2019年05月24日

ロシア世論も少しずつ軟化

【北方領土「合意を」41% 外務省、ロシアで調査】
 外務省は22日、ロシア国内で2月に実施した世論調査の結果を発表した。日ロ両政府が交渉中の北方領土問題の在り方を聞いたところ「両国が相互に合意すべきだ」が41%となった。「(北方四島が)ロシアに帰属し、今後もロシアに帰属する」は53%、「日本に帰属すべき確かな根拠があり、日本に帰属すべきだ」は2%だった。
 2016年3〜4月の前回調査とほぼ変化はなかった。日ロ首脳は昨年11月、日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速する方針で一致。その後、閣僚や高官レベルで交渉を重ねているが、ロシア世論への影響は限定的となっている。
(5月22日、共同通信)

ロシア学徒としては、意外と日本に好意的な結果になっていると思う。
一時期、ロシアがイケイケだった時はこれよりさらに強硬だったことを考えれば、少しずつではあるが、世論も軟化していることが分かる。
とはいえ、日本ほどではないが、そこは大国意識が抜けきらないためだろう。

重要なのはまさしく「両国が相互に合意すべきだ」であり、この点はラブロフ外相ですら「相互に受け入れ可能な内容でなければ意味が無い」と繰り返し述べている。
日ソ共同宣言は条約であるが故に強い拘束力があり、いかにロシア国民といえど、「条約に書いてあるから」と言えば、それ以上強硬反対するのは難しい。つまり「二島引き渡し」である。
あとは、二島「プラスアルファ」の部分でどこまで日本が頑張れるかであり、同時にロシア側に対して魅力的な提案ができるかにかかっている。

その点「四島返還論を引っ込めて二島で妥協してやるんだから、ロシア側が譲歩しろ」的な外務省の塩対応ではいかなる合意も難しい。あれはむしろロシア側を遠ざけるものでしかない。
ロシア側が何度も「歴史を勉強して出直せ」と言うのは、まさにこの点で、いまや交渉に当たる官僚も全て1960年代以降のプロパガンダに洗脳されているものばかりになっているため、交渉を難しくしている。
歴史教育の功罪はあまりにも大きい。
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2019年05月23日

丸山某、禁止区域で外出を試みる

【「女性のいる店で飲ませろ」と丸山氏発言】
 丸山穂高衆院議員が北方領土へのビザなし交流訪問団に参加中の11日夜、「女性のいる店で飲ませろ」との趣旨の発言をし、禁止されている宿舎からの外出を試みていたことが22日、複数の訪問団関係者への取材で分かった。
(5月22日、共同通信)

ロシア学徒的には、こちらの方が「戦争して奪還」よりもタチが悪い。
例えば、外出禁止の場所で他国の国会議員が禁を犯して外出し、当局に拘引された場合、外交問題に発展する恐れがある。あるいはスパイ容疑を掛けられる恐れもある。
ましてや、その外出目的が「飲む、買う」であれば、その「国辱度」は何倍に達するだろうか。

ロシアは本当にこうした点は恐ろしく厳しく、かつてケン先生も旅行先で「滞在登録を怠った」という理由で拘引されたことがあるが、何と空港のタラップ下に軍警を含む10人以上の警官らが待ち構えていて、そのまま連行された。尋問されたのは、鉄格子付きの尋問室であり、亀山門下でスターリン学も修めた私的には、「有無を言わさず、後ろから拳銃で撃たれるのか?」と思ったものだった(笑)
まぁ現実には、ロシア語もできて、ロシア学も修めていたので、ある程度向こう側の出方や論法が分かっていたので、「宿泊先が手間を怠っただけで、自分は何も悪くない!」の一点張りで押し通したわけだが、平均的な日本人であれば、領事館員の厄介になっていたところだったかもしれない。

丸山某の場合、もし「女性のいる店」に行ってしまった場合、ハニートラップに掛けられる恐れもあっただけに、その正気を疑うレベルにある。
丸山某のお友達らしき元ヤクニンは「アル中だから大目に見てやってくれ」との主旨で擁護を試みているが、国益の代弁者たる議員や官僚にそのような「大目」はあり得ない。それはただの特権意識であり、「共産党員なんだから大目に見てくれ」というのと何ら変わるところがない。むしろ一般人よりも厳しい罰を下すべきところだ。

この場合は、除名や辞職勧告ではなく、議会の懲罰委員会にかけて、「倫理規定に反した行動」として適正に処断するのが望ましい。
代議制民主主義といえど、有権者は自分たち以上のレベルの議員を選出するのは難しいことを示していると思うわけだが、大阪19区の有権者はよほど候補者に恵まれていたということだろう。
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2019年05月22日

日露交渉を交渉学から考える

日露間の平和条約交渉が遅延し、合意も遅れていることを受けて、リベラル派を中心に「安倍首相が得点稼ぎにやっていること」などという非難が上がっている。また、「不法占拠」「四島返還」などの主張が後方へとやられたことについても、リベラル派を中心に批判が強まっている。
だが、リベラル派は「北方領土はロシアによって不法占拠されている」「四島一括返還以外あり得ない」などと言いつつ、丸山某が「武力奪還」を唱えると、これも非難するのだから、要は「ロシアとは一切話をするな」と言っているだけに過ぎない。

それはそれとして、中国にあっても、国際政治研究者たちから「日露交渉などやはり無理なのでは」という意見が上がっており、「そんなことは無いですよ」と言うのだが、なかなか納得してもらえない(表向きは反論しないが)。
そこで最近流行しつつある「交渉学」の概念を用いて、日露交渉を検証してみたい。

【1.背景と情勢】
日本をめぐる安全保障環境は大きく変化しつつある。中国が巨大化し、アメリカの影響力が相対的に低下、遅くとも2030年代前半には中国のGDPは米国を抜き、軍事力においても2040年頃までにアメリカを凌駕すると考えられている。これは早くなることはあっても、遅くなることはなさそうだ。従って、2040年頃までには在日米軍は撤退し、太平洋の東西で米中が覇権を分ける形になるだろう。

日本は米国の後ろ盾を失ってゆくわけだが、日本の選択肢としては、@中国に従属、A独自に重武装(核武装含む)、Bロシアやインドと連携しつつ、東アジアの勢力バランスを取る、が考えられる。このうち「比較的無理なく独立性を保てる」のはBであり、その連携先として最も有力なのはロシアとなる。

今後仮に中台併合が実現した場合も、アメリカの東アジアからの退去が進み、日本のシーレーンは中国の影響圏に入るところとなる。これも対中従属の決定的要素となるが、化石資源の輸入を中東・インドネシアからロシアにシフトできれば、中国への依存度は相対的に低くできるだろう。ロシアは核エネルギーの連携相手としても有望。

逆に日露協商に失敗した場合、北朝鮮型の「独自路線」か、今のアメリカが中国に取って代わられることになるが、誰にとっても好ましくないだろう。

【2.ミッション】
日露協商のミッション(大方針)は、些細な領土問題(しかも誰も住みたがらない)ではなく、「アメリカのアジア退去後」を見据えたものでなければならず、中国の独走・覇権化を抑止する目的を持つ。同時に、日本の独自性と国際的影響力を担保しつつ、エネルギー安全保障を充実させる狙いがある。つまり、領土問題はあくまでも「カード」であって、本筋では無い。
当面はエネルギー面と経済面での協力、将来的には軍事協力を視野に入れるべきだろう。

【3.日本の強みとロシアの弱み】
長期低迷しているとは言え、日本はまだ世界で第三位の「経済大国」にある(強みを言う場合は謙虚にならない)。同じく、ロシアが必要としている様々な技術力も有している。そして、人口1億2600万人を有する市場でもある。

ロシアはEUとアメリカから徹底的に敵視され孤立傾向にあるため、中国への依存を強めている。また、シベリアで生産される化石資源の輸出先も、ほぼ中国に占有されており、価格交渉で下手になってしまっている。
ロシアにとっての悪夢は何時の時代でも「東西挟撃=両面戦争」であり、絶対に回避すべきものだが、欧州方面は当面改善しそうに無い。

【4.日本の弱み】
時間が経てば経つほど、中国が強大化して米国が弱体化、日本の立場は不安定になる。経済的にも改善の見込みは無い。少子高齢化の進行で、市場としての魅力も失われつつある。つまり、時間経過は日露交渉において、日本側に不利に働く可能性がある。また、他の連携先としてインドがあるが、日印協商の実現性には疑問が残る。

また、日本では65年にわたるプロパガンダで「択捉、国後は北海道の一部」と考えている国民が圧倒的多数を占めており、これを納得させるためには、安倍政権のような「強い指導力」が不可欠で、今後の内閣で実現できるか不確定要素が多い。

【5.ターゲティングとBATNA】
最も重要な合意点は短期的には「日露平和条約」を締結することで、短中期的にはエネルギーと安保面の協力だが、日露間の信頼関係はまだ十分とは言えず、日露間の信頼醸成に多くの資源を費やす必要がある。

「BATNA」とは「最悪の状況に陥った場合の代替案」を意味する。日露の場合、「領土問題で譲歩しすぎた」と世論が不穏になることが想定される。そのため、無理して短期的にいずれかが譲歩しすぎる形は望ましくない。「無理な合意」は結局のところ「長続きしない」というのが、現代交渉学の定説になっている。

日本政府は既に「不法占拠」説と「四島返還」論を(こっそり)引っ込めており、交渉の土台は十分に積み上がってきている。「日露2プラス2」も順調に進んでいる。
「合意できなかった」と騒ぐのは、交渉(ビジネスでも何でも)を行ったことの無いものが言っているか、あるいは政争の道具とするためだろう。

ロシア側の態度が強硬と判断した場合、日本としては対中従属や日印協商をカードとして提示することも一案であろう。これらは「比較的望ましくない」「実現性が低い」と考えられているだけで、日露協商を絶対のものと考えてしまうと、日本側に不利な交渉になってしまう。

素人はどうしても「交渉するからには合意しないと損」と考えてしまうが、交渉学では「メリットの無い合意はしなくても良い」としている。
古来、外交交渉は「外交よりも内交が難しい」と言われており、自組織内の調整の方が難しい側面がある。
「合意できなかった」のは、むしろ交渉担当者が利害を強く主張した結果であり、国益を守ったためと考えるべきで、安易に非難すべきでは無い。
一方、十五年戦争期の帝国政府のように中国などに対して、どう見ても受け入れ不可能な要求を繰り返し、逆にアメリカから「ハル・ノート」を提示されると、逆ギレして宣戦布告なしで武力行使(真珠湾攻撃時に米政府に送ったものは宣戦布告の要件を満たしていない)するような愚劣さは、重々戒めるべきである。

以上から考えて、日露交渉は十分及第点にあると考えられる。

【参考】
『戦略的交渉入門』 田村 次朗/隅田 浩司 日本経済新聞出版社(2014)
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2019年05月21日

丸山某は議会から追放すべきか?

【野党6党派、丸山氏辞職勧告案を提出=自民は採決に慎重】
 立憲民主党や日本維新の会など野党6党派は17日、戦争による北方領土奪還に言及した丸山穂高衆院議員に対する辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。
 野党は速やかな採決を目指す。これに対し、提出に加わらなかった自民党は、党内協議が必要だとして当面は採決に慎重な立場だ。公明党と週明けに対応を協議する。
 辞職勧告案を提出したのは立憲、維新のほか、国民民主、共産、社民各党と衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」。決議案は丸山氏の言動を「論外」と厳しく批判。「国会全体の権威と品位を著しく汚した。議員の職を辞するべきだ」と記した。
 衆院議院運営委員会の野党筆頭理事を務める立憲の手塚仁雄氏は17日、自民党の菅原一秀与党筆頭理事と国会内で協議。共同提出に与党も加わるよう要請したが、決議案の表題などで折り合わず、野党が提出に踏み切った。 
(5月17日、時事通信)

何でもかんでも政争の具にしようとするのは望ましくない。
いくら野党の支持率が低位推移しているからと言って、ブーメランになりかねない手法である。

思い出されるのは、齋藤隆夫の除名事件である。
1940年3月7日の衆議院本会議では、民政党の代議士である齋藤隆夫を除名処分にする採決が行われた。
その理由は、同年2月2日の本会議で齋藤が行った、いわゆる「反軍演説」に対する懲罰であった。
今でこそ「反軍演説」などと聞くと、「どんだけ?」と思うだろうが、実際にその議事録を読んでみると、ごく普通の、当然の質問であって、反軍的内容など指摘する方が難しい。
要は、「国は支那事変をどう解決するつもりなのか」「東亜新秩序とは具体的にどんなものなのか」「世界戦争の危機に対してどう対処する所存か」「汪兆銘政権への対応は?」といった類いである。
そして、もっとも非難されたのは「中国と戦争やって、日本も何万もの兵が傷ついているってのに、戦争目的が大東亜新秩序の建設って何デスか?領土も賠償も取らないなんて、国民は納得しないッスよ!」という点だった。
さらには、実際の本会議場では普通に拍手が鳴り響き、終了後も齋藤の下に激励の手紙や電報が続々と届いたという。

にもかかわらず、齋藤の演説は「反軍的」となり、軍部批判=国家批判と判断されて、懲罰動議が出されることになった。
投票総数447票のうち、賛成296、棄権・欠席144、反対7という、圧倒的な数での除名決議となった。
なお、齋藤の所属する民政党は党議拘束をかけて賛成を強要し、反対者はたったの1人(岡崎久次郎)に過ぎなかった。
社会大衆党も同調したものの、34名中、安部党首や片山哲を含む10人が棄権することになり、うち8名を除名処分にした。浅沼稲次郎、河上丈太郎は賛成している。

つまり、戦時中は戦争指導を疑問視した者を追放し、いまは開戦を主張する者を除名しようというのである。
だが、代議制民主主義はあくまでも主権者の主権と意思を国政に反映すべく、その代理人として議員を選出するシステムであり、開戦論を主張する丸山某もまた、大阪の一部における相対多数の有権者の意思を反映しているだけに過ぎない。これを「開戦論を唱えた」と言って議会から除名するのは、大阪19区の有権者の主権を否定、阻害することになる。

これは「憲法に反した発言」も同様で、国会議員が反憲法的な意見を述べただけで除名されていては、憲法改正など秘密会でしか審議できなくなってしまう。だからこそ、立法の一員である国会議員の身分は特別に保証されているのだ。平和憲法を神聖視する者は、自由主義の原理に反している。
そこは、大臣など行政府側の人間による発言とは区別して考えるべきであろう。大臣や官僚が、憲法遵守義務を負うのは、主権者の意思を反映した議会で制定された法律を、施行者が恣意的に解釈して勝手に運用することを戒めるためである。

丸山某が大阪の民意を代弁する者としてふさわしいかどうかは、あくまでも彼の地の有権者が判断すべきことであり、他地域の主権代行者に過ぎないものが勝手に云々するのは戒めるべきである。
もっとも、逆を言えば、大阪19区の有権者の多数は「北方領土を武力で奪還すべき」と宣言したものを主権代行者として三度選出し、議会で主張させていたことを、重々承知すべきだろう。

日本では、総理大臣が防衛出動(武力行使)を発動する場合、「事前に国会の承認を得るいとまが無い場合」を除いて、事態対処法9条に基づき国会の承認を得なければならないことになっている。
仮に時の総理大臣が「北海道の一部を占領し続けているロシア軍」に対して防衛出動を命じたとしても、事前の承認が必要になる。
もし時の議会が衆参ともに過半数をもって支持するのであれば、「そこはそれ」でしかない。議会制民主主義とはそういうものだからだ。
それすらも納得できないとなれば、やはり現行憲法を厳密に解釈して非武装路線を貫くべきであろう。

【追記】
そもそも論で言えば、「択捉、国後は日本の領土である」などという話は、イギリス人が「フランスは我々の領土である」と言うのと同様(少なくとも16〜17世紀までは言われていた)、愚かにも程がある話でしか無い。だが、それが日本の有権者の一般認識であり、本当に統治形態として代議制民主主義が適切なのか疑われるところではある。
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2019年05月20日

ダメなのは無能な経営者のせいである!

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東洋経済のアトキンソン氏の記事「日本は、「無能な経営者」から改革するべきだ」。タイトルこそ雑誌っぽく煽情的だが、内容はいつものアトキンソン節である。

要は日本の会社というのは、ゼロ金利によってタダ同然で資金を調達、優遇税制を利用して納税を回避。さらに、韓国よりも低い最低賃金や4割もの非正規労働者(社会保障負担回避)、外国人技能実習制度(労基法や基本的人権の適用除外)などを駆使しつつ、労働時間管理が無く、労働組合の組織率が15%強という中で、労働者を超長時間(通勤時間含めると1日12〜14時間)=「定額働かせ放題」にできる。それに対して日本人は文句一つ言わず、政府の調査によれば「高い幸福度」が示されている。

1980年代まで問題が露呈しなかったのは、政治家や官僚や企業幹部が優秀だったからではなく、単に人口増加のメリット(労働力と消費者の安定供給)を無条件に享受できたためだった。
付言すれば、日本は日米安保のおかげで軍備負担が非常に軽く済んだ上、アメリカの軍事力によって担保された西側経済圏の中で超安価な資源を調達できたことも大きい。

そのため、人口メリットが失われ、資源価格が高騰すると、途端に為す術を失ってしまう。
本来であれば、人口メリットの喪失を補うべく、生産性の向上と経営の効率化を進めなければならなかったが、日本は政官財一体の「ぬるま湯」から抜け出せなかった。
こうした状況は西側世界はみな共有していたが、アメリカは全世界から資金を調達して金融工学によってバブルを繰り返すことで延命、西欧諸国はソ連崩壊によって得た東欧諸国を植民地化(安価な労働力と消費市場の確保)したことによって延命した。
これに対し、日本は国内で収奪を強化することで延命を図る。非正規雇用の割合を3倍にして、企業の社会保障負担を激減させ、税制優遇で企業の延命を図り、歳入難は消費税(大衆増税)によって補った。ゼロ金利政策もその一環だった。それでも無能な企業家はなすすべがなく、ついには公的年金の基金をもって国内株を買い漁り、株価を支えるに至っている。

日本の企業経営層が恐ろしく無能なのは、日本の経営者は経営能力や知識とは無縁の存在であるところが大きい。
日本の人事慣習は、管理職を選別する際に管理能力や経営能力を問うことは稀で、「社に対する忠誠(貢献)」や「幹部の受け」によって評価される。言うなれば、AH社の「クレムリン」みたいなものだ。
欧米の場合は、良くも悪くも、経営層は最初から管理専門職、経営専門職として採用されるケースが多く、その代わり失敗した場合も責任を取らされる。だが、日本の経営者は経営に失敗しても、株主総会などで責任が追及されることはまずない。

その結果、無能な経営者が延々と無能な経営を続け、失敗の責任を追及されることもなく、無能者から無能者へと引き継がれる状態にある。
この点は、日本の政治も同じで、例えば日華事変以降の総理大臣を見た場合、

近衛(世襲議員)
平沼(検事)
阿部(陸軍)
米内(海軍)
近衛(世襲議員)
東条(陸軍)
小磯(陸軍)
鈴木(海軍)

というラインナップだが、経歴的に国家運営の知識がありそうなのは大審院院長だった平沼くらいのもので、その平沼は「欧州情勢は複雑怪奇」と言って総辞職してしまう程度の能力だった。残りはどう見ても「国家運営の才覚あり」と認められて首相位に選ばれた感じはなく、かろうじて米内と鈴木が「軍人としてはマシ」というレベルだった。現に鈴木は何度も「器では無い」と拝辞している。
例えば、陸軍は、内務省が昭和初頭に大都市部の道路舗装を進めようとしたところ、「馬の歩行に障害が出るからダメだ」とクレームを付けて大反対している。この程度の連中が国家運営を行えるはずが無い。
戦時中の8年間に総理大臣が8人もいるという無軌道ぶりも、日本型人事システムがいかに危機や不安定期に弱いかを示している。本質的に「有能な者は予めパージする」ところがあるのだろう。

日本もいい加減「いかにして経営と管理のプロフェッショナルを育成、選別するか」という視点に立たないと、手遅れになるだろう。
あ、いや、もう手遅れか(爆)
posted by ケン at 12:00| Comment(1) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月19日

法務省、治外法権内規を勝手に削除

【密約が定着、法務省内規を削除 60年に法相指揮を外す】
 駐留米兵らへの裁判権を日本が放棄した密約を検察内に浸透させるため米軍関係者起訴時の法相指揮を定めた1954年の法務省内規の項目が、60年に削除されていたことが12日、分かった。密約の運用が検察内部で定着したのが理由で、日本側は実際、削除後の3年間で関連事件の9割の裁判権放棄に応じていた。公文書開示請求で入手した内規や専門家が見つけた文書で判明した。日米地位協定は、米軍関係者の公務中の事件は裁判権が米側にあると定める一方、公務外は日本の裁判権を認めている。だが、53年に日本政府が重要事件を除き裁判権を行使しないと伝達し、密約が成立した。
(5月12日、共同通信)

「文書は作るな、残すな、渡すな」

は「霞ヶ関三原則」と言われていたが、非常に伝統のあるものだったようで。
こうやって歴史が闇から闇へと消されてゆく。それは陰謀論の巣窟にもなるわけだが、当人たちは今のことしか考えていない。閣議の議事録も同じだ。
ソ連崩壊によって内部資料が公開されたことで、われわれソ連学徒の研究がどれほど進んだか、話せばきりが無い。
しかし、日本ではそうしたことは起こらない。不都合な資料は全て廃棄されているからだ。

この場合、来たるべき「日本崩壊」後に正確に責任を問う手段がなくなるわけで、もちろんヤクニンどももそれを狙っている。だが、パブリック・サーバントたるものはそれでは許されない。権力を行使する者の場合は、グレーはすべからくブラック(有罪)として処理されるべきである。
ところが、日本では大衆のグレーは有罪として処理され、権力者のグレーは不起訴として処理される。
法務省のスタンスは、この日本型システムを体現していると言えよう。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月18日

中国でStalingrad: Verdun on the Volga

Last Stand Games社「Stalingrad: Verdun on the Volga」をプレイ。
日本語が堪能なXさんを相手に、一応ルールは読んでもらったが、その場で説明して開始。
ルールはいわゆるアルンヘムシステムに似ており、経験者なら全く問題ない。
初期配置もマップの広さの割に簡単なので、手軽に始められる。
Xさんは初めてなので防御側のソ連軍、ケン先生がドイツを担当。
前回はソ連軍を持ったので、独軍は初めてになる。

第1ターン、南部で砲撃と航空支援を使って大突破(オーバーラン)を狙うが、ピッタリダメージが吸収されてしまい、オーバーランにならず。独軍のダイス目が残念だった。
他でもほぼきっちり全滅させるが、何故かオーバーランにはならず、残念なスタートに。
ソ連軍ユニットをかなり除去したものの、攻撃すると必ず先遣隊が損害を受けるシステムになっており、ドイツ軍の損害も馬鹿にならない。
このため、ドイツ軍は最大戦力のユニットを温存して次ターンに備えるなどの配慮も必要となる。

第2ターンにはソ連軍は全面退却を始め、ドイツ軍は南部でヴォルガ川(10月25日製材所)に到達。
しかし、ドイツ軍の突進力はかなり減退しつつあった。とはいえ、ソ連軍ユニットはきっちり除去しており、まず悪くない形勢。
逆に赤軍を持つXさんは「これどうにもならないんじゃないの?」と言い出す始末。

第3ターンには独軍はママ−エフ墓地に突入するも、占領には失敗。ママ−エフ墓地が占領されると、ヴォルガ川の夜間渡河が突然困難になる。
また、北部で蹂躙攻撃が成功し、一カ所ヴォルガ沿岸に到達(バリケード兵器廠)。
この時点で独軍は6VPを確保、5ターン終了時に10VPあれば勝利となるので、「見えてきた」感じ。

だが、第4ターン、ドイツ軍の出目が酷く、第6インパルスで「夜」になってしまい、8VPしか確保できていない。
とはいえ、膠着状態に陥っている「赤い十月鉄工所」で二回航空支援を使えば、何とかなるだろうという見込みだった。
ところが、第5ターンの冒頭二回の攻撃はいずれも出目が悪く、二回目はイニシアチブを使用して「攻撃失敗」を回避するほどだった。
頑張ればもう1VPは取れそうだったが、沿岸部はどこも赤軍がガチガチに守っており、主導権と航空支援の無い状態であと2VPは無理と判断、投了した。

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第4ターンの援軍を北端に投入して突破を図るべきだったかとも思ったが、やはりダイス目次第だったことは否めない。全体のダイス目を考えれば「上出来」だったかもしれない。
ただ、Xさんは防御一辺倒だったため、ドイツ軍は「楽」をさせてもらったところもある。
最後の方は、ドイツ軍の戦線は非常に薄くなっていたので、ソ連軍が夜間インパルスにどこか一カ所で攻撃を仕掛け、穴を開けていたら、独軍はそこで「お手上げ」だった可能性もあった。

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確かにスタンダード・シナリオでソ連軍が攻勢に出るのは相応のリスクがあるものの、成功した時に効果は非常に大きく、独軍は穴を埋めるために、ただでさえ過小になっている戦力を削がれてしまう。
かりに攻撃に失敗しても、ドイツ軍は放置できないので、何らかの手を入れることになるだろう。この攻撃側の「手」を使わせることが、ソ連軍にとって大きなメリットとなる。「攻撃に勝る防御無し」であろう。まぁやり過ぎは禁物だが。

ここまでで大体4時間程度。慣れれば3時間程度でできそうな感じで、規模の割にこの手軽さが本作の魅力と言える。「ターニングポイントオブスターリングラード」は全面シナリオはほぼ無理な感じなだけに、やはり良い感じだ。
posted by ケン at 00:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする