2019年04月06日

対露包囲網強化で日露交渉は?

【NATO ウクライナなどとの軍事協力強化 ロシアに対抗】
 NATO=北大西洋条約機構は外相会議を開き、ロシアが併合したウクライナ南部のクリミア周辺で軍事力を増強しているとして、NATOとして非加盟国のウクライナなどとの軍事協力を強化することを決めました。NATO=北大西洋条約機構はことし設立から70年となるのを記念して4日、アメリカのワシントンで外相会議を開きました。会議では、ロシアが併合したウクライナ南部のクリミア周辺で軍事力を増強し、脅威がさらに高まっているとして、非加盟国のウクライナや黒海沿岸のジョージアとの間で、海軍の訓練や合同軍事演習などの軍事協力を強化することを決めました。
 NATOのストルテンベルグ事務総長は会見で、「いままさにNATOの艦艇が黒海で警戒に当たっている。NATOは極めて重要なこの地域で存在感を維持していく」と述べ、ロシアに対する抑止力をさらに高めていく考えを示しました。NATOはアメリカとヨーロッパ各国の間で国防費の増額などをめぐって足並みの乱れも指摘されています。外相会議の冒頭でアメリカのポンペイオ国務長官は「ロシアによる攻撃や中国との5Gをめぐる競争など新たな脅威に立ち向かうため、同盟を改善する必要がある」と述べ、同盟の結束を強めたい考えを示しました。
(4月5日、NHK)

1900年代や1930年代とはまた異なる形で緊張が高まりつつあるのかもしれない。
EUは英国の離脱、南欧とフランスの混迷、東欧における権威主義政権の乱立など、加速度的に遠心力が働いている。そのため、求心力を維持するためにNATOを利用して対露包囲網の強化を進めているのが実情だろう。
ウクライナやグルジア(ジョージア)をNATOに引き入れることは、徒にロシアを刺激するだけのものであり、ロシア側の防衛本能を強化させ、より攻撃的にしてゆくだろう。同時に、ウクライナやグルジアはNATOの後ろ盾を得たことで強気になり、「失った領土を取り戻せ」などと軍事的冒険主義に走る恐れがある。この両国は極めて政治的に不安定にあるだけに、冒険主義による政治的求心力の確保を目論む蓋然性が高いからだ。
ロシアとしてはNATOの強攻策に対して何らかの対抗措置をとらざるを得ず、それは外交、軍事、インテリジェンス上の不確定要素を増やし、衝突リスクを高めてゆくことになるだろう。

ここに来て、ロシア側が日露交渉の進展の遅れに何度も不満を訴えているのは、こうしたNATOの対応による焦燥感も影響しているかもしれない。まぁ一義的には、「主権の確定」にこだわりすぎて全く妥協に応じない日本側(外務省?)に対する怒りなのだろうが。

歴史的に見て非常に難易度の高かったはずのノモンハン事件の外交交渉が、意外にもあっけなく妥結されたのは、欧州方面(ドイツとポーランド)の緊張が高まったためだった。同時に日本側交渉担当の東郷茂徳がソ連側をうならせるほど粘り強く交渉したことも良い方向に働いた。

日露交渉は外務省ではなく、主に内閣官房が中心となって動いていると聞くが、是非とも国際情勢を上手く利用して有利に成立させてもらいたい。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする