2018年02月20日

子どもを大学に行かせて一家破産する国

【奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる】
 国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。奨学金制度を担う日本学生支援機構などが初めて朝日新聞に明らかにした。無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。
機構は2004年度に日本育英会から改組した独立行政法人で、大学などへの進学時に奨学金を貸与する。担保や審査はなく、卒業から20年以内に分割で返す。借りる人は連帯保証人(父母のどちらか)と保証人(4親等以内)を立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選ぶ。機関保証の場合、保証料が奨学金から差し引かれる。16年度末現在、410万人が返している。
 機構などによると、奨学金にからむ自己破産は16年度までの5年間で延べ1万5338人。内訳は本人が8108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7230人だった。国内の自己破産が減る中、奨学金関連は3千人前後が続いており、16年度は最多の3451人と5年前より13%増えた。
 ただ、機構は、1人で大学と大学院で借りた場合などに「2人」と数えている。機構は「システム上、重複を除いた実人数は出せないが、8割ほどではないか」とみている。破産理由は「立ち入って調査できず分からない」という。
 自己破産は、借金を返せる見込みがないと裁判所に認められれば返済を免れる手続き。その代わりに財産を処分され、住所・氏名が官報に載る。一定期間の借り入れが制限されるなどの不利益もある。
 奨学金にからむ自己破産の背景には、学費の値上がりや非正規雇用の広がりに加え、機構が回収を強めた影響もある。本人らに返還を促すよう裁判所に申し立てた件数は、この5年間で約4万5千件。16年度は9106件と機構が発足した04年度の44倍になった。給与の差し押さえなど強制執行に至ったのは16年度に387件。04年度は1件だった。
 奨学金をめぐっては、返還に苦しむ若者が続出したため、機構は14年度、延滞金の利率を10%から5%に下げる▽年収300万円以下の人に返還を猶予する制度の利用期間を5年から10年に延ばす、などの対策を採った。だが、その後も自己破産は後を絶たない。
 猶予制度の利用者は16年度末で延べ10万人。その期限が切れ始める19年春以降、返還に困る人が続出する可能性がある。
(2月12日、朝日新聞)

子どもを大学に行かせて一家破産か。住宅ローン破産も増えそうだし、いよいよって感じ。
「返せないのに借りるなよ」というのは全く正論なのだが、学習権は基本的人権の一つと考えるのが世界の潮流であり、貧困が理由で学校に通えないというのは、経済的貧困と同時に政治の貧困が原因と見なされる。
特に日本の場合、高校を卒業して社会で働いて学費を稼いでから大学に入学し直すということが難しいため(一度会社を辞めると正社員になれない)、無理をしてでも現役での進学が志向される。それだけに「借金して大学とかバカじゃね」というのは厳しいものがある。

ただ経済環境的に高齢者は失業や賃金低下のリスクが高まっている上、若年層でも低賃金や生活コストの上昇などが蔓延しており、高度成長期の感覚で借金するのは危険すぎる。
大学進学自体、かつての「大学を出て企業に勤めれば一生安泰」神話が瓦解しており、担保がない以上、進学のために投入するリソースと将来的に見込まれるリターンについて、個々人が検討しなければならなくなっている。少なくとも18歳の青年に選択責任を負わせるには重すぎる課題だろう。
また、金利で考えても、住宅ローンが金利平均0.5%〜0.8%に対して、奨学金は0.4%〜1.0%、教育ローンだと1.7%〜2.0%くらいで、低金利時代に銀行に市場を提供するために教育が利用されている側面もある。

ちなみに500万円を金利1%で借りると、20年返済で利息は50万円超となり、月返済額は約2.3万円となる。初任給18万円あたりだと相当に厳しいことが分かる。20代の貯蓄ゼロ率が6割を超え、結婚できない層が増えるのは当たり前なのだ。
この点からも、日本は縮小再生産が続くことになりそうだ。
posted by ケン at 13:00| Comment(4) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする