2019年05月13日

なんちゃって無償化

【大学無償化法が成立20年度施行 低所得世帯が対象】
 低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育機関の無償化を図る新法が10日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。2020年4月に施行される予定で、文部科学省は対象となる学生や大学などの確認作業を急ぐ。
 文科省によると、国や自治体が学生の授業料や入学金を減免するほか、生活費などに充当できる返済不要の「給付型奨学金」を支給する。対象は住民税非課税世帯を基本とし、夫婦と子ども2人(1人が大学生)の家庭の場合、年収270万円未満が目安。年収380万円未満であれば3分の1〜3分の2の額を支援する。高校卒業から2年を過ぎた学生は、対象外となる。
(5月10日、共同通信)

いかにも「ためにする」あるいは「一応やってます」というポーズのための政策。
そもそも世帯年収270万円未満で子どものいる家庭など、生きていくのもままならないレベルであり、高校にすらまともに通えないケースが多いだろう。そこで「学費がタダになるので進学できますよ」(厳密には違うのだが)と言ってみたところで、現実に制度を利用できるものは非常に少ない、恐らくは殆どいないだろう。
さらに言えば、この基準は現行の国公立大学の学費免除基準よりも厳しいと言われ、下手すると今免除されている人が学費を要求されるようになる恐れすらあるとのこと。

2018年の厚労省のデータを基に考えると、世帯平均年収545万円、中央値で426万円だが、これは全世帯のデータ。
標準世帯(子ども二人)を見た場合(2016年)、世帯平均で750万円、中央値で646万円、年収300万円未満は4.7%になっている。年収400万円未満でようやく12.6%になっているところを見ると、「年収380万円未満であれば3分の1〜3分の2の額を支援」の利用者が若干いるかもしれないというレベルだろう。

標準世帯年収で最も多いのが年収500万円台であることを考えれば、年収600万円以下、最悪でも年収500万円以下の世帯が制度の恩恵を受けるような制度設計でないと殆ど実効性が無いと考えられる。
中途半端な制度は行政コストがかさみ、変な不公平感を生むだけであり、止めた方が良い。
これでは一体何のための消費増税なのか、分からないだろう。

一部無償化で試算される予算は7600億円というが、現在9割以上占める学資ローンを半分でも給付型にして、低収入世帯には若干優先的に給付する仕組みにした方が、よほど健全だと思われるが、なぜそうならないのだろうか。
そもそも貧困対策をせずに(世帯年収300万円以下とか存在自体が憲法の生存権に違背している)、こんな泡沫的な「サービス拡大」を図ろうとするあたり、色々末期的なものを感じる次第。
posted by ケン at 12:00| Comment(7) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする