2017年12月28日

不安を残す立民綱領

【<立憲民主>「原発ゼロ」明記 綱領を正式決定】
 立憲民主党は26日の党会合で綱領を正式決定した。「原発ゼロを一日も早く実現するため具体的なプロセスを進める」と明記。枝野幸男代表が10月の結党以来訴えてきた「ボトムアップの政治」「草の根からの民主主義を実践する」などの文言を盛り込み、独自色を出した。
(12月26日、毎日新聞)


全文はこちら。


立憲民主党は、年の瀬になって何回か全議員を集めて綱領を検討し、まとめ上げた。その背景には、急速な支持率低下に対する危機感があったものと推察される。だが、それ故に「急ごしらえ」の観は否めない。
内容的にも同じことが言える。例えば、綱領は「草の根からの声に基づく熟議の民主主義」を謳うが、支持者や有権者からのパブリックコメントなどを集めることもせず、国会議員が二、三回集まって話し合っただけで綱領をまとめてしまったことは、「草の根からの声」「熟議の民主主義」に明らかに反しており、その手法は旧民主党の「議員政党」を彷彿とさせるに十分だ。
少し個別にも見てみよう。
立憲主義を守り、象徴天皇制のもと、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持します。立憲主義を深める立場からの憲法議論を進めます。

綱領で現行憲法と天皇制を肯定しているが、これは「立憲君主制・権威主義体制の制限下で市民的自由を守る」ということを意味する。憲法の前に象徴天皇制が来ていることがこれを裏付けている。その本質は「国体護持」であり、枝野代表が言う「保守リベラル」を象徴している。自民党・安倍一派が主張する、戦前型の権威主義体制への復古からすれば「リベラル」ではあるが、そこには戦後民主主義が行き詰まって今日の政治的困難を招いているという認識は無い。
逆に「立憲主義を深める立場からの憲法議論」は、先の総選挙で立民に投票した相当数の護憲派をNK党やSM党に追いやるもので、左翼系市民から「野党共闘合意違反」の誹りは免れないだろう。

枝野氏を始めとする党内エリートには、「左翼とみられたくない」「保守層の票を取り込みたい」という思いが強いようだが、自分たちの結党基盤(誰の支持で選挙に勝てたのか)を顧みること無く、「青い鳥」を追いかけてしまっている。
私たちは、経済成長の目的は一人ひとりに幸福をもたらすことであり、また、公正な分配なくして安定的な成長は達成できないとの考えに立ちます。

現実には産業革命以降の急速な経済成長は、先進国から絶対的貧困を消失させてはいったものの、同時に経済格差や長時間労働を促進させ、むしろ人間性を否定し、幸福度を下げる方向に働いている面もある。最新の研究は、経済的豊かさと精神的幸福は必ずしも正比例しないとしているだけに、この記述は古色蒼然の観がある。そして、間違った経済政策や社会政策の原因となる恐れがある。
歴史の教訓を胸に刻み、日本の外交・安全保障の基本姿勢である国際協調と専守防衛を貫き、現実に即した政策を推進します。健全な日米同盟を軸に、アジア太平洋地域、とりわけ近隣諸国をはじめとする世界との共生を実現します。

これはもはや絶望的。立憲民主党が外交と安全保障を何も理解していないこと、米軍基地問題で何もしないことを露呈させている。「日米同盟」という言葉は、日本がアメリカの世界覇権に積極的に荷担するスタンスを指す。現政府は、日米同盟を重視するが故に、それまで自制してきた集団的自衛権を解禁して、海外派兵を常態化させている。沖縄の米軍基地も、日米同盟を維持するためのコストとして存在しているのであって、これを肯定する限り、辺野古新基地建設に反対する根拠が無い。逆を言えば、「日米同盟は重視しますが、海外派兵も米軍基地も認めません」というスタンスは論理的に成り立たない。また、日米同盟は対ロシアと対中国を想定した軍事同盟であり、これと「アジア近隣諸国との共生」もまた並立し得ない。要は、連中は何も分かっていない。

この綱領を読む限り、立憲民主党はやはり「民主党の焼き直し」に終わりそうだ。
posted by ケン at 12:12| Comment(2) | 憲法、政治思想、理念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする