2019年07月21日

アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場

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『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』 監督・脚本:アク・ロウヒミエス フィンランド(2017)



フィンランドは、1939年の冬戦争で失われたカレリヤ地方を奪還すべく、(実質)枢軸国の一員として1941年の対ソ戦に参戦した。
フィンランド政府は本戦争を「冬戦争の延長」と位置づけ、「継続戦争」の名称が付けられた。
本作は、この1941年6月から44年9月までの継続戦争を、フィンランドでは著名な小説『無名戦士』に基づいて映像化したものである。
人口550万のフィンランドで100万人を動員したというから、大変なことになっている。
いかんせん、当時の人口400万人の内、50万人が戦時動員されたというのだから、日本で言えば1千万人が動員されたのと同じ規模になる。つまり、ほぼほぼ家族で誰かしら従軍したような話なのだ。

ストーリーは、機関銃大隊の同じ中隊に所属する4人の兵士を主人公に展開する。
継続戦争では、主に戦闘が行われたのは、侵攻時の1941年と退却時の1944年で、残りは塹壕戦ということになる。
非常にオーソドックスな組み立てと脚本で、変に奇をてらわず、無闇に感動的にすることもなく、戦争を美化することも無く、戦争映画の基本に忠実的なところが非常に好ましい。
継続戦争なので、1941年の「カレリア奪還」「共産主義を倒せ」というノリノリと、3年戦っても終わらない憂鬱と、総退却・末期戦という「3つの味が同時に楽しめる」要素もある。
現代の映像技術と尋常では無い火薬量で、ソ連側の猛砲撃やフィンランド軍の機関銃の凄まじさが良く再現されており、見ているだけで疲れるところはあるものの、非常に見応えのある出来になっている。

個人的には『ウィンター・ウォー〜厳寒の攻防戦』の陰惨さに軍配を上げたいところだが、映画としての出来は本作の方が勝っているだろう。
一度は見ておいて損は無い作品である。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする