2017年11月10日

迷走する留学生政策

【「偽装留学生」排除へ 勉強は二の次、実態は“出稼ぎ” 審査厳格化へ】
 勉強よりもお金が大事? 平成27年度に20万人の大台を超え、増加を続ける日本への外国人留学生。しかし、全体の6割超を占める中国やベトナムなど5カ国からの留学生の一部が、実際は“出稼ぎ”を目的とした「偽装留学生」化している実態が問題化している。事態を重く見た法務省は、受け入れ審査の厳格化を求める文書を各地方の入国管理局に発付。不法就労や不法滞在の温床ともなっている現状の適正化に乗り出した。
 「日本に来たのは働いてお金を稼ぐため」
 7月、千葉県内で取材に応じたネパール国籍の男子留学生(23)はこう明かした。
 男子留学生は週6日、大手宅配会社で深夜帯の集荷アルバイトに従事。日本語学校に通っているが、「授業中はほとんど寝ている。でも、私だけじゃなく同級生の大半が同じ」と悪びれる様子はない。“お金が第一、勉強は二の次”との考えが留学生の一部に広がっている実態がうかがえる。
 「留学」の資格で日本に滞在している外国人であっても、資格外活動の許可を取れば週28時間までのアルバイトが可能だ。しかし法務省関係者によると、フルタイムで働いたり、留学先から失踪し不法滞在になったりする留学生が多く、詐欺など犯罪に手を染めた例もあるという。
(11月6日、産経新聞より抜粋)

「何をいまさら」という突っ込みが山ほど入りそうな話。同様の実態は10年以上前から指摘されており、審査の厳格化と緩和が繰り返されてきただけで、根本的な解決策は検討すらされていない。
現在でも「週28時間」の就労(資格外活動)が認められているのに、自民党は「さらなる緩和(長時間化)」を求めている。移民や外国人労働者の受け入れが、国民的理解を得られない中、「留学生による就労拡大」で労働力不足を補おうとしているためだ。

日本学生支援機構が2013年に行った「私費外国人留学生生活実態調査」によれば、私費留学生のうち約75%がアルバイトに従事し、週平均「20時間以上25時間未満」が全体の3割を占め、次は「15時間以上20時間未満」の23%。職種別では49%の「飲食業」が最多。
特に昨今では労働力不足が進み、例えば東京の飲食業やコンビニでは時給1000円は珍しくなく、夜間では1300円を超えるものが目に付くようになっている。

他方、外国人技能実習制度は、超低賃金の超長時間や人権侵害などが指摘されるほか、一定期間が過ぎると帰国を強制されるため、卒業後に就労ビザの取得可能性のある留学生の方が「マシ」という評価が広がっているという。
留学生にしても技能実習生にしても、日本国内の労働力不足や低賃金労働者の需要を補うことを目的に、制度拡充が図られているため、様々な齟齬が生じている。

日本も1983年までは留学生の就労は原則禁じられていたが、留学生の増加と経済成長に伴う労働力不足と円高を背景に「週20時間」の就労を「目的外活動」(資格外では無く)として許可するようになった。だが、1990年代に低賃金労働の需要が急増、外国人の不法就労が社会問題になるなどの背景をへて、まず「1日4時間」、後に「週28時間」へと「規制緩和」がなされた。これらは、経済界からの要望と、留学生側の「1日4時間はアルバイトの実態にそぐわない」という要望に沿ったものだった。
だが、国際的に見た場合、殆どの先進国では「週20時間」までしか認めておらず、日本の例外性が際立っている。

また、経済成長が著しい中国では、例えば北京や上海などの大企業では大卒者の初任給が日本のそれを上回るケースが増えており、就労目的で中国から日本に留学するメリットは失われつつある。ベトナムもその後を追っている。

「留学生ビザという名の就労ビザ」という実態があるにもかかわらず、目先の運用で調整するという政府の施策がいつまで通用するのか、疑問は多い。

【参考】
留学生に労働力を求める日本 
posted by ケン at 12:58| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする