を護持するためだけに自国の8千万国民を何の躊躇無く皆殺しにしようとしていた某国)があったことが分かるだろう。
posted by ケン at 02:00| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする