2019年06月12日

国連対日勧告の何故

【表現の自由「日本は勧告をほぼ履行せず」国連特別報告者】
 言論と表現の自由に関する国連の特別報告者デービッド・ケイ氏が、日本のメディアは政府当局者の圧力にさらされ、独立性に懸念が残るとの報告書をまとめた。「政府はどんな場合もジャーナリストへの非難をやめるべきだ」とした。
 ケイ氏は2016年に日本を訪問し、翌年に報告書をまとめて勧告を行った。今回は続報として勧告の履行状況などを報告。政府に対する勧告11項目のうち、放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃、平和的な集会や抗議活動の保護など9項目が履行されていないとした。
 今回、ケイ氏からの問い合わせに日本政府は答えなかったとしている。報告書は国連人権理事会に提出され、審議されるが、勧告に法的拘束力はない。
(6月6日、朝日新聞)

右派を中心にまた「国連ガー」と騒ぎになっている。
こちらもまたぞろ説明するが、外務省が「国際連合」などと真実を隠蔽するための訳語をつくったことに起因している。
国連は英語では「United Nations」で、要は連合国である。中国語の「联合国」を見れば一目瞭然だろう。
せめて日本の国連センターくらいは「連合国」と掲げて、マスコミに対して「連合国」の訳語使用を求めれば、国民の認識も変わるだろうに。

さて連合国(国連)憲章には「旧敵国条項」というのがあり、第53条などで二次大戦期の枢軸国が再び侵略戦争に向けた準備や領土奪還などを求めることを禁止、必要に応じて武力行使を含む制裁を例外的に無条件で(安保理の裁定無しで)許可するというもの。
ネトウヨのミナサンはご存じないようだが、日本は枢軸国側で参戦し、米英中ソと戦争して敗北している。

つまり、日本が(北方領土含む)領土要求を行ったり、全体主義的あるいは(軍拡含む)好戦的な政策を採った場合、連合国旧戦勝国は安保理の裁定を待つこと無く、「侵略防止に向けた措置」を取ることが許されている。
そして、日本やドイツなどにおいて、ファッショ、ミリタリズム、集産主義などの兆候が見られるか監視するのも、連合国=国連の役割の一つになっている。
国連機関が日本に対して厳しい姿勢を貫いているのは、このためであり、日本は連合国側の疑念を払拭する義務があるはずだが、北方領土要求を含めて、果たしているとは言えない状況にある。

ロシアのラブロフ外相がたびたび厳しい要求を日本政府に突きつけてくるのも、根源はここにある。
だからこそケン先生は、ソ連=ロシアが旧敵国条項を持ち出さないようにするためにも、日露平和条約を結ぶ必要があると主張しているのだ。

旧敵国条項に照らし合わせてみて、日本はかなり危険な状況にある。
世界第七位の軍事大国である上に、政権党内では「軍事費倍増計画」が議論されており、国内では外国人差別や韓国、朝鮮、中国に対する排外的・侵略的言説が流布されている上に放置されている。
政権党内では、憲法の全体主義的、軍国主義的、権威主義的改正案が策定されている。
首相と内閣の権限は、明治期に内閣制度が発足して以降、最大となっており、かなり独裁的権限を持つに至っている。
表現の自由、女性や性的多様性に対する差別、権威主義的教育、警察権や裁判制度の非人道性など、どれを見ても、旧敵国条項に背反している。

要は日本人が「オレは大丈夫」と思っているだけで、現実あるいは周囲はそうは考えていない、ということなのだ。
posted by ケン at 12:00| Comment(4) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする