2019年04月24日

党と政府に見る対中対応の差

【二階氏、「一帯一路」国際会議に出席…24日から訪中】
 自民党の二階幹事長は今月24〜29日、安倍首相の特使として中国を訪問する。26日に北京で開かれる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議に出席する。6月の習近平(シージンピン)国家主席の来日に向け、準備を進める狙いがある。
 二階氏の訪中は昨年8〜9月に北京を訪問して以来。習氏に首相の親書を手渡すため、会談する方向で調整している。経団連の中西宏明会長、全国農業協同組合連合会(JA全農)の長沢豊会長らが同行する。
 政府は、習氏の国家主席としての初来日を6月28〜29日に大阪市で開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて実現させ、今秋以降に習氏の国賓としての再来日につなげる道筋を描いている。二階氏は政府間の外交を側面支援し、関係改善の流れを確かなものにしたい考えだ。
 これに関連し、二階氏は18日、東京都内の中華料理店で開いた派閥会合に、近く離任する程永華(チョンヨンフア)駐日中国大使を招き、労をねぎらった。二階氏は会合で「日中友好は大事なことだ。これからも取り組んでいかなければならない」と強調した。
(4月18日、読売新聞)

【河野氏、習氏を国賓待遇とせず…G20来日予定】
 中国を訪問中の河野外相は15日、李克強(リー・クォーチャン)首相、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と相次いで会談した。会談後、河野氏は記者団に対し、6月の大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日が予定される習近平(シー・ジンピン)国家主席について、「特にどなたを国賓にということではない」と述べ、国賓待遇とはしない考えを示した。
(4月15日、読売新聞)

日本はかなり一党独裁国に近い体制をとっている。
つい先日も、懇意にしている教授が国際会議を開催するにあたって、日本から野党議員を中国に招待したのだが、それを聞きつけた領事館員(恐らく外務省、領事館員の多くは他省庁の出向者で占められ、プロパーは少数)が教授に電話してきて、「何で自民党議員を呼ばないのか」と難癖を付けてきたという。
つまり、外務官僚からすれば、日本の自民党以外の政党など、共産国における衛星党や傀儡党と何ら変わらない認識なのだ。かといって、「では、自民党議員を紹介してください」と言うと、「それは我々の仕事では無い」などと言う始末で、温厚な教授が怒っておられた(聞いてる私の方はマジギレ寸前だったが)。

さて、政府・外務省は相変わらずアメリカの方しか向いていない。新帝即位に合わせて来日するトランプ大統領は国賓扱いなのに、G20で来日する習主席は「その他大勢と同じ」とするのが、その表れだ。これは近いうちに詳細を書くが、早ければ2030年、遅くても2040年までには米中の国力差は逆転すると言われる。
例えば、英PwC社の調査レポート「2050年の世界(World in 2050)」(2017)は、2030年時点におけるPPPベースのGDP予測で、中国が3611億ドル、米国が2545億ドル、日本が600億ドルと、中国の経済力が日米の合算を上回るとしている。「中露同盟」で考えれば、中露のGDPが4096億ドルに対して米日は3145億ドルと76.8%を維持するに過ぎない。少なくとも経済力では、近い将来「日米同盟が中露の太平洋進出を封鎖する」構図は成り立たなくなる。
にもかかわらず、アメリカしか眼中に無い政府・外務省の頭は、共産体制の存続を最後まで信じて疑わなかった1980年代の東欧諸国の共産党員を思わせる。

それに対して、自民党はさすがに老獪である。活発とは言えないし、利権目当ての側面はあるにせよ、日中関係の改善を進めているのは、やはり自民党であり、それも旧田中派の系列なのだ。それと宗教宣伝を意図するKM党。
非自民党でも、やはり旧田中派の系譜を引く小沢一郎氏が、鳩山政権期に対中外交を志向したが、親米派官僚らや反小沢派の陰謀もあって、疑獄にはまり、封じられてしまった。それを見て、小沢以降の菅内閣、野田内閣は従来の親米路線に戻り、低い支持率の中、世論を煽動するために対中強硬路線をとるに至った。
世論の支持が弱い党や議員が政権をとると、どうしてもポピュリズム的に世論を喚起する意欲が強くなり、「外に敵を作る」外交を演じやすくなる。その意味で、少なくとも外交の点からは、今の野党に政権を委ねたいとは全く思わない。仮にいま立民などが政権をとっても、再び「尖閣沖漁船衝突事件」のような悪夢を引き起こし、もちろん日露交渉は破棄され四島返還論に逆戻りするという、最悪の事態となるだろう。

とはいえ、自民党にあっても対中・対北外交を担えるのは、二階氏のような「豪腕」を持つものだけで、二階氏の跡を継げるような「やり手」が党内に見当たらない現状は、いかにも不安がある。自民党内も、支持基盤の弱い議員が圧倒的多数にあり、彼らの多くは反中・反南北ポピュリズムに対する強い誘惑と同居している。

自民党は外交的には「まだマシ」「現実的」ではあるが、「安倍・二階以降」の展望は開けない。
米大統領下の調査機関である国家情報会議が公表した「Global Trends 2030」は、2030年時点の日米関係について、「安全保障や日米同盟を非常に重視する安倍政権でさえ、ワシントンの一部が期待する自国の安全保障の底上げや対米協力強化には限界がある」と悲観的観測を述べつつ、その理由として「財政難と政治的麻痺」を挙げている。米国が2013年時点で「安倍後」の政治的混乱を予測していることは、率直に驚きを禁じ得ない。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする