【4地域がカジノ誘致へ=検討中も6自治体−時事通信調査】
カジノを含む統合型リゾート(IR)について、時事通信が47都道府県と20政令市にアンケートしたところ、横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の4地域が誘致の意向を示した。
この他にも6自治体が検討していると回答。国が認めるIRは最大3カ所で、激しい誘致合戦となりそうだ。
アンケートは8月上旬から9月上旬にかけて電子メールで実施し、全自治体から回答を得た。IR整備法によると、誘致を希望する都道府県・政令市は国に認定を申請しなければならない。4地域の他、北海道と東京都、千葉、川崎、浜松、名古屋の4市は「検討中」だ。
大阪府・市は共同で誘致活動を展開。市内の夢洲地区への整備に向け、施設の配置やギャンブル依存症対策などを盛り込んだコンセプト案を募った結果、三つのIR事業者から提示を受けた。和歌山県は和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」を想定し、2024年度中の開設を目指す。
長崎県は佐世保市内のテーマパーク「ハウステンボス」の一部を候補地とし、今秋にもIR事業者からコンセプト案の募集を始める計画だ。横浜市は8月下旬、横浜港の山下埠頭(ふとう)への誘致を表明。関連経費を盛り込んだ補正予算が可決され、本格的に動きだした。
検討中の6自治体では、北海道が釧路市、苫小牧市、留寿都村の候補の中から、苫小牧市を「優先すべき候補地」と整理している。千葉市は今月、誘致の是非を検討するため、事業コンセプト案の募集を始めた。
東京都や、川崎、浜松両市は情報収集を行いながら是非の検討を進めている。名古屋市は「河村たかし市長としては、名古屋地域での大規模施設を目指して前向きに検討中」と回答した。
その他、検討の有無は明示しなかったものの、愛知県は「国の動向を注視したい」、北九州市は「未定」と答えた。
(9月23日、時事通信)
これは横浜市の職員の話の又聞きになってしまうが、横浜市は2019年、つまり今年をピークに人口減少に転じると考えられており、特に南部、西部での人口減が著しいという。隣の川崎ではいまだに人口が増えている中、横浜は「住みたい街」のトップ3にありながら、一足早く人口減少を加速させている。そのため、税収減は避けられず、税収減の穴埋めと観光等収入増を目指して、「カジノ誘致は必要」との判断に至ったのだという。どうも林市長は、最初からそのつもりではあったらしい。
この発想も非常に官僚的であると同時に日本的でもある。
そもそも1941年の対米開戦も、「このままでは重油の備蓄が尽きてジリ貧になってしまうから、その前に一発かましてやれ!」というところから始まったし、1931年の満州事変も「中国国民党やソ連に取られる前に占領してしまえ」という発想だった。
さらに言えば、西南戦争も武士階層が半数近くを占めた薩摩の特殊な環境の中で、「士族特権が完全に剥奪される前にやれ!」という意識が強く共有されていた。現実には長州、肥前、薩摩などで暴動、蜂起が起きたものの、士族層の大半は隠忍自重を保っていた。
その士族層も、秩禄処分に伴って下された公債を元手に商売などを始めたものの殆どは失敗したとされる。
「このままではジリ貧だ」という認識は正しくても、「だから一発花火を上げよう」という発想に至るには大きな飛躍がある。しかも、この「花火」は殆どの場合、本来必要な知識も十分な資本もないまま打ち上げられてしまうため、失敗に終わってしまう。
実際、バブル崩壊前後に進められた第三セクターや地方創生事業の大半が大赤字を抱えて終わっているが、それは自治体にノウハウがなく、ブローカーに食い物にされたからだ。
シミュレーションゲームでも、「このままではジリ貧だから、一大反撃して突破口を開こう」などと考えるものは、大半が失敗する。
今回の「カジノ狂騒」も、結局は住民に何らの益ももたらさずに、負債ばかり抱えて終わる蓋然性が高い。
戦況が不利な時は、戦線を縮小しつつ、時間稼ぎして、状況が変化するのを待つ方が、一般的にはよりよい結果を生むのである。