2019年05月15日

第二次日露開戦、否定される

【維新、戦争発言の丸山衆院議員除名=イメージダウン回避狙う】
 日本維新の会は14日、持ち回りの常任役員会で、北方領土問題の解決手段として戦争に言及した丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=を除名処分にした。
 太いパイプを維持する首相官邸に配慮して厳しい姿勢を示す必要があると判断。大阪都構想の是非を問う住民投票に向け、党のイメージダウンを回避する狙いもあるとみられる。
 松井一郎代表(大阪市長)は14日、市役所で記者団に「議員としてあるまじき行為、発言だ」と丸山氏を厳しく批判。議員辞職を促しているとした上で「今、辞めるべきだ」と強調した。
 丸山氏は10〜13日に北方領土の「ビザなし交流」に参加。同行記者団などによると、11日夜に訪問先の国後島の施設「友好の家」で元島民に「戦争で島を取り戻すことには賛成か反対か」「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言しトラブルになっていた。
 維新幹部の一人は13日に官邸側からの電話で問題発言を知ったという。この時点で党内には事態を楽観する空気もあったが、松井氏の強い意向を受け、丸山氏から提出されていた離党届を受理せず除名処分を急いだ。
(5月14日、時事通信)

日本はいい感じに香ってきた。
この丸山某、東大、経産省、松下政経塾、日本維新の会、国会議員という経歴。これだけでもパワーワード過ぎる。

東大出の後輩の「国家官僚なんてお勉強できれば誰でもなれる」「議員になりたいとか自己顕示欲が強いだけ」という言葉が頭から離れない。
実際、40歳以下で官僚を辞めて議員になる者は、程度の差や方向性の違いはあれど、「この手」の連中が多い。この点も私が永田町を見ていて「もうダメだ」と思ったところでもある。
エリートの決定的凋落である。

一方で、足立某もそうだが、こうした煽情的な発言をもって世論の注意を引き、一部の人気を集めるポピュリズム的手法を利用していたのは、維新の方であり、丸山某だけの問題では無い。政治に世界では、「無名よりは悪名の方が何倍もマシ」と言われ、とにかく「話題づくり」に血道を上げることが当選に不可欠とされる。少数政党では、その傾向がさらに強まるのは言うまでも無い。

もう一点、誰も指摘していないようなので、指摘しておきたい。
丸山某の発言の背景には政府の方針転換がある。
日本政府は従来「北方領土はロシアが不法占拠している」との主張を行っていた。これは、

「ソ連は第二次世界大戦において北方四島を占領したが、それらは北海道に属するものであり、戦争終結(日ソ共同宣言)と同時に占領を解除して、日本に返還されなければならない。だが、ソ連軍はそのまま居座っている」

という論旨だった。
これは後付けの論理で、日ソ共同宣言時には日本政府はそんな主張はしていなかったが、アメリカから「ソ連と仲良くしたら、沖縄返さないかもよ」(ダレスの恫喝)と言われて、震え上がって「すみませんでした!」と平謝りして、ソ連に対しては手のひらを返して「不法占拠」と罵り始めたことに起因している。
ただし、これはあくまでも「対ソ交渉はしない」というスタンスのためのもので、対外的には「すみませんが、そこは北海道の一部なんで、すみやかに赤軍を引いていただけないでしょうか」というものだった。

択捉や国後が「北海道の一部」などという主張は、戦前の地図を見れば一目で大嘘であることが分かるし、当時の人々も「それは無理ポでは」と思っていたのだが、日本政府が数十年にわたってプロパガンダを続けた結果、ごく一部のソ連・ロシア学徒を除いて、全員信じてしまっている。歴史研究者ですら、それを信じているのには本当に閉口させられる。

ところが、日本政府はここに来て対露関係改善の必要が生じたことにより、「不法占拠」論を一方的かつ何の説明も無く取り下げて、「無かったこと」にしてしまった。
政府としては「日露交渉の障害となる(そもそもロシアと話さないための根拠だった)不法占拠論を取り下げよう」という意向だったと推測されるが、何の説明もなされなかったため、これを敢えて穿って見た場合、

「(60年も言って聞かない)ロシアに立ち退きを懇願するのはもう止めだ!実力行使あるのみ!」

と解釈してしまっても、何の違和感も無いのである。これは政府側としては「そんな受け止め方をされるとは想像もしてなかった」と言うしか無いだろう。しかし、これは説明責任を果たさなかった方に問題がある。
そもそも政府の説明では、択捉、国後は北海道の一部であるのだから、少なくとも形而上あるいは論理上は自衛権の行使に何の障害もないのだ。
これを「北方領土に対しては自衛権を行使しない」と言うのは、あくまでも現政府の解釈であって、日本国が自衛権を認めて自衛隊を保有している以上、自衛権の行使範囲は時の政府によって変更可能なのだ。
これは、憲法第九条を恣意的に解釈して、自衛権と自衛隊を認めたことと、対ソ外交と対米従属の狭間にあって「択捉、国後は北海道の一部」と宣言してしまった日本政府の「合成の誤謬」だった。

恐らく丸山某は何の考えもないだろうが、結果的には彼の発言は問題の本質を突いていると言えるのだ。

ただ、敢えて丸山君に「上から目線」で教えてあげるとすれば、対露領土奪還戦争には日米安保は適用されないし、「第二次世界大戦の結果に対する異論、特に武力行使」は即座に国連憲章の敗戦国条項に違背、国連=連合国
に対する再戦と見なされる、ということである。
まぁ昔の軍令部次長によれば、「あと二千万男子が特攻すれば、日本は必ず勝つ」ということではありましたが(爆)
posted by ケン at 00:00| Comment(9) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする