2018年06月08日

映画『マルクス・エンゲルス』

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『マルクス・エンゲルス』 ラウル・ペック監督 フランス・ドイツ・ベルギー(2017)


1840年代のヨーロッパでは、産業革命が生んだ社会のひずみが格差をもたらし、貧困の嵐が吹き荒れ、人々は人間の尊厳を奪われて、不当な労働を強いられていた。20代半ばのカール・マルクスは、搾取と不平等な世界に対抗すべく独自に政治批判を展開するが、それによってドイツを追われ、フランスへと辿りつく。パリで彼はフリードリヒ・エンゲルスと運命の再会を果たし、エンゲルスの経済論に着目したマルクスは彼と深い友情をはぐくんでゆく。激しく揺れ動く時代、資本家と労働者の対立が拡大し、人々に革命的理論が待望されるなか、二人はかけがえのない同志である妻たちとともに、時代を超えて読み継がれてゆく『共産党宣言』の執筆に打ち込んでゆく――。
原題は「The young Karl Marx」で確かに20代後半の数年間のマルクスを描いているのだが、実質的にはエンゲルスとコンビを組む過程が中心軸になっている。ストーリーは、マルクスがドイツを追われてパリに移住し、そのパリからも追放されてブリュッセルに行き、『共産党宣言』を準備するところまで。
マルクスは評伝を読む限り、友人だろうが恩人だろうが、考え方が異なる者に対しては容赦なく罵倒、攻撃する人物であり、人間的にはなかなかのロクデナシで、この傾向は年を経るごとに悪化するのだが、焦点を若年期に絞ることでロクデナシ要素を薄めている。史実では、奥さんとエンゲルスが寛大すぎると思うのだが。

哲学論争は最小限度に抑え、時代の空気感や背景、マルクス・エンゲルスをめぐる人間模様に焦点を当てることで、難解にならないようにつくられている。確かに分かりやすくはなっているが、物足りなく思う人もいそうだ。
とはいえ、1840年代に何故マルクスが歴史の表舞台に登場し、2010年代に再評価されるのかを考えるに際して、映像で見ておく価値はあるだろう。
posted by ケン at 12:41| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする