2018年01月10日

集団的自衛権解禁から対外攻撃能力保有へ

【護衛艦「いずも」を空母改修=政府検討】
 政府は26日、海上自衛隊最大級の護衛艦「いずも」(写真)を戦闘機の発着が可能な空母に改修する検討に入った。自衛隊の空母保有は初めて。
(12月26日、時事通信)

【長距離巡航ミサイル国産化 政府検討 34年度に試作品】
 政府が敵基地攻撃能力の保有も視野に入れ、長距離巡航ミサイルの「国産化」を検討していることが27日、分かった。平成34年度の試作品完成を目指す。政府は米国などから長距離巡航ミサイルを導入する方針を固めているが、緊迫する北朝鮮情勢や中国の海洋進出に対処するには、独自開発による防衛力整備も必要と判断した。装備品の海外調達費を抑え、国内防衛産業の成長を促す狙いもある。複数の関係者が明らかにした。
 政府は30年度予算案に米国製とノルウェー製の長距離巡航ミサイルの調達費を計上した。米国製は900キロ、ノルウェー製は500キロを誇る。
 防衛省幹部は「長距離巡航ミサイルを持つことで、敵の脅威圏外からの攻撃が可能になる。空自パイロットの安全性は格段に増す」と説明する。
 一方、自衛隊が保有する対艦ミサイルの射程は約170キロ。技術的には長距離巡航ミサイルの国産化は可能とされていたが、「専守防衛」の立場から開発は見送られていた。
 これに対し、12日に開かれた自民党安全保障調査会(中谷元会長)などの会合では「長距離巡航ミサイルを保有するなら国産化も検討すべきだ」との声があがった。
 党国防族は「これまでは『専守防衛の範囲を超える』という批判に配慮してきたが、北朝鮮情勢などで局面は変わった。敵基地攻撃能力につなげるためにも国産化は自然な流れだ」と指摘する。
(12月28日、産経新聞)

戦前とは形態が異なるものの、少しずつ国家の「タガ」が外れてゆく様が見られる。
まず1990年代に海外派兵が解禁されたことを手始めに、2000年代には海外における軍事行動の一部が解禁されて国連以外の枠組みでの派兵も可能となった。そして、2010年代には特例法の必要無しに恒常的な海外派兵が許可されると同時に、集団的自衛権の行使をも容認するところとなった。そして今、集団的自衛権行使を前提とした軍備拡張が進められている。

記事にもあるヘリ搭載型護衛艦は、予算が審議された当初から「空母運用に繋がり、攻撃能力の所持になってしまう」との危惧が上がっていたが、政府・防衛省の説明は「空母運用は想定していない」の一点張りだった。
あれからわずか数年(「いずも」の予算は2010年度)で前言を翻したのだから、議会の権威はますます低下し、行政への権力集中が進む一方となっている。

空母も長距離巡航ミサイルも、本質的には先制攻撃を前提とした攻撃兵器であり、自国の領海や領土外を叩くことを目的に設計される。
政府は、北朝鮮の脅威を理由に挙げているが、それはアメリカの偵察衛星からの情報を受けた日本が先制攻撃を加えて、北の核やミサイル発射能力を先制攻撃で潰すことが前提となる。こうなってくると、ほとんど現行憲法は実質的に廃棄されたも同然となるだろう。つまり、次の憲法改正はこうした先制攻撃を許すための修正が必要となる。

また、現実には日本が想定している攻撃能力で北朝鮮の攻撃能力を無効化することはほぼほぼ不可能であり、「北朝鮮を叩くためにこれらの軍事力が不可欠」という防衛省の説明は、一見合理的に見えて、実質が伴っていない。
となると、やはり実際には、尖閣沖や東シナ海、あるいは南シナ海で中国海軍と戦うことを前提としていると考える方が合理的だろう。

他方、独自の防衛力を高めるということは、政府・自民党側も「日米安保の抑止力の低下」を認識していることを示しており、あるいは「日米同盟後」までにらんでいるのかもしれない。だが、国力が低下する中で、中国、ロシア、北朝鮮を仮想敵とした軍備を整えるのは無謀な話であり、だからこそアメリカににらまれながら対露外交を続け、今度は対中宥和を試みるといった話になっているのだろうが、どうにも「泥棒を捕らえてから縄を綯う」の観が否めない。

【追記】
今後、日中の経済格差が拡大していくと、日本ももた北朝鮮を倣って核武装を検討することになる公算が高い。
posted by ケン at 12:20| Comment(2) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする