2019年01月11日

強権弾圧に向かう仏マクロン政権

【仏首相「過激暴力に厳罰」無届けデモ罰則強化へ】
 フランスで続く反政権デモを受け、フィリップ仏首相は7日、民放テレビ番組で、無届けのデモに対する罰則を強化する考えを明らかにした。破壊行為に加わった者に対し、デモ参加を禁止する措置もとるという。昨年11月から毎週土曜日に行われているデモは、主にインターネットの交流サイトで呼びかけられている。大半が警察への届け出なしで行われており、警察当局は十分に取り締まれていない。デモに乗じた暴力や破壊行為も横行しており、フィリップ氏は「過激な暴力には厳罰を与えなければならない」と述べた。無届けのデモは現在の法律でも代表者に禁錮6か月と7500ユーロ(約90万円)の罰金が科されるが、黙認されるケースもあった。今月5日のデモでは、暴徒化した一部の参加者がパリの政府庁舎の扉を壊して侵入する事態となった。
(1月8日、読売新聞)

フランスでは年が明けて再びデモが盛り返しているという。当局発表で5万人というから相当な規模である。
しかも、12月には様々な罪状がつけられて2千人以上が当局によって勾引されているのだから、実情は報道以上に深刻なはずだ。だからこそ、マクロン政権は「無届デモ全面弾圧」へと舵を切ったものと見られる。

そもそもデモはデモンストレーション、つまり政府などに対して民意を表明する一手段である。これはデモクラシー下においては、選挙の投票以外に民意を表明する手段として、本来は選挙と同レベルの価値が置かれるべきものなのだ。そのため、「当局に届け出なければ許されないデモ」というのは、本質的にはデモクラシーの原理に反する措置であって、だからこそフランスの歴代政権は大目に見てきた。
これは一種のパンドラの箱であり、「当局に届け出がないデモ」に対して当局が公然と弾圧を始めた場合、政府と市民の対立は決定的なものになるだろう。

こうした事態に陥ったのは、明らかにマクロン大統領の判断ミスに原因が求められる。
報道では「燃料税の増税に反旗を翻した」となっているが、デモに参加している者の少なくない人数は「本来は増税もやむを得ない」と考えているものと思われる。彼らが本当に怒っているのは、「富裕層に対して減税しているのに、庶民にだけ大増税かよ!」ということだろう。
これに対して、マクロン大統領は「燃料増税の延期」を表明しただけで、富裕層への課税には一切触れなかった。ここが運命の分かれ目だっったのだろう。仮にマクロン氏が「富裕層にきっちり課税するから、燃料税を認めて欲しい」と下手に出ていれば、少なくとも一時的にはデモは鎮静化あるいは小規模化したはずだ。

だが、マクロン氏はエリート根性丸出しで、「お前らに屈服して燃料税は一時的に延期してやるから、もう暴れるな!」と居丈高にやってしまったがために、事態が収まらなくなってしまった。さらに逆ギレして、「無届デモ弾圧」に舵を切ってしまった以上、フランスはもう一度何かコトが起こったら、いよいよ深刻な事態に陥る可能性が出てきている。
posted by ケン at 20:49| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする